グリーントランスフォーメーションは、通称GXとも呼ばれる新たな社会変革のことだ。最新技術を駆使し脱炭素化を目指す時代の流れを指し、昨今EUだけでなく世界各国で同様の動きが目立っている。日本でも脱炭素にかかる法改正を受け、GXが話題になってきている。
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グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)とは、産業革命、IT革命に次ぐ世界的な社会変革だ。これは、再生可能エネルギーへの移行をはじめとした先進的な取り組みを通じ、経済活動を止めずに脱炭素化社会を実現する、というものである。略称はGX。GはGreenの頭文字、Xは英語で「Trans」を略するときに使われる文字である。
GXという言葉を耳にすることが増えた背景には、世界各国が環境問題対策を立て続けに発表していることがある。2020年12月には、EU理事会がデジタルトランスフォーメーション(DX)とGXを両立し、地球にやさしい最先端技術を用いながら環境保護と経済の発展を推進すると発表した。また、中国やアメリカも温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すと明言しており、世界がグリーンな方向へ足並みを揃え出したことが伺える。
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産業が発展するにつれて、人々の暮らしは豊かで便利になった。その一方で温室効果ガスの排出量が増えてしまい、地球温暖化に拍車がかかっている。気候変動による被害は、もはや無視できないほど深刻だ。
度重なる森林火災に人命を脅かす巨大台風、干ばつによる水不足と、もはや枚挙にいとまがない。自然災害による経済損失は、2030年には全世界で2兆4,000億ドルにのぼるとみられている。(※1)
このまま環境問題が悪化すると、農作物の収穫量が不安定になり、飢餓で苦しむ人が増えてしまう。現状、世界には栄養不足で苦しんでいる人が約7億人もいる。地球の人口はこれからますます増えていくことが予想されていることから、事態を好転させなければ多くの人が食糧不足に頭を悩ませることになるのは言うまでもない。
みんなが安全な環境下で幸せに暮らせるようにするためには、経済のあり方やライフスタイルをサステナブルな方向に変える他ないのだ。
気候変動が経済だけでなく我々の身にも影響を及ぼすことが明らかになった昨今、人々はエコな世の中の実現に興味を持ち始めている。
投資家たちも、地球のことや社会のことを考慮した企業に興味が向いており、すでに世界全体の投資市場のおよそ3割以上をESG投資が占めている。(※2) 安定した企業成長を望む投資家にとって、気候変動による損失は何としてでも避けたいものだ。そのため、CO2削減に力を入れている企業や、そもそもの排出量が少ないセクターへの投資が増えている。
エシカルな企業運営に本腰を入れなければ、これからはビジネスが成り立たなくなると言っても過言ではないだろう。官民ともにGXを意識し、環境にも人にもやさしい社会づくりをしていく必要性が叫ばれている。
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2050年までにカーボンユートラルを達成するべく、EUでは今後10年で官民合わせて約120兆円もの投資を行うと発表した。※3 クリーンエネルギーへの切り替えを進めるだけでなく、化石燃料関連の仕事をしている人たちが新しい仕事に就けるよう、職業訓練を提供していくそうだ。
日本も諸外国に追いつかんとばかりに、2020年12月25日に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表。洋上風力産業や燃料アンモニア産業など、成長が見込める14の重要分野における実行計画を策定した。
また、2021年5月には脱炭素を目指す改正地球温暖化対策推進法が成立。国だけでなく、地方公共団体や民間セクターが一丸となって脱炭素社会に向けて歩めるように、法整備がなされた。
自動車のホンダは、2040年までに日本だけでなくグローバル全体でガソリン車の販売を取りやめ、EV車と燃料電池自動車に100パーセント移行すると公表。それに伴い、これまで培ってきたホンダの最新技術をカーボンニュートラル達成に向けて全力投入するため、2021年をもってF1レースのサプライヤーから撤退することを表明した。
コープさっぽろは2008年に5億2700万円を投資し、札幌市に隣接する北海道江別市にリサイクル施設「コープさっぽろエコセンター」を設立。ダンボールや発泡スチロールなどの資源ごみを回収する傍ら、施設内に地域住民に向けた環境教育ブースも設けている。初期投資こそ巨額ではあったが、回収した資源を専門業者に売却することにより、開始2年で3億円近くを売り上げた。※4
同組合は2018年に国際的な環境イニシアチブRE100に加盟し、事業運営をすべて再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。
花王は2030年を目処に国内のみならずグローバル全体で、事業運営に必要なエネルギーを100パーセント再生可能エネルギーで調達することをゴールに掲げている。結果は良好で、2019年末には購入電力のおよそ5割を再生可能エネルギーが占めている。※5
先のパリ協定を受け、世界各国が2050年までにCO2排出量実質ゼロに向けて行動を起こしている。日本も例に漏れず、国全体で目標を達成すべくさまざまな制度が整えられてきている状況だ。
安定した経済成長のためには、サステナブルな企業運営が必要不可欠。世界に誇る日本の先端技術を駆使し、新たな時代の流れに対応していきたいところだ。
※1Working on a WARMER planet(2ページ目) https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/---dcomm/---publ/documents/publication/wcms_712011.pdf
※2About the PRI
https://www.unpri.org/pri/about-the-pri
※3 2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き(12ページ目)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/002_03_00.pdf
※4生協の“静脈物流”を生かした 「回収ビジネス」の事業構造と 可能性(1ページ目)
http://www.coop-book.jp/list/unei/pdf/No262_solution.pdf
※5 花王、2019年末時点での国内購入電力の再生可能エネルギー比率50%を達成
https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2020/20200416-002/
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