「自分にも地球にもサステナブルな働き方を」 四角大輔さんが提案するミニマルライフのはじめ方

四角大輔さんポートレート
ELEMINIST TALK 気になるあの人に聞いたエシカルライフのはじめ方

エシカルでサステナブルなライフスタイルへの一歩を踏み出すヒントを紹介していただくインタビュー連載企画「ELEMINIST TALK」。今回は執筆家・環境保護アンバサダーの四角大輔さんに、新刊本『超ミニマル主義』に込めた想いやサステナブルな生き方・働き方についてお話いただきました。

堂坂由香

エディター

慶應義塾大学文学部卒業後、宝島社、世界文化社にて女性誌の雑誌編集者として紙媒体の編集に携わる。制作会社を経て2021年独立。コロナ禍でのライフスタイルの変化により、エシカル、サステナブル…

2022.10.25
LIFESTYLE
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地球とともに生きる「ハッピーエレファント」のある暮らし|日常に “ハッピー”を運んでくれる使い心地を読者が実感

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レコード会社のプロデューサーとして10回ものミリオンヒットを飛ばし、手がけたCDは累計2,000万枚を記録するなど、音楽業界のヒットメーカーとして仕事の絶頂期を過ごしていた2010年、すべてをリセットしてニュージーランドへ移住。現地の湖畔の森で環境負荷を最小限に抑えるサステナブルな自給自足生活を営みつつ、世界を旅しながら働くグローバルノマドの第一人者として、場所の制約を受けない生き方・働き方を体現してきた四角大輔さん。

国際環境NGO「Greenpeace」 Japan初の公式アンバサダー、環境省「森里川海」アンバサダーを務めるなど、環境活動にも早くから積極的に取り組まれている四角さんが、10年ぶりの書き下ろしビジネス書『超ミニマル主義』を先日出版されました。“サステナブルに働く”ためのメソッドを全公開したという今回の本に込めた想いと、気候変動や社会課題を解決するためのミニマルな生き方・働き方についてたっぷりとお伺いしました。

仕事の半分と移動生活を手放し、森の生活と執筆に集中

ニュージーランドの湖で釣りをする四角さん

ニュージーランドにいるときは自身や釣り友達が釣った魚を食材にしている。自宅の目の前の湖では大きなニジマスが釣れるそう。

—先日発売された『超ミニマル主義』の執筆にあたり、2019年に2度目のリセットを敢行されたと伺いました。

一度目のリセットは2010年、勤めていたレコード会社を退社してニュージーランドに移住しました。それ以来、世界を移動しながら働く・暮らすというスタイルをずっと続けてきました。ニュージーランドの湖のほとりの自宅をベースキャンプにしながら、一年のうち短くて3ヶ月、長くて半年、ずっと世界中を旅しながら仕事をしてきて。

レコード会社を辞めた当時はノマドという言葉も普及していない時代で、オンラインで完結する、場所の制約を受けない仕事はなかなか見つかりませんでした。そこからだんだんと時代が変わり、僕自身がいわゆる“グローバルノマドの第一人者”といった取り上げ方をメディアでされるように。どんどん仕事が増えて忙しくなり、気がつくと2018年の収入がレコード会社時代の最高年収を超えていたんです。

レコード会社で働いていた時代は、「自分は二度とこの忙しさに耐えられないな」と思いながらも、アーティストが能力を最大限まで発揮できる環境を整え、自分が愛する音楽をたくさんの人に届けたいという一心でプロデュースの仕事をしていました。仕事は愛せているし充実感もあるけれど、自分の時間を確保するのが至難の技で、ニュージーランドに移住した理由は、仕事中心の生活で失った自由な時間や自分自身を取り戻すためでした。

それなのに、またそのときと同じくらい仕事に追われ、結果として収入も上がっていて。僕はレコード会社時代もその後も、お金のために働いたことは一度もなく、会社員を辞めてから自給自足の暮らしをベースにしていることは、仕事がなくても生きていくためのセーフティネットなんです。でも気がつくと忙しくて畑に費やす時間がすごく短くなっていたり、食べるための釣りにあまり行けなくなっていたり。

—食べるための釣りですか?

僕はお肉を食べないので、ニュージーランドにいるときは全部、自分か釣り友達が釣った魚を食材にしていて、スーパーで魚を買ったことがないんです。なので魚が釣れないときは必然的に菜食になってしまいます。仕事が忙しくて畑や釣りに時間を費やせないことに「あれ? なんだかおかしいぞ」とあるとき気がつき、約10年ぶりにもう一度リセットすることにしました。

自分はいま何を一番やりたいかということを改めて考え、思い切ってニュージーランドの湖のほとりで森の生活と自著の執筆に集中することに決めたんです。それでまず「移動生活、中断します」という宣言をしました。同時に雑誌などの連載や企業の役員、プロデュース業、大学の非常勤講師や講演活動、野外フェスのプロデュース、リトリートツアー主催といった仕事をすべてやめ、会員制コミュニティの運営だけ残して作家業に専念することに。口先だけにならないように「収入を半分にする」という具体的な数値目標を立てて、“移動生活中断”と“収入半分作戦”を宣言したんです。

周りの人は自分のことをいわゆる“ノマドの先駆け”と思っているし、ノマドになるための本や旅の本を出していたこともあり、みんなにびっくりされました(笑)。ただもう一度自分の時間を取り戻したい、そしていま自分が一番やりたいことに集中したい。心からそう思って、まさに今回出版した『超ミニマル主義』に書いたことを自分自身で実践したという感じです。

『超ミニマル主義』の書影 shopping

四角さんが10年ぶりに書き下ろしたビジネス書。余計なコト・モノを手放して身の回りをミニマル化し、楽でシンプルに働くための方法が400ページにわたって詳細に公開されています。一冊読み通すと自然と、自分にも地球にも思いやりを持ったサステナブルな生き方を選択したくなるはず。

自然が教えてくれたのは「手放すのが先であり、手元にあるものは自分の持ち物ではない」ということ

ニュージーランドの湖畔のテラスでiPadを見ている四角さん

ニュージーランドの自宅テラスにて。2019年から仕事の大半を手放し、『超ミニマル主義』の執筆と環境活動に専念したという。

—多くの人が手放すことを恐れる中、四角さんは手にした大きなものを、いとも簡単に手放せてしまうのはどうしてなんでしょうか?

理由は二つあって、まず一つは、僕はずっと「手放すのが先」と言い続けています。多くの人は手放さずに何かを得ようとしますが、「二兎追うものは一兎を得ず」という言葉があるように、そのやり方では大切なものや大きなものを得られることはないんですよね。両手に大きな荷物を抱えて背中に大きな荷物を背負って、目の前に大きなチャンスがきたときに掴めるかというと、ほとんどの人は逃してしまうんです。

呼吸も吐いてから吸うという順番だし、部屋の片付けもまずいらないものを部屋から出して、ものを減らしたあと片付けて収納するという順番じゃないですか。僕自身がこれまで何度も何度も、大きなものを手放すたびにより大きなものが巡ってきたり、より大切なものができたりという経験を繰り返してきていたので、この法則は絶対であると、僕は断言できます。

もう一つは、「自分が手にしたものは、自分の持ちものではない」という感覚が強いんです。物質的なものだけでなく非物質的なもの、例えば地位や名誉、お金も含めて。

禅の考え方に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」という言葉があって、「本来人は何も持たずにこの世に生まれ、何も持たずに土に還っていく」という意味なのですが、実際僕が手にしているものは生まれつき持っていたものではないですよね。僕は自然がすごく好きなので、「すべては循環している」ということはアウトドアや登山の経験を通して体感するし、ニュージーランドの湖のほとりで暮らしてると、まさにそれは日常的に感じることなので。「あらゆることは循環する」ということを僕はもう信じきっていて、「たまたま巡り巡って自分の手元にあるだけで、もう一度循環に戻す、そして僕は本来の自分に戻る」という感覚が強くあります。

そういうマインドセットでいると、別に手放すための特別な勇気は必要ないんですよ。とはいえ、「何かを得る前に、先に手放す」を実践できる人は少ないんですよね。それはなぜだろう? と考えたときに、自分には“手放すための技術”というものがあり、それを多岐に渡って実践していることに気がついて。なので今回の本は、そういった手放すためのノウハウを全部体系化して一冊にまとめたとも言えます。

—四角さんのそのような考え方は、やはり幼少期から自然に触れていた影響が大きいのでしょうか?

そうですね、それは自然が教えてくれた一番大切なことかもしれません。

「自分が手にしたものは自分のものではない、たまたま巡り巡って循環してきたものだ」という考えを深めていくと、自分自身についても「自分の肉体は地球の一部である」という考えに行き着きます。よく考えると、自分の肉体も実はすべて地球の自然成分でできた有機体であり、使用期限が決まっている借り物の器であり、決して自分のものではないんですよね。

なので、生活習慣を整えて徹底的に自分の体を大切にしていることは、自分を大事にしているとも言えるのですが、実は自分の肉体という自然環境の一部を大切に扱っていることでもあるんです。自分のことを大事にするのはなかなか難しいとよく聞きますが、「母なる地球から授かって預かった、とてもとても大切なもの」と思えると、案外大事にしやすいんじゃないかと思います。

そういう感覚で環境活動を続け、できる限り自然を大切に環境負荷を最小限に抑える暮らし方に挑戦しているのですが、それと同じレベルで自分のことを大切にしているとも言えるんですよね。地球環境も自分自身の体も、感覚としてはとても近いんです。

ビジネス書にした理由は「働き方を変えないと気候危機や環境問題は解決しない」と思ったから

湖を眺めながら自宅でデスクワークをする四角さん

目の前に湖が広がるニュージーランドの自宅のワークスペース。気分や天候に合わせて家の中を移動することで、いい集中力を維持できるそう。

—『超ミニマル主義』はいわゆるビジネス書として書かれていますが、今回、仕事や働き方にフォーカスした理由を教えてください。

どうして今回働き方と仕事術にフォーカスしたかというと、「世の中の流れを少しでもよくしたい、なんとか環境破壊や気候危機を止めたい」という自分のメッセージは、世の中の働き方を変えないと本当の意味で届かないと思ったからなんです。もちろんなるべくプラスチック製品を使わない、使い捨てをしない、大量生産・大量消費に加担しないなど、暮らし方も大事なのですが。

これまでの僕のメッセージはともすれば、「仕事なんかどうでもいいから暮らしや大好きな遊びを優先してください」と聞こえていたかもしれません。ただ僕自身がやはり、人生で幸福感を感じるには仕事や働き方はかなり大きな存在だなということに気がついて。仕事である一定の成果が出せたり仕事を愛せたり、いい仕事ができているなという実感は、間違いなく幸福度を高めてくれます。こういうことは今まであまり発信してこなかったし、ノウハウも一切公開してきませんでしたが、今回はあえて仕事だけにフォーカスしました。

例えば「仕事が忙しくて選挙に行けない」、「仕事が大変すぎて困っている人に手を差し伸べる余裕がない」、「この価格にするためにもしかしたら途上国で児童労働をさせているかもしれないし、社会的弱者の人の搾取の上に成り立っているのかもしれない。だけどまあ仕事だからしょうがない」、「人の健康にも環境にもよくないことは分っているけれど、ビジネスってそういうもんだし食うためにはしょうがない」という声をよく耳にしますよね。実はこういった積み重ねが、いまの気候危機や人権侵害を引き起こしていると思っています。

なので働き方を変えないと環境や気候変動の問題は解決しないと思い、今回『超ミニマル主義』を書きました。ただ、冒頭からそういうことばかり主張しても多くの人には届かないし逆に萎縮させてしまいます。なので例えば、「物を選ぶときにできる限り環境負荷の少ないものを選んだほうがいいよね、なぜならそういうものを選ぶと気分がよくなるから。気分がよくなれば脳のパフォーマンスが上がって、自然と仕事の生産性も上がるんだ!」と本を通して自然と思ってもらえるように、実はかなり意識して書きました。

元々はサステナビリティのことや気候変動のこと、動物愛護の話がもっとたくさん入っていました。今回はより幅広い読者に届けるために、あえてそういったトピックスを前面には出していませんが、最後まで読み通すと自然と行動したくなるようなつくりにしています。

——エシカル・サステナブルなことを周囲の人に伝えるのが難しいという声をよく聞きますが、四角さんはいつも自然な形で発信されているのが印象的です。

こういう発信や活動をしていると、みなさんどうしてもそういう悩みに当たりますよね。イソップ寓話の『北風と太陽』という物語をご存じですか? 僕は発信するとき、いつも北風ではなく太陽方式に挑戦しているんです。環境問題のことなどをあまり強く言うと引いてしまう人がいて、そうすると結果的に行動を促せないので、「楽しいよ」とか「気持ちいいよ」といった発信を心がけています。今回の『超ミニマル主義』もまさに太陽方式に徹して書きました。

“認知的不協和”を起こさないものが増えていることは世の中のよい流れだと思う

平和公園に贈られた折り鶴のリサイクル名刺

広島の平和記念公園に贈られた折り鶴と牛乳パックのリサイクル紙を使った名刺。「できる限り環境負荷が少ない名刺って何だろう?と考えて調べていくとゲームみたいで楽しいんです」。

—『超ミニマル主義』の中ではもの選びの極意も紹介されていますが、その中の観点のひとつにエシカル・サステナブルが入っていたことも印象的でした。

「この製品は誰も傷つけていないし、自然環境への負荷も最小限だ」というものを選ぶと、それだけで心が軽くなるし生活が楽しくなるんですよね。本では“認知的不協和”という言葉を使っているのですが、心理学では自己矛盾を感じたり、自分の思っていることと行動が違うときに強いストレスを感じる状態のことを言います。人権侵害や環境破壊に加担しているものを使っていると、誰の心のなかにも不協和音が生じます。これが脳と精神にダメージを与えるということが分かってきたんです。

機能性だけではなく、自分が好きでお気に入りだと思えるものを選ぶことも大事ですが、その商品が「環境負荷を最小限に抑えていたり、搾取をベースにしていない」とわかるだけで、認知的不協和が解消し、心が軽くなる。そういったことも今回の本の随所に散りばめています。

本のなかではおすすめのアイテムをいくつか紹介していますが、4年前にこういったアイテムをピックアップした時には、エシカルでサステナブルなものは半分にも満たなかったんですよ。それが、本の完成が見えたときにもう一度、最新のものを探してみたら、ほとんどエシカルでサステナブルなものを見つけられました。気候危機や社会の分断、紛争などを考えると、世の中はどんどん悪い方向に行っているのではないかとつい感じてしまいますが、間違いなくエシカル・サステナブルな商品の選択肢は増えていて、そういう意味で、認知的不協和を起こさないものが世の中に増えていることはよい流れだと感じています。

—買い物をするときの具体的なアドバイスはありますか?

まず、できる限り新しいものを買わない、そもそも消費をしないというのが僕からの一番の提案です。雑誌に載っているとかインスタグラマーが使っているといった外部情報に踊らされず、「本当にそれいる?」と自分に問いかける習慣ができると消費は減るはずです。過剰な所有物はエネルギーを奪うノイズと化しますから。

その一つの表れが、本でも紹介しているミニマリストたちですよね。彼ら、彼女たちは環境やサステナビリティについての具体的な発信はしていませんが、暮らし方そのものがサステナブルなんですよ、なぜならものを最小限しか消費しないから。ミニマリストの大量発生は、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会へのカウンターカルチャーだと断言できます。ミニマリストたちは、意識的ではなく本能的に「ミニマリズムはサステナブルである」と感じているんです。「余計なものは買わない、心と時間に余白をつくる、過重労働もしない」というスタンスはまさにサステナブルですから。

時代の最先端をゆく彼らはアーティストです。生き方を通して既存のシステムに疑問を投げかける、ミニマリストという「ライフスタイルアーティスト」が日本でも世界でもいま、どんどん増えているのは嬉しいことです。

とはいえ、どうしても必要なものを買うときは、ゲーム感覚で真剣に探し出せば出会えます。例えばプラスチックを回避する、ごみを減らすというようなことも、ゲームのように探すと楽しいし、人は自分で一生懸命調べて出会ったものは絶対大事にするんですよね。10年前に出版した『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』という本に「10分以上人に語れるものしか手に入れるな」と書きましたが、買い物をするときはこの“10分語れる理論”が結構成立すると思っていて。とくにエシカルでサステナブルなアイテムは絶対に語れるストーリーがあるので、必然的にそういうものに行き着く可能性は高いんじゃないかなと思います。

本来の自分に戻ると、人間が持つ良心も取り戻せるはず

ニュージーランドの畑の写真

自給自足をベースとした暮らしをされている四角さん。ご自宅の敷地内の畑では季節に合わせて野菜やハーブ、フルーツを育てている。

—多くの人の生活がここまで自然とかけ離れてしまったのはどうしてだと思われますか?

理由は非常にシンプルで、自然との距離が遠くなりすぎたというのがあると思います。なのでコロナ渦で地方に移住する人や二拠点生活を送る人が増えてきたことはいい傾向だと感じています、そうすると必然的に自然との距離が縮まっていくので。自然との距離が離れると自然への敬意みたいなものがなくなるし、同時に自分への敬意もなくなっていくんですよね。自分の体によくないものを食べたり生活習慣が乱れて自分の体を大事にできなくなってしまったり。逆に自然との距離が近づくと、多くの人が自分自身のことも大事にできるようになります。

—いまのお話は、四角さんのウェブサイトに書かれている「〈内なる自然〉と〈大いなる自然〉、この〈ふたつの自然〉に実は境界線はなく、ひとつである」いうメッセージにもつながりそうです。

〈大いなる自然〉、つまり外なる自然とつながるというのは、どんなときでも自然を感じながら、自然に感謝しながら生活するということなのですが、〈内なる自然〉とつながることが実は一番難しくて。つまり“自分自身とつながること”なのですが、『超ミニマル主義』に書いたことは、この〈内なる自然〉とつながる方法を書いたとも言えます。70のメソッドを400ページに渡って書いたのですが、これほど膨大なページ数を割いた理由は、現代人にとってそれがすごく難しいからなんです。

僕がレコード会社でアーティストのプロデュースをやっていたときに、初めて仕事をするアーティストにいつもこう言っていました。「僕はなんの答えも持っていないんです。答えはあなたのなかにあって、もしあなたが原木だとしたら原木のなかに彫刻作品が眠っていて、その彫刻作品を削り出すお手伝いを僕はします」。

削り出したあとに何が出てくるかというと、本来の自分の姿が現れるわけです。そのためにはいろんなものを剥ぎ取っていく必要があるんですよ。僕はそれを一言で“ノイズ”と呼んでいますが、例えば余計な情報だったり他人からの助言、思い込みなど。やらなきゃいけないタスクやつい自分を見失ってしまう忙しい日々、慌ただしいスケジュールも含まれます。そういうものを一個一個剥ぎ取り削り取って自分を取り戻したときに、〈内なる自然〉とつながれるんです。

“ノイズ”は頭のなかに集まり、人はどうしても頭で判断してしまう。ただ〈内なる自然〉は頭ではなく体の中心あたりにあって、この内なる声を聞くというのがすごく大事なんです。日本で生活していると、どんどん外から情報が頭に入ってきますよね。これを一個一個なくしていくと、心の声が聞こえます。そのときに初めて「自分はこういうことが好きだった、こういうことをやりたかった」という本来の自分の本心が聞こえてくると同時に、人間の良心のようなものも取り戻せるんですよね。

僕がアーティストをプロデュースする際にやっていた、アーティスト本来の姿への削り出しが成功すると、ものすごい光を放ちます。オンリーワンの存在を削り出すわけですから。でもその削り出しが甘かったり余計な装飾を被せてしまったり、逆に削り取りすぎて本来の形を壊してしまうとオンリーワンにならないんですよね。「オンリーワンになった瞬間、ものすごいエネルギーを放ち、たくさんの人に届く」というのが僕のプロデューサー時代の成功体験なのですが、この本を読めば自分で自分の削り出しができるようになります。

「食うためにしょうがない」という言い訳をして自分に嘘をついてきた人も、本に書いてあることを実践するうちに、だんだんと自分に嘘がつけなくなっていくんですよ。だから『超ミニマル主義』は“自分彫刻本”とも呼んでいます。

自分を見失うことが、気候危機や環境問題にすベてつながっている

ニュージーランドの湖の桟橋に立つ四角さん

「大地から一番離れている頭だけで判断するとエシカルやサステナビリティからどんどん離れていく。頭ではなく心で感じることを優先してほしい」

自分を見失う、自分の心の声が聞こえないっていうのは、本来人間が持っている愛情や思いやり、やさしさといった人間としての良心も失っている状態と言えるんです。いざというときほど、その人の姿って出るじゃないですか。多くの人はそういう状態になると、我先、自分さえよければという感じになってしまいますよね。

日本の労働時間は先進国で一番長く、僕も上司や友達、先輩を過労死や自殺で失っています。そういった日本の労働環境で、いままだ苦しんでいる人をなんとかしたいんです。

多くの人が自分の人生を歩めなくなり、人間の良心に嘘をつくのが日常化してしまうとどうなるかというと、結果的にいろんな社会問題を引き起こすわけです。本来ならば自然環境や周りに大切な人がいないと人は生きていけないのに、利己的になりすぎて自分さえよければいいと思ったり、周りの人やコミュニティを大切にできなかったり、地球環境を大切にできなくなっていく。なので、自分を見失うことが気候危機や環境破壊など、すべての社会問題につながっていると思います。

『超ミニマル主義』を読んで、本来の自分を取り戻す人が一人でも多く増えると、あらゆる問題が改善していくはずです。自分を取り戻すことで、他人を妬んだり、誰かのものを奪おうという発想もなくなりますし。そして、人が本来の良心を取り戻したときに心から湧いてくるやりたいことは、絶対に地球を傷つけたり他者を傷つけるようなことではないはずなんですよ。当たり前のように他者や地球環境を思いやるようになるはずです。なのでこれからも諦めずに太陽方式に徹して、メッセージの発信や環境活動をしていきたいと思います。

ダイヤモンド社

超ミニマル主義

2,090円

※2022.10.05現在の価格です。

レビュー (1)

  • ★★★★★
    命が吹き込まれた丁寧な子・本

    ものすごく丁寧に育てたことが伝わってくる1冊。ん~っと発売まで待ったけど、涼しくなった秋に読めて良かった! きっと、意図的だと思う。 ちゃんと自分の心の声を拾えるように手助けしてくれる子・本だ。

    V.stone on Sep. 29, 2022

『超ミニマル主義』はELEMINIST SHOPでも販売中。気になる方はぜひ手に取ってみてください。

四角さんプロフィール写真

(プロフィール)
四角大輔/執筆家・森の生活者 ・Greenpeace Japan & 環境省アンバサダー。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録した後、ニュージーランドに移住。湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない働き方を構築。第一子誕生を受けてミニマル仕事術をさらに極め、週3日・午前中だけ働く、育児のための超時短ワークスタイルを実践中。ポスト資本主義的な人生をデザインする学校〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。著書に、『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山入門』など。2022年9月14日、新刊『超ミニマル主義』発売。
公式サイト: https://daisukeyosumi.com/
Instagram: @daisukeyosumi
会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉: https://lifestyledesign.camp/

写真提供/四角大輔 取材・執筆・編集/堂坂由香

※掲載している情報は、2022年10月25日時点のものです。

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