国際幸福デー(3月20日)とはどんな日? 日本や世界での取り組みを紹介

笑う女性

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「国際幸福デー」とは国連が3月20日に定めた記念日だ。この日は「幸福が世界の共通目的であり願望であることを認め、公共政策に反映されるべきもの」として取り決められている。この記事では、国際幸福デーに関する日本の取り組みについて解説する。

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2025.01.08
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国際幸福デーとは

花を持った女性たち

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「国際幸福デー(International Day of Happiness)」とは、国連が3月20日に定めた記念日だ。この日は「幸福が世界の共通目的であり願望であることを認め、公共政策に反映されるべきもの」として取り決められている。

また持続可能な開発や貧困の根絶、すべての人のウェルビーイングの促進、より包括的でバランスの取れた経済成長へのアプローチの必要性についても訴えている。なお「ウェルビーイング(Well-being)」とは、精神・身体ともに健康な状態、または個人や社会において良好な状態という意味だ。(※1)

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国際幸福デーの歴史と誕生の背景

「国際幸福デー」の制定の背景にはブータン王国が深く関わっている。ブータン王国が、1970年代初頭に経済成長よりも一人ひとりの幸福に重きをおき、国民総生産ではなく国民総幸福度を目標にすべきという概念を提唱したことがきっかけで誕生した。2012年7月12日の国連総会で正式に決議され、現在にいたる。(※2)

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国際幸福デーの毎年のテーマとその意義

笑顔の女性たち

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国際幸福デーには、毎年設定されるテーマがある。近年では「サステナブルな幸福」や「社会的幸福の向上」などがテーマとして取り上げられており、社会的・環境的な側面を含む、より広い範囲での幸福の概念に対して焦点を当てている。

国際幸福デーと「幸福度」

街並み

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ここでは、毎年の国際幸福デーに発表される幸福度ランキングとの関連性について解説する。

国連の「世界幸福度報告書」とは

「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」は、国際幸福デーの3月20日に発表される、世界各国の幸福度をランキング化したものである。これは国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発行する報告書であり、世界各国のウェルビーイングと比較する指標として用いられている。(※3)

個人の幸福度が社会や国全体に及ぼす影響とは

個人の幸福度は、社会や国全体にも影響を及ぼす。国連が発表する「世界幸福度報告書」によると、幸福を占めるうちの約75%は信頼感や経済成長、健康寿命、人間関係、寛容さ、自分に適した生き方をする自由などで決まるという。したがって幸福度が高い国ほど国民のための政策が行き届いており、働く環境や福祉が充実していると考えられる。

2024年に発表された「世界幸福度報告書」のランキングによると、1位はフィンランド、2位はデンマーク、3位はアイスランドと北欧諸国が上位を占める結果となっており、日本は51位であった。近年最下位が続くアフガニスタンやレバノンは、長きにわたる紛争の影響により、順位も低い結果となっている。(※3、※4)

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国際幸福デーとSDGsとの関連

デンマークの街並み

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将来世代の幸福を確保するためには、ウェルビーイングを意識していくと同時に、SDGsなどを通じて環境政策に対して積極的に取り組んでいく必要がある。

世界各国の幸福度ランキングで毎年上位にランクインする北欧諸国は、SDGsの達成度ランキングにおいても毎年上位である。したがってSDGsの達成率の高さは、幸福度とも密接に関係してくるといえるだろう。(※5)

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国際幸福デーにおける世界の取り組み

会議

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ここでは、国際幸福デーに行われる各国や国連の取り組みについて紹介する。

他国の取り組み事例

ベトナムでは、国際幸福デーにちなんで「愛情とわかち合い」をテーマにした集会やシンポジウム、コンテスト、会議、座談会などを開催した。この活動をとおして、国民が互いに愛し合い、国民の生活水準の向上や社会安全保障の確保に向けて力を合わせて取り組むよう呼びかけることが狙いだ。(※6)

国連による公式イベントやキャンペーン

国連では国際幸福デーを祝うために、さまざまな公式イベントやキャンペーンを行っている。国連はこの日を記念して「世界幸福度報告書」を発行し、世界の幸福度に関するデータと分析を提供している。

この報告書は国連が推進するSDGsにも関連しており、政府や国民に対して幸福の重要性を再度認識させるものだ。​またこの日は年齢に関わらず、すべての教室や事業、政府が国際幸福デーを記念するよう呼びかけている。(※7)

日本における国際幸福デーの活動

セミナー

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ここでは、日本国内での国際幸福デーの活動やイベントについて紹介する。

日本での国際幸福デーに関連したイベント例

2024年の国際幸福デーには「幸福」に焦点をあてた映画「happy-しあわせを探すあなたへ」が上映された。この映画を鑑賞し、参加者それぞれが「happy(幸せ)とは何か」について考える機会となった。

また「なごや地球ひろば地球案内人」が「JICA海外協力隊」に参加し、現地で見つけた「happy」について紹介するなどした。イベントに参加したそれぞれが「世界のhappy」や「わたしのhappy」について考え、参加者同士でシェアしあった。(※8)

企業や団体による取り組み

日本では「森永乳業株式会社」が、国際幸福デーに向けてコーポレートミッション(企業が社会に対して果たすべき役割や目標など)の実現にむけて、ウェルビーイングステートメントを策定したと発表した。森永乳業グループではサステナビリティ経営の実現を目指しており 「私たち」と「人びと」のウェルビーイングの好循環を目指し、「ウェルビーイングステートメント」策定を行っている。

そのほか「楽天グループ株式会社」ではウェルビーイング向上を目指し、定期的にサーベイで心身の健康状態を把握し、具体的なサポートを実施するとして「Well-being First 」宣言を掲げた。具体的には安全な職場づくりや従業員の健康にコミットし、従業員の状態を「ウェルビーイングサーベイ」によって把握し、専門家を招いた健康セミナーなどを通じて解決に取り組むなどしている。

また家庭と仕事の両立支援として、出産や育児、介護に関する各種制度やサポートを整備し、家事代行サービスの法人契約も実施。さらにカフェテリアがあるオフィスでは、無料の食事補助として朝・昼・晩の3食を提供しており、従業員が働きやすい職場と健康を目指している。(※9、※10)

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世界の幸福を促進させる国際幸福デー

海辺で並ぶ家族

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「国際幸福デー」とは幸福を世界共通の目標として、公共政策に反映すべきものとして定められた記念日だ。世界幸福度ランキングとSDGs達成度ランキングにおいて毎年上位に入る北欧諸国のように、この2つは密接に関係しているといえる。

したがってSDGs達成のためにも、私たち一人ひとりが持続可能な開発や貧困の根絶、すべての人の幸せや福祉の促進、そしてより包括的でバランスの取れた経済成長へのアプローチの必要性について言及し、改善していく意識を持つことが大切だ。

※掲載している情報は、2025年1月8日時点のものです。

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