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北極海の氷が2030年代の夏には、すべて溶けて消失する可能性があることがわかった。北極海では、南極やグリーンランドの氷河よりも、多くの氷が失われており、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えようというパリ協定の目標を達成できたとしても、北極海の氷の融解を止めるのは難しい。
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韓国の浦項工科大学校やカナダの気候変動省の研究者による共同研究チームは、気候変動による影響に関する研究を実施。先日、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表した内容によると、2030年代の夏には、北極海の氷が溶けてすべてなくなる可能性があるという。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、2050年までになくなる可能性が指摘していたが、それよりもかなり早い予測となる。パリ協定で目標となっている地球の平均気温上昇を1.5℃までに抑えられたとしても、北極海の氷の融解を止めるには遅すぎるという。
研究チームが行ったのは、1979年から2019年までの40年間におよぶ衛星データと気候モデルを調査。それをもとに将来の氷の質量をシミュレーションし、これまでのシミュレーションは氷の融解速度が低く評価されすぎていたことがわかった。
この内容は、別の研究でも証明されている。
スイスのチューリッヒ工科大学、イギリスのアルスター大学などの共同研究チームは、世界の氷河の融解スピードについて研究を実施。先日、科学誌『ネイチャー』に発表した内容によると、北極海の氷河は南極やグリーンランドの氷河よりも速いスピードで溶けているという。
この研究チームは、2000年から2019年まで、20万個もの氷河を観察。1年間に氷が薄くなる割合は、2000年に36cmだったのに、2019年には69cmと2倍近くになっていたという。
北極海の氷は、夏になるともっとも少なくなり、冬には多くなる。夏にすべての氷が溶けたとしても、冬になればまた氷ができる可能性はある。だが、一度でも氷がすべてなくなることで、地球温暖化がさらに進む懸念がある。
多くの科学者や研究者が、北極海の氷が溶けることは、人間や生態系に大きな影響をもたらすと警鐘を鳴らしている。
※参考
Researchers sound alarm over "unprecedented ice-free" threat to Arctic|Axios
Where most of the world's glacial melt is happening|Yahoo! Finance
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