生ごみの処理において、微生物は非常に重要な役割を担っている

ELEMINISTでは全5回にわけて、『生ごみは可燃ごみか』に書かれている内容を紹介する。今回は第2章の「生ごみの上手な扱い方」から一部抜粋。

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2021.05.26

私たちの社会はごみを減らす取り組みだけでは物足りず、ごみ自体を出さない仕組み──ゼロウェイスト戦略が必要だ。

世界各国の政府や自治体、企業、個人は、これ以上に地球への負担をかけないために、ごみを出さない行動を起こしている。とはいえ、まだ知識を持ち合わせていないという人もいるのではないか?

ひとりの生活者からごみの専門家となった福渡和子さんが上梓した『生ごみは可燃ごみか』を読めば、日常生活で気軽に取り組めるアクションとごみ問題に関する知識を深められるだろう。

ELEMINISTでは全5回にわけて、『生ごみは可燃ごみか』に書かれている内容を紹介する。今回は第2章の「生ごみの上手な扱い方」から一部抜粋。

『生ごみは可燃ごみか』とは?

『生ごみは可燃ごみか』の表紙

出版年月日:2015年4月10日

海外の環境先進国は、ごみ処理分野に積極的に取り組んでいる。その一方で、日本は狭い国土で多くの焼却工場を稼働させており、排熱や二酸化炭素を大量に排出して環境に負荷をかけ続けている。

そんな日本の現状に対して問題提起するのは『生ごみは可燃ごみか』(福渡和子)。

家庭の生ごみが焼却処理されていることに疑問を持った筆者は、独自で調査を開始。明らかになった事実を伝えるとともに、生ごみをリサイクルする必要性を経済的、科学的な側面から紹介する1冊だ。

生ごみの水分量を下げれば、腐敗を抑えられる

微生物は地球の掃除屋さん——『生ごみは可燃ごみか』の第2章では「生ごみの上手な扱い方」というテーマで、微生物の重要な役割についてや、生ごみを腐敗させずに資源化するための方法を紹介。

「台所での生ごみの扱い方5ヵ条」や「通気式生ごみ保管容器の使い方」など、普段の生活で取り入れられる生ごみの扱い方は多岐にわたる。これらは、生ごみの含水率(生ごみに含まれる水分量)を下げて腐敗を抑え、資源化するための重要なプロセスだ。

生ごみの含水率を下げることは、自宅での保管の際に悪臭を抑えられるだけでなく資源化にもつながる。

筆者の試算によると、標準生ごみ(含水率80%)1tを焼却した場合の二酸化炭素排出量を100%とすると、含水率を45%まで下げた生ごみは、約62%も二酸化炭素排出量を削減することができるとのこと。それだけに「生ごみの上手な扱い方」は、私たちが日常生活に取り入れるべき策といえるだろう。

生ごみを堆肥にするのは機械ではない(*本文から引用)

土

Photo by Markus Spiske on Unsplash

『月刊廃棄物』のリポーターをしていた頃、自治体を取材する時は必ず堆肥工場を見せてもらっていたが、ある工場を取材した時、発酵槽から水蒸気も上がらず、ほとんど好気発酵していない現場を見た。“こりゃだめだ”と、思いながら工場を出た途端、あまりの悪臭に耐えられず、胃から口にあふれ出すのを止めることができなくて戻し続けた経験を、いまでも生々しく覚えている。

集積した生ごみが腐敗して悪臭を出すと、本当に大変なこととなる。その臭いで工場は、とても人間が働く場所とはいえなくなるし、腐敗臭がプラントの外に漏れれば、近隣からの苦情も出る。腐敗臭対策にお金がかかったりして、いずれ稼働停止が待ち受けているだろう。臭いの問題だけではない。生ごみは腐敗すると組織がこわれ、ミネラルが臭い水とともに流出してしまうので良質な堆肥がつくれなくなる。さらには、温室効果ガスであるメタンガスを発生するので、環境にも負荷を与える。

過去、生ごみの堆肥化事業に係わった処理機メーカーの多くがことごとく失敗し、この事業から撤退していった。それは、機械をつくり、腐った生ごみでも集めてきて放り込んでおけば、その機械が堆肥をつくると考える、機械信仰の人たちが多かったからではないかと推測する。

生ごみを堆肥にするのは機械ではなく、微生物である。

生ごみを堆肥化する現場では、好気的な状況で生ごみを分解する微生物が働く条件をつくることが一番大切なのだ、ということに気付かぬ人が余りにも多い。基本が守られていないのである。まず、丁寧に分別することと水分を極力減らして腐らせないこと。そして、生ごみを好気発酵させる微生物が働く条件——温かくして通気を図ること——をつくってやること、この基本が継続して守られているところでは、プラントは順調に稼働する。

そのためにも、自治体を通してプラントに生ごみを送り出す個々の家庭の協力が欠かせないのである。基本は同じ、丁寧に分別して、水分を極力減らすこと。家庭内で水分を減少させておくと、腐敗しにくいので良い堆肥原料の確保につながるだけでなく、水分調整材が少なくて済む。そして何より、収集日に出すまで家庭内で保管しやすいし、集める側も扱いやすく、運搬費も安くなる。

都市域で堆肥工場の建設が難しい地域では焼却することとなるが、その場合も、水分を減少させておくと焼却の費用を低く抑えることにつながる。

目標値としては、好気性微生物が活発に活動する含水率50〜60%が一つの目安となるだろう。堆肥化せずに焼却するとしても、含水率60%をクリアすれば、自然領域である。

※「含水率60%」……土やお茶ガラを強くにぎって水気を感じる程度が含水率50〜60%。

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生ごみは可燃ごみか

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※2021.05.17現在の価格です。

※掲載している情報は、2021年5月26日時点のものです。

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