子育て支援給付金とは? 制度や種類、対象者をわかりやすく解説

子どもとお母さん

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子育て支援給付金とは、支援を必要とする子どもとその家庭に給付されるお金のことだ。食費などの物価高騰に直面し、影響を受ける子育て世帯の経済的負担は大きいといえる。この記事では子育て世帯への支援給付金や制度、種類などをわかりやすく解説する。

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2024.09.21
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子育て支援給付金の定義と目的

ベンチに座る赤ちゃん

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子育て支援給付金とは、子育てに関する経済的負担の軽減を目的とし、少子化対策につなげていけるよう社会全体で子育て世帯を応援する取り組みである。少子化・人口減少が危機的な状況にある日本では、令和5年に閣議決定された「こども未来戦略」において、児童手当の制度改正などによる子ども・子育て政策の給付拡充を行っている。(※1)

妊娠・出産に関する給付金の種類

妊婦さん

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ここでは妊娠・出産に関する給付金の種類について紹介する。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、被保険者およびその扶養者が出産した際に「協会けんぽ」へ申請することで受け取れる給付金制度である。なお双子などの多胎児を出産した場合は、胎児数分が支給される。給付額は1児につき約50万円となっている。(※2)

出産・子育て応援交付金|東京都

出産・子育て応援交付金とは、子育て中の家庭を応援する取り組みである。妊娠・出生届出を行った妊婦に、育児用品や子育て支援サービスなどを提供している。妊娠時に対象となる妊婦に5万円相当、出産後は対象となる児童1人につき10万円相当が支給される。

なお、この制度は東京都以外に在住の方も対象となる。ただし支給方法は各自治体によって異なるため、事前にHPなどで確認しておくと安心だ。(※3)

育児休業給付金

育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が子どもの出生後8週間の期間内で合計4週間分を育休として取得した際に、一定の条件を満たすことで「出生時育児休業給付金」を受け取れる制度だ。さらに1歳未満の子どもを育てるために育児休業をした場合も一定の条件を満たしていれば育児休業給付金が受け取れる。

ただし子どもの出生日から期限内に「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を提出する必要があるため、事前に「育児休業給付の内容と支給申請手続」の内容を確認しておきたい。(※4)

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子育て世代への給付金の種類

お父さんと子どもたち

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ここでは子育て世代の給付金の種類について紹介する。

児童手当

児童手当とは、中学校卒業までの児童を養育している方が対象の制度である。令和6年10月以降に拡充され、支給期間が高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に延長。支給額は、月額で3歳未満が一律15,000円、3歳以上〜高校生年代までが10,000円(第3子以降は30,000円)となる。(※5)

児童扶養手当

児童扶養手当とは、18歳(障害児の場合は20歳未満まで)に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を監護する者(母など)が受け取れる手当である。原則として、両親の離婚や死別、または両親のどちらかが一定程度の障害状態や生死不明の状態の児童を監護している者が対象となる。

支給額は、全額で月額45,500円、一部支給で月額10,740〜45,490円となっている。また児童2人目以降は全額で月額10,750円、一部支給で月額5,380円〜10,740円が加算される。(※6)

018(ゼロイチハチ)サポート|東京都

018(ゼロイチハチ)サポートは、東京都内に在住(令和6年度中に都内に住所を有する、または有していた方)の0〜18歳(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある方)の子どもに対し、1人あたり月額5,000円を支給する取り組みを行っている。対象者に所得制限はなく、上記の児童を監護し生計を同じくする父・母などが受け取れる仕組みだ。(※7)

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高等教育費の負担軽減制度や給付金の種類

勉強する人

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ここでは、高等教育費の負担軽減制度や給付金の種類について紹介する。

授業料等の減免

高等教育の修学支援新制度では、授業料・入学金の免除や減額(授業料など減免)と給付型奨学金支給の2つの支援が受けられる。対象者は世帯収入や資産の条件を満たしていること、進学先で学ぶ意欲があることの2つを満たすことが条件となっている。(※8)

給付型奨学金

給付型奨学金とは、返済不要の奨学金である。通学している高校・大学または住んでいる都道府県や市区町村からもらえる場合があり、そのほか「公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)」といった給付型奨学金をくれる団体も存在する。団体から学校に募集通知が届いている場合もあるため、確認しておくといいだろう。(※9)

高等教育の授業料無償化

高等教育の修学支援新制度の実施にともない、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯や私立の理工農系学部などに通う学生の中間層への支援を拡大している。令和5年12月に閣議決定された「子ども未来戦略」により、令和7年度からは多子世帯の学生などに対し、大学などの受験料・入学金を無償化することが決定している。(※10)

貸与型奨学金

貸与型奨学金とは、学費や生活費を借りる奨学金である。貸与型奨学金は在学中に返済しなくていいが、卒業後に返していく必要がある。貸与型奨学金は無利子と利子付きの2つがある。(※11)

給付型の奨学金の支給条件は厳しいため、国内の奨学金利用者の9割近くは貸与型奨学金を利用している。そのほか、入学時の一時金として、利子付きの「入学時特別増額貸与奨学金」も存在する。(※11、※12)

授業料後払い制度

授業料後払い制度とは、大学院修士課程(博士前期相当の課程も含む)や専門職学位課程の在学者が、在学中に授業料を支払わずに卒業後の所得に応じて後払いの納付ができる制度である。授業料後払い制度では、授業料と相当額の支援を含む「授業料支援金」と、在学中の生活費の支援を含む「生活費奨学金」の2つを無利子で受けられる制度となっている。(※13)

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子育て支援給付金の今後

お母さんと子ども

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日本政府は少子化対策として、積極的に子育て支援給付金の拡充を進めていくとしている。子育て支援給付金の今後の追加案として「異次元の少子化対策」が挙げられる。具体的な内容には、児童手当の所得制限の撤廃や高校卒業までの支給期間の延長、第3子以降への支給額を3万円へ引き上げるなどが挙げられる。

さらに2025年以降は、高等教育に対して大学授業料無償化や、育休期間の給料を28日間手取り10割支給に向けて推し進めるなどの政策も実施していく予定だ。(※14)

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子育て支援給付金を最大限に活用するためにできること

パソコンを使う人

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ここでは子育て支援給付金を、最大限に活用するためにできることについて紹介する。

対象となる制度を調べる

子育て支援給付金を最大限活用するために、まずは対象となる制度を調べておくことが大切だ。国や各自治体のHPにて自身の家庭が対象となるか確認しよう。

住んでいる地域の給付金を知る

住んでいる地域の給付金を知っておくことも大切だ。地域によって行われている給付金や支援方法は異なる。したがって各自治体のHPを確認したり、自身の家庭が対象となるかわからない場合は一度問い合わせてみたりするといいだろう。

申請に必要な書類を準備する

対象となる制度や住んでいる地域の給付金を確認したら、申請に必要な書類を準備しておくことも大切だ。申請期限が設けられている制度も多いため、事前に必要な書類や期日の情報を確認しておこう。

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子育て支援給付金とは社会全体で子どもを育てる仕組み

ビル

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子育て支援給付金とは、支援を必要とする子どもとその家庭を社会的に支えるために給付されるお金だ。少子化が深刻化する日本では決して簡単なことではないが、政府は時代とともに政策の改善・拡充を進めている。これらは子を持つ家庭だけが考える問題ではない。社会全体で、すべての子どもが生きやすい社会づくりを意識していきたい。

※掲載している情報は、2024年9月21日時点のものです。

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