世界の消費税ランキング【2024年最新版】特徴・理由・使い道も

表彰台

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2019年、消費税が8%から10%に引き上げられた。食品などには8%が適用されるが、負担が大きいと感じる人は少なくないだろう。では、世界の消費税は何%なのだろうか。この記事では世界の消費税率ランキングや傾向、高い国・低い国の特徴と理由、世界と比較した日本について紹介する。

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2024.09.29

世界各国の消費税(付加価値税)率ランキング

白い棒グラフ

Photo by Алекс Арцибашев

世界各国の消費税(付加価値税)率ランキングを紹介していこう。世界には、日本の消費税と同じような税制がある。世界150以上の国や地域で採用されている付加価値税だ。これらの税率の高い国から順にランキングしていく。対象は、日本とOECD加盟国、EU、ASEAN+3(+台湾)で、標準税率と、軽減税率の1つである食品税率に注目する。

■世界各国の消費税(付加価値税)率ランキング(2024年1月現在)(※1)

順位国名標準税率%食品税率%
ハンガリー2727
デンマーク2525
ノルウェー2515
スウェーデン2512
クロアチア25
フィンランド2414
ギリシャ2413
アイスランド2411
ポルトガル23
10ポーランド23
11アイルランド23
12エストニア2222
13スロベニア229.5
14イタリア22
15リトアニア2121
16スペイン2121
17ラトビア2112
18チェコ2112
19オランダ21
20ベルギー21
21ブルガリア2020
22オーストリア2010
23スロバキア2010
24フランス205.5
25トルコ20
26英国20
27チリ1919
28ルーマニア19
29ドイツ19
30キプロス19
31コロンビア19
32マルタ18
ー平均税率17.7%ラインー
33ルクセンブルク17
34イスラエル17
35メキシコ16
36ニュージーランド1515
37中国13
38コスタリカ13
39カナダ13
40フィリピン12
41インドネシア11
42日本10
43オーストラリア10
44カンボジア10
45韓国10
46シンガポール
47スイス8.12.6
48ベトナム
49ラオス
50タイ
51台湾

※食品税率%:0…ゼロ税率、非…非課税

上の表の通り、51カ国の平均税率は17.7%である。日本は、51カ国中42位と低い。

世界各国の消費税率の傾向

地球儀

Photo by CHUTTERSNAP

ランキングの結果からわかることをもとに、世界各国の消費税率の傾向を見ていこう。

ヨーロッパ諸国は消費税率が高い傾向

ランキングの上位を占めるハンガリー、デンマーク、スウェーデンといった国はEU加盟国である。EUは標準税率を15%以上と定めている。そのため加盟国の平均税率も、世界と比較して高い傾向にある。(※1)

日本は平均税率17.7%より低い

1989年に3%だった日本の消費税率は、1997年に5%、2014年に8%、そして2019年には10%へと上昇を続けてきた。しかし2024年時点1月時点では、51カ国の平均税率17.7%よりも低い。(※2)

アジア・中東諸国は平均税率より低い傾向

中国や韓国、ベトナムといったアジア諸国は、平均税率より低い傾向にある。また中東諸国ではトルコが中位、イスラエルは下位だ。トルコの標準税率は、2023年に18%から20%に引き上げられたばかりである。(※3)

北中米カリブ諸国では標準税率が高い

カナダやメキシコ、コロンビア、コスタリカなどの北中米カリブ諸国では、食品税率に比べて標準税率が高い。一方で、食品税率は非課税や0%課税など、軽減税率を低く設定している国が多い。(※1)

51カ国中42カ国で⾷料品に軽減税率を採用

51カ国中、食料品に軽減税率を採用しているのは42カ国、そのうち7カ国が0%である。また、非課税としている国は8カ国だ。食品については、多くの国で税率の緩和を実施している。(※1)

アフリカ地域では10%台が多い

アフリカ地域はランキングの対象外だが、例えば南アフリカでは15%、一部の食料品については0%である。(※4)またケニアでは原則16%であり、ケニア政府が指定する一部品目のみ課税対象外だ。(※5)

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消費税率が高い国・低い国の特徴と理由

ベビーカーを押す人のピクト

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続いて、消費税率が高い国・低い国の特徴と理由を確認していこう。

消費税率が高い国の特徴と高い理由

消費税率ランキング上位の特徴は、社会福祉が充実していることである。例えば4位のスウェーデンは、高齢者福祉や育児政策が充実する福祉先進国の1つだ。これを支えているのは、国民からの税収である。スウェーデンの消費税負担率は17.6%と、日本の9.9%に比べて高い。(2021年時点)(※6)

3位のノルウェーも、スウェーデン同様に社会福祉に力を入れている。消費税率が高い分、暮らしやすい環境が実現し、それが生活の質の向上につながっていると考えられる。世界の幸福度ランキング2023では、1位フィンランド、2位デンマーク、3位アイスランド、6位スウェーデンと、消費税率ランキング上位の国が多い。(※7)

消費税率が低い国の特徴と低い理由

消費税率の低い国に多いのが、インドネシア、フィリピン、タイなどのアセアン諸国だ。これらの国の特徴は、GDPが低いことである。アセアン諸国全体のGDPは、3.62兆米ドルと、EUの16.64兆米ドル、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の29.02兆米ドルと比べて低い。(2022年)(※8)

消費税率とGDPとの関係については、いくつかの考え方がある。ひとついえるのは、消費税が上がるとGDPに影響を及ぼすということだ。(※9)例えば日本が2019年に行った消費税増税(8%から10%へ)により、実質GDPは7%以上減少した。(※10)こうしたGDPと消費税率との関係が、消費税率の低い理由のひとつとして考えられる。

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世界各国と比較した日本の消費税率

ビルを背にした日本の国旗

Photo by Roméo A.

次は日本に焦点を当て、世界各国と比較した消費税率の現実を見ていこう。

日本の消費税率は世界的に見ると低い

日本では2019年に消費税率が8%から10%に上がった。負担の大きさから、減税を求める国民の声も聞かれる。しかし、世界的に見ると低いのが現実だ。

アジア諸国と比較すると高い

アジアは、ランキング全体でも低い国が多い。日本はそのなかでも、中国に次いで高い国である。食品税率が高めであることも1つの特徴だ。

日本の消費税率が低い理由

日本の消費税率が世界的に低い理由には、先述したGDPとの関係もあるだろう。社会保障給付費は年々増加している。しかし、これを賄う財源は十分とはいえないのが現状だ。(※11)

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消費税の使い道とは

聴診器とカード

Photo by Marek Studzinski

最後に、消費税の使い道について触れておこう。日本において消費税の税収は、社会保障4経費といわれる「年金」「介護」「医療」「子ども・子育て支援」に充てることになっている。(※12)またその他に、地方交付税として地方に交付する分がある。4経費と地方交付税について、配分割合を紹介する。

※現在の消費税10%のうち、7.8%は消費税、2.2%は地方消費税として使われている。食品税率の8%は、消費税6.24%、地方消費税1.76%という内訳だ。(※12)

医療・教育・社会保障の充実

1つ目は、年金・医療・介護・子ども・子育て支援である。令和6年度予算では、年金14.0兆円、医療12.2兆円、介護3.7兆円、子ども・子育て支援3.4兆円の合計33.4兆円が充てられている。(※12)消費税のおよそ9割が、こうした支援に使われる予定だ。

インフラや公的サービスの整備・提供

インフラや公的サービスの整備・提供は基本的に税金で賄われているが、消費税は使われていない。ただし、自治体が地方交付税をこの目的で使用する可能性はある。(※12)

地方交付税・地方消費税として地方へ

もう1つは、地方交付税・地方消費税として地方へ交付することである。令和6年度予算では、地方交付税に4.6兆円、地方消費税に6.4兆円が充てられている。地方交付税の使途は制限されていないが、地方消費税は、社会福祉、社会保険、保健衛生に関する施策に充てることが地方税法で定められている。(七十二条の百十六)(※12)

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消費税率の今後に注目

紙、クリップ、ペン、電卓

Photo by Mediamodifier

世界各国の消費税率ランキング(2024年1月現在)の上位には、標準税率を15%以上と定めているEUに加盟する諸国が名を連ねた。日本は2019年に8%から10%と標準税率を上げているが、負担の大きさから減税を求める声も少なくない。

日本の消費税率は51カ国中42位と、他のOECD加盟国と比べても低い。一方で、社会保障給付費は年々増加している。この財源をどうやって確保していくのか、消費税の今後が注目される。

※掲載している情報は、2024年9月29日時点のものです。

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