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世界の主要約60カ国を対象にした「世界競争力ランキング」。企業成長しやすい環境が整えられているかを重視したランキングだ。2022年のランキング上位20位と、結果から見える傾向や今後の予測などについて紹介する。
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世界競争力ランキングから読み取れる日本の弱点は複数ある。DX化の遅れが象徴するように、環境や市場への変化に迅速な対応ができていない。結果として競争力を持つ他国よりも改革のためのスタートが遅れている。世界市場の状況に対応する管理職や若手の育成環境が整っているとは言いがたい一面も重要だ。
世界競争力ランキングのアンケート回答では、日本企業の意思決定が迅速ではないこと、脅威への対応力の低さ、経営陣の自国状況認識が楽観的であるなどを問題点として指摘したエグゼクティブも多い。
いっぽう、日本には強みもある。研究開発力の高さ、高品質の製品を生み出す技術力は過去から変わらず高い評価を得続けている。
世界経済フォーラムの「The Global Competitiveness Report 2019(世界競争力レポート)」では研究開発分野の競争力で日本が1位の評価を受けた。特許出願件数は世界で1位をマークし、ビジネススキームで新たな価値を創出する人材の多さはG7で1位、世界で3位の評価を受け、イノベーションを有していることもわかる。強みである競争力や人材をいかにして活用するかが課題だと言えるだろう。
高品質の製品を生み出す技術力も大きな強みだ。ハーバード大学の「The Atlas of Economic Complexity(経済の複雑性指数、多様な高付加価値を有する製品を輸出する能力指標)」では2000年から2020年まで世界1位を独走し続けている。(※3)
整った輸送インフラも強みのひとつになる。世界経済フォーラムの前述レポートによれば鉄道サービスの効率性は世界1位、そのほか空港接続性・海運サービス効率性・道路インフラの質も高い順位をマークしている。ビジネスと輸送インフラは密接な関係にあり、世界競争力ランキングで重視される項目「ビジネスの効率性」に大きく貢献していることは想像にかたくない。
このような強みは世界市場も認識している。経済回復がかんばしくないと言われている日本への投資が継続している理由の一端だ。しかしいつまでも弱点が克服できなければ競争力が再度上向きになることは難しい。弱点の克服と強みのさらなる強化が求められるだろう。
世界競争力ランキングは世界経済と日本の現状を比較する重要なデータだ。経済状況や課題が浮き彫りになることによって今後のロードマップ作成に大きな影響を与える。
日本の競争力ランキング結果は現状でアジアの中程度に位置している傾向である。しかしすぐれた研究開発力、技術力、イノベーションを有するという強みもあり、決して今後の打開策がないとは言い切れない。弱点の克服と強みのさらなる強化が望まれる。
※1 World Competitiveness Ranking|IMD
※2 第5期科学技術基本計画レビュー とりまとめ(案)|内閣府
※3 Country & Product Complexity Rankings|ATLAS OF ECONOMIC COPLEXITY
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