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寄付には、さまざまな方法がある。直接金銭を団体に送るのはもちろん、物品での寄付を対象にしているサービスも存在する。本記事では、寄付の種類や方法について解説するほか、信頼できる寄付団体やサービスについても紹介する。
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まず、日本国内の寄付市場と、国民の寄付への関心について紹介しよう。
日本の寄付市場は、この十数年で大きく変化した。2020年の日本の個人寄付は、2010年の約2.5倍にまで拡大し、個人の寄付推計総額は約1兆2,000億円となった。契機となったのは、2011年の東日本大震災で、これをきっかけに寄付を行う人が増えているとみられる(※1)。
現在、日本人の約45%が、何らかの団体やサービスに寄付を行っている。インターネットの急速な普及によって寄付の方法が多様化し、個人でも参加しやすいサービスが増加したことが理由にあると考えられる。
この寄付市場拡大の背景にあるのは、寄付への関心の高まりだ。2023年に内閣府が行った社会意識に関する世論調査によると、「社会に貢献したいと思っている」と答えた人が全体の約6割を超えた(※2)。
コロナ禍を経て、助け合いの意識が国民に定着したと考えられる。また、全国の17歳〜19歳の男女を対象に行われたウクライナ情勢に関するアンケートでは、全体の6割弱が「支援に賛成する」と回答した(※3)。
世界的にSDGsの取り組みが盛んになるなかで、今後も国民の寄付への関心はさらに高まるだろう。
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寄付の対象は、寄付団体やサービスによって異なる。代表的な寄付の種類について紹介しよう。
もっとも一般的な金銭での寄付。少額からでも募金でき、直接的に団体に送金できる点がメリットだ。銀行振込から、クレジットカード、ポイントカードでの寄付などに対応している場合もある。すべてインターネット上の手続きのみで完結できるサービスもあり、はじめやすい寄付方法といえるだろう。
物品を贈ることも寄付の方法のひとつだ。物品をそのまま寄付できることもあれば、寄付を受け付ける団体が物品を換金して寄付金として使用することもある。捨てるつもりだったゲーム機や読み終わった書籍など、自分にとっては不要なものが寄付の対象になるかもしれない。
(例)筆記用具/ぬいぐるみ/タオル/書籍/古切手/衣類など
ふるさと納税とは、応援したい自治体を選んで寄付できる制度のこと。本来住んでいる土地の自治体に納めるはずの税金を、任意の自治体に寄付することで、所得税の還付や住民税の控除が受けられる仕組みだ。返礼品として、寄付先の自治体から地域の特産物や宿泊券などを受け取ることができる。
寄付型クラウドファンディングとは、寄付を呼びかけるプロジェクトの起案者に対し、支援者が資金を調達する仕組みのことだ。基本的に商品やサービスなどのお返しは発生しない。プロジェクトによっては、起案者から活動報告やお礼のメッセージが送られてくる場合がある。
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寄付できる団体やサービスは多岐にわたる。まずは自分にとって関心のある社会問題を明確にしてみよう。関心のある分野が定まったら、団体の過去の実績や寄付金の使用用途から寄付先を選択するとよいだろう。信頼できるおすすめの寄付先やサービスを紹介する。
「ユニセフ」は、世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する国連機関だ。支援の届きにくい地域の子どもたちを最優先に、約190の国と地域で活動している。主な活動分野は、保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援などだ。ユニセフの寄付金は、世界各国の支援を必要としている子どもたちに使われる。
たとえば、1,314円の寄付が子ども用のえんぴつ10本とノート10冊分になったり、554円の寄付がはしかから子どもを守るための予防接種ワクチン10回分として使用されたりする。
ユニセフへの寄付は、クレジットカード、電子マネー 、銀行口座振込が利用できる。また、毎月定額を継続して寄付することも可能だ。
「本をきっかけに、世界をほんの少しよい方向に変えていく」をコンセプトに活動する「チャリボン」。不要になった本の買取り額を寄付金として、NPO団体や大学などの活動に役立てられる物品寄付サービスだ。本のほかに、DVD、アルバムCD、ゲーム機、ゲームソフトなども寄付の対象だ。
チャリボンでは、事前に支援先したい団体を指定できる。ホームページには、世界や日本全国の地域ごとや、貧困や健康、福祉、まちづくりや自然環境などの社会問題ごとに、幅広い団体が紹介されている。関心のある社会問題を検索すれば、気になる支援先が見つかるだろう。
利用方法
1.チャリボンを運営するバリューブックスの「おためし査定」で寄付できるか確認する
2. ダンボールを準備して寄付したい品を梱包する
3. ホームページから支援したい団体を選ぶ
4. 専用フォームから申し込む
5. 集荷に来た宅配業者に荷物を渡す
6. 本の到着後、査定結果がメールで届く
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着なくなった古着、サイズアウトした子ども服などを開発途上国に輸出し、現地で再利用されるのが「古着deワクチン」だ。現地の人々に寄付するのではなく、現地の店で販売して、地域に雇用やビジネスを作り出している。
また、古着deワクチン専用回収キットを注文すると、「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会」を通じて、開発途上国の子どもたちにポリオワクチンを届けられる。
利用方法
1. ホームページから専用回収キット(税込3,300円、ミニ版2,500円などもあり)を購入する。
2. 大きな強化紙袋や着払い伝票などが届くので、紙袋に衣類や靴、バッグ、服飾雑貨を詰める。
3. 佐川急便に集荷依頼して引き渡す。
「アニマルライツセンター」は、動物たちの苦しみを効果的に減らすために活動を行うNPO法人だ。工場畜産や動物搾取によって、苦しめられている動物たちに注目し、動物たちが動物らしくいられるよう取り組みを行っている。同センターでは、寄付により支援を募っている。寄付は、クレジットカードまたはPAYPALで可能。
「エシカル協会」は、エシカルな社会の実現を目指して生まれた、日本で最初の“エシカル”団体だ。エシカル・コンシェルジュ講座が開かれていることで、よく知られている。そんな同協会の指針に賛同する方は、寄付を行うことができる。寄付はクレジットカードで可能だ。
「特定非営利活動法人 循環生活研究所」は、コンポストで生ごみや落ち葉を堆肥に替え、必要なものが地域で循環する「たのしい循環生活」を目指している。ダンボール型のコンポストの普及活動を行ったり、地域の公園に落ちている落ち葉を堆肥化したりしている。寄付は郵便振替でできる。
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世界各国では、洪水や地震、山火事などの自然災害のほか、紛争など、深刻な社会問題が起こっている。テレビやネットでニュースを知り、助けを求める人々や地域に寄付したいと考える方もいるだろう。日本からいますぐ支援できる寄付先を紹介する。
支援を必要とする人々や地域を助けるためには、まずは国内外で起きている社会問題に関心を持つことが大切だ。そこから共感できる団体やサービスを探せば、自分に合った寄付の方法が見つかるはずだ。あなたの行動で、世界中の困難な状況にいる“誰か”が助かるかもしれない。いますぐできる小さな寄付からはじめてみよう。
※1:2022年サマリ・日本の寄付市場予測|日本ファンドレイジング協会
※2:「社会意識に関する世論調査」の概要|内閣府政府広報室
※3:18歳意識調査「第47回 –ウクライナ情勢–」報告書|日本財団
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