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2019年、消費税が8%から10%に引き上げられた。食品などには8%が適用されるが、負担が大きいと感じる人は少なくないだろう。では、世界の消費税は何%なのだろうか。この記事では世界の消費税率ランキングや傾向、高い国・低い国の特徴と理由、世界と比較した日本について紹介する。
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世界各国の消費税(付加価値税)率ランキングを紹介していこう。世界には、日本の消費税と同じような税制がある。世界150以上の国や地域で採用されている付加価値税だ。これらの税率の高い国から順にランキングしていく。対象は、日本とOECD加盟国、EU、ASEAN+3(+台湾)で、標準税率と、軽減税率の1つである食品税率に注目する。
■世界各国の消費税(付加価値税)率ランキング(2024年1月現在)(※1)
順位 | 国名 | 標準税率% | 食品税率% |
1 | ハンガリー | 27 | 27 |
2 | デンマーク | 25 | 25 |
3 | ノルウェー | 25 | 15 |
4 | スウェーデン | 25 | 12 |
5 | クロアチア | 25 | 5 |
6 | フィンランド | 24 | 14 |
7 | ギリシャ | 24 | 13 |
8 | アイスランド | 24 | 11 |
9 | ポルトガル | 23 | 6 |
10 | ポーランド | 23 | 5 |
11 | アイルランド | 23 | 0 |
12 | エストニア | 22 | 22 |
13 | スロベニア | 22 | 9.5 |
14 | イタリア | 22 | 4 |
15 | リトアニア | 21 | 21 |
16 | スペイン | 21 | 21 |
17 | ラトビア | 21 | 12 |
18 | チェコ | 21 | 12 |
19 | オランダ | 21 | 9 |
20 | ベルギー | 21 | 6 |
21 | ブルガリア | 20 | 20 |
22 | オーストリア | 20 | 10 |
23 | スロバキア | 20 | 10 |
24 | フランス | 20 | 5.5 |
25 | トルコ | 20 | 1 |
26 | 英国 | 20 | 0 |
27 | チリ | 19 | 19 |
28 | ルーマニア | 19 | 9 |
29 | ドイツ | 19 | 7 |
30 | キプロス | 19 | 5 |
31 | コロンビア | 19 | 非 |
32 | マルタ | 18 | 0 |
ー平均税率17.7%ラインー | |||
33 | ルクセンブルク | 17 | 3 |
34 | イスラエル | 17 | 0 |
35 | メキシコ | 16 | 0 |
36 | ニュージーランド | 15 | 15 |
37 | 中国 | 13 | 9 |
38 | コスタリカ | 13 | 1 |
39 | カナダ | 13 | 0 |
40 | フィリピン | 12 | 非 |
41 | インドネシア | 11 | 非 |
42 | 日本 | 10 | 8 |
43 | オーストラリア | 10 | 0 |
44 | カンボジア | 10 | 非 |
45 | 韓国 | 10 | 非 |
46 | シンガポール | 9 | 9 |
47 | スイス | 8.1 | 2.6 |
48 | ベトナム | 8 | 5 |
49 | ラオス | 7 | 非 |
50 | タイ | 7 | 非 |
51 | 台湾 | 5 | 非 |
※食品税率%:0…ゼロ税率、非…非課税
上の表の通り、51カ国の平均税率は17.7%である。日本は、51カ国中42位と低い。
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ランキングの結果からわかることをもとに、世界各国の消費税率の傾向を見ていこう。
ランキングの上位を占めるハンガリー、デンマーク、スウェーデンといった国はEU加盟国である。EUは標準税率を15%以上と定めている。そのため加盟国の平均税率も、世界と比較して高い傾向にある。(※1)
1989年に3%だった日本の消費税率は、1997年に5%、2014年に8%、そして2019年には10%へと上昇を続けてきた。しかし2024年時点1月時点では、51カ国の平均税率17.7%よりも低い。(※2)
中国や韓国、ベトナムといったアジア諸国は、平均税率より低い傾向にある。また中東諸国ではトルコが中位、イスラエルは下位だ。トルコの標準税率は、2023年に18%から20%に引き上げられたばかりである。(※3)
カナダやメキシコ、コロンビア、コスタリカなどの北中米カリブ諸国では、食品税率に比べて標準税率が高い。一方で、食品税率は非課税や0%課税など、軽減税率を低く設定している国が多い。(※1)
51カ国中、食料品に軽減税率を採用しているのは42カ国、そのうち7カ国が0%である。また、非課税としている国は8カ国だ。食品については、多くの国で税率の緩和を実施している。(※1)
アフリカ地域はランキングの対象外だが、例えば南アフリカでは15%、一部の食料品については0%である。(※4)またケニアでは原則16%であり、ケニア政府が指定する一部品目のみ課税対象外だ。(※5)
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続いて、消費税率が高い国・低い国の特徴と理由を確認していこう。
消費税率ランキング上位の特徴は、社会福祉が充実していることである。例えば4位のスウェーデンは、高齢者福祉や育児政策が充実する福祉先進国の1つだ。これを支えているのは、国民からの税収である。スウェーデンの消費税負担率は17.6%と、日本の9.9%に比べて高い。(2021年時点)(※6)
3位のノルウェーも、スウェーデン同様に社会福祉に力を入れている。消費税率が高い分、暮らしやすい環境が実現し、それが生活の質の向上につながっていると考えられる。世界の幸福度ランキング2023では、1位フィンランド、2位デンマーク、3位アイスランド、6位スウェーデンと、消費税率ランキング上位の国が多い。(※7)
消費税率の低い国に多いのが、インドネシア、フィリピン、タイなどのアセアン諸国だ。これらの国の特徴は、GDPが低いことである。アセアン諸国全体のGDPは、3.62兆米ドルと、EUの16.64兆米ドル、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の29.02兆米ドルと比べて低い。(2022年)(※8)
消費税率とGDPとの関係については、いくつかの考え方がある。ひとついえるのは、消費税が上がるとGDPに影響を及ぼすということだ。(※9)例えば日本が2019年に行った消費税増税(8%から10%へ)により、実質GDPは7%以上減少した。(※10)こうしたGDPと消費税率との関係が、消費税率の低い理由のひとつとして考えられる。
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次は日本に焦点を当て、世界各国と比較した消費税率の現実を見ていこう。
日本では2019年に消費税率が8%から10%に上がった。負担の大きさから、減税を求める国民の声も聞かれる。しかし、世界的に見ると低いのが現実だ。
アジアは、ランキング全体でも低い国が多い。日本はそのなかでも、中国に次いで高い国である。食品税率が高めであることも1つの特徴だ。
日本の消費税率が世界的に低い理由には、先述したGDPとの関係もあるだろう。社会保障給付費は年々増加している。しかし、これを賄う財源は十分とはいえないのが現状だ。(※11)
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最後に、消費税の使い道について触れておこう。日本において消費税の税収は、社会保障4経費といわれる「年金」「介護」「医療」「子ども・子育て支援」に充てることになっている。(※12)またその他に、地方交付税として地方に交付する分がある。4経費と地方交付税について、配分割合を紹介する。
※現在の消費税10%のうち、7.8%は消費税、2.2%は地方消費税として使われている。食品税率の8%は、消費税6.24%、地方消費税1.76%という内訳だ。(※12)
1つ目は、年金・医療・介護・子ども・子育て支援である。令和6年度予算では、年金14.0兆円、医療12.2兆円、介護3.7兆円、子ども・子育て支援3.4兆円の合計33.4兆円が充てられている。(※12)消費税のおよそ9割が、こうした支援に使われる予定だ。
インフラや公的サービスの整備・提供は基本的に税金で賄われているが、消費税は使われていない。ただし、自治体が地方交付税をこの目的で使用する可能性はある。(※12)
もう1つは、地方交付税・地方消費税として地方へ交付することである。令和6年度予算では、地方交付税に4.6兆円、地方消費税に6.4兆円が充てられている。地方交付税の使途は制限されていないが、地方消費税は、社会福祉、社会保険、保健衛生に関する施策に充てることが地方税法で定められている。(七十二条の百十六)(※12)
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世界各国の消費税率ランキング(2024年1月現在)の上位には、標準税率を15%以上と定めているEUに加盟する諸国が名を連ねた。日本は2019年に8%から10%と標準税率を上げているが、負担の大きさから減税を求める声も少なくない。
日本の消費税率は51カ国中42位と、他のOECD加盟国と比べても低い。一方で、社会保障給付費は年々増加している。この財源をどうやって確保していくのか、消費税の今後が注目される。
※1 消費税など(消費課税)に関する資料 : 財務省
※2 税の歴史 | 税の学習コーナー|国税庁
※3 税制 | トルコ - 中東 - 国・地域別に見る - ジェトロ
※4 税制 | 南アフリカ共和国 - アフリカ - 国・地域別に見る - ジェトロ
※5 ケニアの税制関係 | 海外建設・不動産市場データベース | 国土交通省
※6 負担率に関する資料 : 財務省
※7 World Happiness, Trust and Social Connections in Times of Crisis | The World Happiness Report
※8 目で見るASEAN-ASEAN経済統計基礎資料|令和5年12月アジア太平洋州局地域政策参事官室
※9 国⽴国会図書館 調査と情報―ISSUE BRIEF― No. 1029(2018.12.18) 消費税率引上げの影響と対策
※10 2019年10~12月期四半期別GDP速報 (2次速報値)|内閣府
※11 社会保障給付費の推移等|厚生労働省
※12 消費税の使途に関する資料 : 財務省
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