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不要になった家電には、法律によって定められたリサイクル方法がある。しっかり把握し適切な処分を行わないと、環境破壊や不正な事業者へ加担することになってしまうリスクがある。この記事では、家電を正しくリサイクルする方法についてわかりやすく説明する。
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家電リサイクルとは、廃棄された家電製品を再利用するために分解・回収し、資源の再利用を促進する仕組みである。日本では「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)により、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの一部の家電製品を対象にリサイクルが義務付けられている。この法律の目的は、廃棄物の削減と資源の有効利用を推進することで、持続可能な社会を実現することである。(※1)
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日本の家電リサイクル法では、対象品目として「家電4品目」が指定されている。
対象となるのは、エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目である。これらの家電製品は、廃棄する際に購入店舗や指定の回収業者へ依頼し、適切なリサイクル手続きに基づいて処分する必要がある。(※1)
家電リサイクル法で定められていない小型家電についても、小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)によりリサイクルが進められている。対象品目の一例として携帯電話やデジタルカメラ、パソコン、電子レンジ、電気掃除機、炊飯器などの28品目が含まれ、自治体や専用回収ボックスを通じてリサイクルする仕組みが整備されている。(※2)
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家電製品をリサイクルする流れには、引き取り依頼からリサイクル料金の支払い、指定場所での引き渡しまでの手順がある。
引き取りを依頼した場合、指定された日時に回収業者が訪問する。回収業者は、引き取りを行う店舗やその委託を受けた事業者となる。回収を依頼する際は「家電リサイクル券」に必要事項を記入する必要があり、回収時または店頭で行うことができる。引き取りの際、業者から家電リサイクル券の控えが渡される。この控えを利用して、店舗や家電リサイクル券センターのウェブサイトでリサイクルの進捗状況を確認することが可能である。
収集運搬料金は業者によって異なるが、量販店では買替えなら644円~688円、回収のみの場合は2,319~2,458円ほどが目安である。また地域小売店では買替え時に2,026円~2,632円、回収のみなら2,451円~3,086円程度となっている。(※3)
リサイクル対象の家電製品を処分するには、購入した店舗または家電量販店に引き取り依頼をする。家電リサイクルには、リサイクル料金の支払いが必要だ。料金はメーカー、家電の種類ごとに異なり、引き渡し時や買い替え品購入時、もしくは事前に郵便局でリサイクル券を購入して支払う。支払った後のリサイクル券は引き渡しの際に提示する。(※1)(※4)
家電製品をリサイクルする際には、家電量販店の回収場所や、市町村が指定するリサイクル受付施設に運ぶことができる。また、指定引取場所に直接持ち込むことも可能である。(※1)
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家電リサイクルには、さまざまな回収方法が存在する。店舗や業者、自治体の施設など、家庭の状況に応じた回収手段を利用できる。
基本的に購入店舗や指定業者へ回収を依頼する。ただし店舗によっては、引き取りが難しい場合がある。また購入した店舗がわからない場合は、自治体の指定する取引所に直接持ち込む。(※1)
多くの自治体はリサイクルセンターを設置し、地域住民が家電を持ち込んで処分できる場所を提供している。自治体ごとに対応が異なるため、地域の案内や規定に従おう。詳しくは各自治体のホームページを確認してほしい。(※1)
家電製品を運び出すのが難しい場合、業者の訪問回収サービスが利用できる。訪問回収は便利だが、費用がかかる。また回収業者によって条件が設定されているため、回収可能かどうか問い合わせて確認する必要がある。例えばヤマダ電機の場合は、ヤマダウェブコムで新品家電を購入した場合のみ、配達時に同型の製品を引き取ってもらえる。リサイクル料金は、16型以上のテレビで3,456円〜となっている。(※5)
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家電リサイクルを行う際には、適切な手順に従い、安全かつ合法的な方法で処理することが重要である。ここでは、家電リサイクルにおける注意点について解説する。
不法投棄は、環境や地域に深刻な影響を及ぼす。なかには違法に営業する事業者も存在し、依頼すると不適切な処理が行われる可能性がある。街中を大音量で巡回する車やチラシで無料回収をうたう業者は、廃棄物の処理許可を得ていない場合もあるので注意が必要だ。無許可業者が回収した家電は不法投棄されることもあり、環境破壊や地域の景観を損なう要因となる。さらに適切な管理が行われないと、火災の原因になるケースも報告されている。家電のリサイクルを依頼する際には、必ず自治体の許可を得た業者に依頼することが推奨される。(※1)
IoTが普及する昨今、家電には個人情報が含まれていることもある。テレビや冷蔵庫には、インターネットの閲覧履歴や連絡先情報が保存されていることがあるため、処分前にデータの消去を徹底する必要がある。個人情報を適切に削除せずに家電を処分すると、情報漏洩のリスクが高まる。家電をリサイクルに出す際には、設定の初期化やデータ消去ソフトを使用して情報を完全に削除しておきたい。
リサイクル料金を支払った際に発行されるリサイクル券は、家電リサイクルを適切に行う証明となるものである。リサイクル券は家電の回収時や最終的な処理が完了した際に必要となるため、紛失しないように大切に保管する。リサイクル料金支払い後は、確実に保管しておくべきであり、とくに引っ越しなどの作業がともなうときは注意したい。
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家電リサイクルは、限りある資源を有効活用し、環境負荷の軽減にもつながるものだ。ここでは、家電リサイクルがもたらす環境面での利点について解説する。
家電のリサイクルによって、鉄や銅などの貴重な素材が再利用される。新たに資源を採掘する必要が減るため、環境負荷の軽減につながる。限りある資源を効率的に使用するため、リサイクルによる資源の再利用が重要視されている。リサイクルを通じて、持続可能な資源利用が促進され、循環型社会の構築にも役立つ。
家電リサイクルを適切に行うことで、不法投棄や焼却処理が減少し、フロンガスや鉛などの有害物質の環境への放出が防がれる。また適正な廃棄物処理を行うことで、温室効果ガスの排出削減にも寄与する。廃棄物が正しい方法で処理されることで、自然環境や人々の健康を守る効果が期待される。
日本は3R(リデュース、リユース、リサイクル)を基盤にした循環型社会の実現を目指している。家電リサイクルはその一環であり、資源を無駄なく活用し、廃棄物の削減に取り組むものだ。家電リサイクルの推進により、環境と経済が調和した社会づくりが進み、国際的なリサイクル推進の流れにも対応している。(※6)
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使わなくなった家電を処分する際には、リサイクル法で決められた通り適切な処理方法を行わなければならない。適切にリサイクルを行うことで、資源を循環させ、環境負荷を抑えつつ持続可能な社会を目指せる。またあらゆる家電がインターネットに接続されるようになったことから、個人情報の消去など事前に行うことも忘れないようにしたい。
※1 あなたの家電処理の仕方は間違っている?|経済産業省
※2 小型家電と金属のリサイクル|国立環境研究所
※3 家電リサイクル法の収集・運搬料金に関する実態調査結果|経済産業省
※4 料金郵便局振込方式|一般社団法人家電製品協会
※5 家電リサイクル回収のお申込について|ヤマダウェブコム
※63R政策|経済産業省
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