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世界の主要約60カ国を対象にした「世界競争力ランキング」。企業成長しやすい環境が整えられているかを重視したランキングだ。2022年のランキング上位20位と、結果から見える傾向や今後の予測などについて紹介する。
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2022年の世界競争力ランキングを見てみよう。対象国は63カ国である。ここでは上位20カ国を紹介する。
順位 | 国名 |
---|---|
1位 | デンマーク |
2位 | スイス |
3位 | シンガポール |
4位 | スウェーデン |
5位 | 香港特別行政区 |
6位 | オランダ |
7位 | 台湾(中国) |
8位 | フィンランド |
9位 | ノルウェー |
10位 | アメリカ合衆国 |
11位 | アイルランド |
12位 | アラブ首長国連邦 |
13位 | ルクセンブルク |
14位 | カナダ |
15位 | ドイツ |
16位 | アイスランド |
17位 | 中国 |
18位 | カタール |
19位 | オーストラリア |
20位 | オーストリア |
2022年版の世界競争力ランキングはデンマークが1位をマークした。北欧国家では初である。日本は昨年の31位よりも3ポイントのランクダウンで34位になった。
1位になったデンマークをはじめ、4位のスウェーデン、9位のノルウェーなど北欧勢が競争力の高さを誇示している。この3カ国は世界競争力ランキング上位の常連だ。
とくに今回1位のデンマークは環境意識の高まりからSDGsに注力し、他国よりも「環境」項目で一歩先んじていると評価された。逆に言えば他国がサステナビリティの点で後塵を拝しているということでもある。
またデンマークでは国際投資関連の改善に成功した。投資フローの増加、物価上昇の抑制が代表的だ。結果として公的債務と政府の赤字が減少し、財政の強化が高く評価された。
ビジネス面でも企業が損失を感じづらい環境を整えている。法人税率はEUやOECD並みの22%である。企業の海外進出の際には二重課税の心配がない。R&D関連税制(研究開発に対する税制優遇)の導入で税額控除制度・特別所得控除制度があり、イノベーションを促進しやすいことも大きい。
アジアでは、3位のシンガポールがトップに立った。2020年は1位、2021年は5位であり、アジア上位の常連である。経済力を保ちながらも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染を抑制したことが評価されたと見られる。5位の香港、7位の台湾も同様に感染の抑制が評価された傾向だ。
日本のランキングは34位にとどまり、世界競争力ランキングのなかでは競争力があるとは言えない評価である。しかし過去はアジアのなかでトップを走る競争力を持っていたこともたしかだ。
1989年から1992年まで、日本は世界競争力ランキングの1位をマークしていた。1996年までは5位以内をキープし続けた実績がある。
しかし1997年からは順位を落としている。1997年は大手証券会社の倒産をはじめ、銀行の経営破綻が起こるなど、日本経済が大きな打撃を受けた年だ。日本の経済史では金融危機として記録されている。消費税率の上昇で一般家庭での買い控えが起きたことも影響しているだろう。
またそれ以前の1991年、バブル崩壊以降、ノンバンクや不動産融資事業で巨額の不良債権が発生し、日本経済は深刻化し続けていた。それに加え前述の金融危機で金融システムの不安が明らかになり、経済活動は縮小を続けることになる。世界競争力ランキングが下がるのもやむを得ないと言えるだろう。
以降、日本は順位を落とし続け、2019年には初の30位をマークする。それからは30位台にとどまり続け、2022年は34位に終わった。
金融危機のほか、日本の競争力低下の原因は「ビジネスの効率性の低下」と「アジア諸国の台頭」が考えられる。
ビジネスの効率性の低下はDX(デジタルトランスフォーメーション)化の遅れが大きい。世界的にDX化が推進されるなか、日本はいまだに旧態依然のビジネスシステムが残されている。内閣府ではとくに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響拡大で顕在化したと総括した。(※2)
完全なDX化はいまだ不完全な日本企業も多い。グローバル視点では「変化に弱い」「遅れている」と見られ、世界競争力ランキングの評価項目のひとつである効率性で低評価を受けても仕方ない。
研究分野でも効率性に弱点が見られる。日本の研究水準はグローバル的に見ても高く、研究開発費も削減されているとはいえ世界3位の水準である。しかし企業の閉鎖性や管理職の海外経験不足などから研究結果を柔軟に活かしきれない一面があり、改革が求められる分野だろう。
また、アジア諸国の台頭は、日本の高い技術力でつくられた製品が必ずしも必要とされない市場をつくり上げた。アジア諸国の技術力が上がり、「それなりによい製品が安価で手に入る」という土壌が生まれている。日本製品の品質がよいことはいまでも不動の事実だが、人々のライフスタイルや意識に変化が生まれ、影響が出ていることもたしかだ。
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