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ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州フライブルク市では、今学期から公立小学校および幼稚園で提供する給食を、肉を使わないベジタリアンメニューに統一した。同市はドイツ随一の環境都市としても有名だが、子どもの栄養をめぐってドイツ国内で大きな議論を呼んでいた。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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2023年9月の新学期から、ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州フライブルク市の公立小学校および幼稚園ではベジタリアンメニューの給食が毎日提供されている。同案については、2022年10月に同市議会で採決を行い、賛成27票、反対14票で可決した。
ベジタリアンメニューへ踏み切った理由としては、多種多様な人種や文化的背景の子どもたちの嗜好に広く対応すること、環境に配慮し持続可能な形で、健康的でおいしい食事を多くの子どもたちに提供することが挙げられている。
また、より多くのオーガニック製品を給食のメニューに取り入れるため、これまで原材料の20%がオーガニックであったのに対し、今後は30%にまで引き上げる予定だという。
フライブルクの公立小学校・幼稚園では年間50万食以上の給食を提供しており、同市は今回のベジタリアンへの切り替えについて、社会的および環境的にも重要な決定であると考えているという。
今日、ドイツ各地の幼稚園や小学校では、ベジタリアン食を導入することはめずらしいことではない。週に1〜2回のベジタリアン食の導入が自治体レベルで議論されたり、ベジタリアンやヴィーガンの選択肢を提供したり、さらに肉や魚を一切使用しない私立校なども増えている。
一方で今回議論となったのは、一律で「ベジタリアンのみ」になった点だ。2022年にフライブルク市の公立学校でベジタリアンメニューの採用を決めたことで、子どもの栄養について全国的な論争が巻き起こった。子どもたちが肉を食べるべきか、またどのくらい食べるべきかについては、科学的にもさまざまな議論がある。実際、これまで同市の給食は2種類から選ぶことができ、肉や魚なども提供されてきた。
新しくなったフライブルク市の給食は、卵や乳製品は使用する「ラクトオボベジタリアン」。肉や魚を食べなくても重要な栄養素が欠けることはなく、子どもたちの栄養ニーズを満たすことができると、シュトゥットガルトクリニック小児科医のトーマス・ハイゲレ氏は説明する。
また「決して肉を禁止しているわけではない」と同市のマルティン・ホルン市長は強調する。実際、軽食としてソーセージやハムなどの肉製品の持参も認められている。また当然ながら、家庭では朝食や夕食、週末に自由に肉や魚を食べられるため、週に5日の昼食をベジタリアン食に切り替えることは、健康上メリットがあるという。
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フライブルク市はドイツ屈指の「環境都市」として、環境負荷が少ない公共交通機関の整備をはじめ、自家用車の市街中心地への乗り入れ制限、省エネ政策などを積極的に行ってきた。
ベジタリアンメニューへの統一が導入されて数週間が経ったが、今のところ学校給食に対して保護者からの苦情などはないという。一方で同市の保護者協議会は、子どもや保護者たちがこの変化をどのように受け取っているか、今後調査を実施する予定である。
畜産と気候変動の関連性が無視できなくなるにつれ、ドイツはもちろん世界各地で人々の肉食習慣が変化しつつある。フライブルクでの今回の決断が、環境保護や子どもたちの健康にとって先進的な取り組みとなるのか、その結果に引き続き注目していきたい。
※参考
Freiburger Grundschulen und Kitas bieten nur noch vegetarisches Einheitsmenü an|WELT
Nur Veggie-Essen für Kinder - eine gute Idee?|ZDF
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