6月18日は「持続可能な食文化の日」 制定の背景や具体的な取り組み

お皿に盛られた伝統食を手に取る女性の手

Photo by Ashwini Chaudhary(Monty) on Unsplash

持続可能な食文化の日は、国連で採択された国際デーの一つである。なぜこのような記念日が制定されたのか。背景にはどのような事情があるのだろうか。我々ができる具体的な取り組みについても、SDGsとの関連を踏まえて解説しよう。

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2022.05.25

6月18日の「持続可能な食文化の日」とは

持続可能な食文化の日とは、国連が定めた国際デーの一つである。日付は毎年6月18日、英語では「Sustainable Gastronomy Day(サステナブル・ガストロノミー・デイ)」と表記される。

Sustainableは「持続可能な」という意味の言葉で、近年耳にする機会が増えているだろう。一方、Gastronomyは、あまり耳慣れない言葉ではあるが「食文化」や「美食法」、「地域特有の調理方法」などと訳されることが多いようだ。

つまり「持続可能な食文化の日」とは、持続可能な食糧生産を意識するとともに、地域固有の食文化の継承について再考する日である。国連で持続可能な食文化の日が採択されたのは、2016年のこと。2015年のSDGs採択の翌年に制定されている。(※)

制定の由来と目的

私たち人間が健康的な生活を送っていくために、日々の食事は欠かせない。また世界各地の食事には、それぞれ異なる特徴がある。この特徴は「文化」と捉え、次の世代へと継承していく必要がある。これが、持続可能な食文化の日制定の由来と目的である。

無計画な食糧調達や環境開発が続けば、世界はいずれ食糧危機に直面するだろう。そうなれば、食文化の継承も危うくなる。また、我々現代人の「伝統食に対する意識」が希薄になっている点も、課題のひとつと言えるだろう。

もちろん、こうした課題は簡単に解決できるものではない。だからこそ、年に一度の国際デーを設けることで人々の意識を高めようというのが、持続可能な食文化の日の狙いなのだ。

持続可能な食糧調達は、生物多様性の保全や環境保護、貧困撲滅や資源の有効活用など、さまざまな課題と密接に関わっている。こうした多方面への貢献も重視されている。

制定の背景

では、国連が持続可能な食文化の日を採択した背景には、具体的にどのような事情があったのだろうか。一番に頭に浮かぶのは「SDGs(持続可能な開発目標)」である。2030年までに世界が達成すべき17の目標と169の対象のなかには、食糧調達や食文化に関わる項目も多い。

SDGsが掲げる2つ目の目標は「飢餓をゼロに」である。2030年までに飢餓とあらゆる栄養不良に終止符を打ち、持続可能な食料生産を達成することを目指している。また3つ目の目標「すべての人に健康と福祉を」の達成にも、食糧調達は深く関わっていると言えるだろう。加えて、目標14「海の豊かさを守ろう」や目標15「陸の豊かさも守ろう」との関連性も深い。

食料を生産するには、非常に多くのエネルギーを使う。それにもかかわらず、日本を含めた先進国では、日々大量の食品が廃棄されている。一方で厳しい貧困状態のなかで、飢えた国民を数多く抱える国も決して少なくない。

この課題を解決するためには、各国が単独で努力するだけでは不十分だ。持続可能な食文化の日の背景には、非常に多くの国際課題が複雑に絡んでいるのだ。

SDGsと食文化の多様性を守る取り組み

農業開発や食の安全、栄養、生物多様性保全など、さまざまな課題解決に向かう動きを促進する「持続可能な食文化の日」。その動きが多方面にわたるからこそ、具体的にどのような取り組みをするべきなのか、悩むこともあるだろう。ここでは、SDGsの目標と関連づけながら、個人での向き合い方について解説する。

「飢餓をゼロに」を達成するためのキーワードに、「持続可能な農業」がある。農業を持続していくには、環境との調和とともに、生産者の所得確保が課題となるだろう。地域で生産された農産物を積極的に購入して食べることも、具体的な取り組みのひとつである。地産地消がより浸透すれば、地域経済の活性化や輸送エネルギーコストの削減にもつながるだろう。

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「海の豊かさを守ろう」でも触れられているとおり、漁業や水産養殖業においても、持続可能性は重要なテーマだ。一般消費者の手で、漁業や水産養殖業の現場を変えることは容易ではない。

だからこそ、水産物がどのような形で自分の手元に届いているのか、消費者が興味を持つことは重要である。持続可能性や海の環境に配慮した水産物には、専用の認証制度が用意されている。制度を目印に購入する商品を選択すれば、サステナブルな漁業の推進につながっていくだろう。

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また、食料廃棄物削減に向けた取り組みにも注視してみよう。大規模な気候変動や将来的な食糧難のリスクが指摘されるなかで、これまでどおりの大量生産・大量廃棄の消費スタイルを持続していくのは現実的ではない。我々一人ひとりの生活習慣を変えるなど、一般家庭でできる対策も多いはずだ。

地域の伝統食のなかには、その土地で獲れた作物をより効率良く摂取するための工夫が凝らされたメニューも多い。こうした地域に根付いたメニューに注目し、実際に自分自身でつくってみるのも、持続可能な食文化の日にふさわしい取り組みである。

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持続可能な食を考える日に

2016年に制定された持続可能な食文化の日。国際デーではあるものの、日本における知名度は、まだそれほど高くはない。とはいえ、これから先の食糧事情やSDGs達成を考慮するなら「持続可能な食」や「食文化の継承」は、非常に重要なテーマと言えるだろう。

「持続可能な食文化」と言われると少々硬いイメージもあるが、実際には我々一人ひとりが日常生活のなかでできる取り組みが多い。6月18日には、いま自分に何ができるのか、あらためて考えてみてはどうだろうか。

※掲載している情報は、2022年5月25日時点のものです。

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