ベジタリアンは、実はいろいろな種類がある。宗教上の理由で肉がダメな人、健康のために赤身の肉だけやめる人など、食べられないものは人によってかなり違う。あまり自分に厳しくしすぎなくても、気軽に始められるタイプもあるので、いま一度おさらいしておこう。
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ベジタリアンとは、肉や魚を食べない人たちのことで、個々のポリシーによって食べられないものが微妙に違う。環境のために動物性食品を一切口にしない人もいれば、健康のために肉だけ抜くようにしている人もいる。
みんながみんな宗教的な理由でベジタリアンになるわけではなく、最近は自分の意思でなる場合も多く見受けられる。
ベジタリアンの起源には諸説あるが、紀元前6世紀にギリシャの哲学者ピタゴラスが考え出したのが始まりだとされている。彼は宗教的な考えがあったわけではなく、「肉を食べない方が、体や精神にいいのでは」と考え、弟子らとともに実行した。
その後インドのヒンズー教やジャイナ教でも、ベジタリアンが推奨されるようになり、さまざまな宗教を通して少しずつ世界中に広まっていった。
Photo by Adolfo Félix on Unsplash
肉や魚介類はもちろん、卵、乳製品、はちみつ、ゼラチンなども食べないのがビーガン(ヴィーガン)だ。食品の製造過程にまでこだわる人もおり、上白糖を取らない人もいる。これは砂糖を白くする過程で、牛骨の炭を使われる場合が多いからだ。
ビーガンは宗教とは関係ないが、動物が好きな人や、環境問題に真剣に取り組んでいる人に多く見られる。ドイツやアメリカには、ビーガンレストランやスーパーがたくさんあり、もはや当たり前の光景になっている。
肉や魚介類は一切食べない。加工品も例に漏れず、コンソメやラード、コラーゲンパウダーなども口にしない。かつお節やにぼしを使った出汁もNGだ。無精卵や牛乳、はちみつは摂取する人もいる。
インドのジャイナ教では、生き物の殺生せずにベジタリアンになるのが信者の義務。無精卵や牛乳については、人によって意見がわかれているので、個別に確認が必要だ。ヒンズー教や大乗仏教の場合は、聖典のなかでベジタリアンになることが推奨されている。
台湾の仏教徒はオリエンタルベジタリアンと呼ばれ、肉・魚介類のほかに、ニンニクやネギなどの五葷を食べることが禁止されている。
有精・無精に関わらず、卵を食べないタイプのベジタリアン。鶏の卵だけでなく、うずらやダチョウの卵も摂取しない。麺のコシを出すのに使われる「卵殻カルシウム」もアウトだ。
ヨーグルトやチーズなどの乳製品から、手軽にビタミンB12やカルシウムを摂りたい人、卵アレルギーの人などに多い。ほとんどのヒンズー教の人たちはこのタイプ。インド独立の父であるガンジーもヒンズー教徒で、健康のためにヤギのミルクだけは飲むようにしていたとか。
肉と魚介類は食べないが、乳製品と卵は食べる。栄養バランスを考えるのが楽なので、健康のために自らベジタリアンになった人に多い。
動物性食品を完全にやめるのが怖い人や、ビーガンになる前の前段階として経験してみたい人などに向いている。
魚と牛肉、豚肉、羊肉などの赤身の肉は摂取しないが、鶏肉やターキーの鳥類は食べる種類のベジタリアン。卵・乳製品は口にする。セミベジタリアンと呼ばれることもある。
いきなりビーガンになるのは大変そう、体調管理のために肉を完全にはやめたくない、そんな理由で選択する人に支持されている。
肉・卵・乳製品は食べないが、魚介類は食べる人たちのこと。牛肉を1キロ生産するのには、水が2トンも必要。それに、家畜のゲップやおならからは、メタンガスが発生して温暖化の原因となっている。メタンは二酸化炭素より23倍も温室効果が高いから、ペスカタリアンの人は環境のために陸の動物は一切摂取しない。
日本だと、かつお出汁が入っていない食べ物を見つけるのは案外難しい。毎食食品表示とにらめっこするのは大変だけど、ペスカタリアンなら続けやすい。
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