6月5日は環境への意識を高める世界環境デー 2021年のテーマは「生態系の回復」

鬱蒼とした森林

6月5日は「世界環境デ―」。環境保全の重要性を再認識し、環境への意識を高めるための日だ。日本では、環境の日と呼ばれている。2021年の世界環境デーのテーマは「生態系の回復」。これまでのテーマや制定の目的、今年のテーマの内容を説明する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2021.04.23
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

世界環境デーとは

湖の後方にそびえる山並み

Photo by Rob Morton on Unsplash

世界環境デーとは、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念し、日本の提案を受けて国連が定めもの。環境保全の重要性を再認識し、環境への意識を高めるための日だ。

日本では環境の日と呼ばれている。6月の一ヶ月間を「環境月間」として、全国でさまざまなイベントが開催されている。近年は世界環境デーを政治的関心と行動強化のために活用する国も多い。

これまでの取り組みとのテーマ

2020年:生物多様性

この年の世界環境デーでは生物多様性を破壊することは、私達の健康と経済の基盤となるシステムを破壊することであるというメッセージが打ち出された。人口は過去50年間に2倍に膨らんだ一方、生物はこれまでにないスピードで失われており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は自然のバランスの乱れが一因と言われる。

この年は、メイン式典がコロンビアからストリーミング配信されるとともに、各地で政府や民間団体などが新たな取組みや声明を発表した。

2019年:大気汚染

世界人口の92%はきれいな空気を吸うことができず、世界全体では700万人、アジア太平洋地域では400万人が大気汚染によって死亡していると伝えられる。ホスト国は中国。浙江省杭州市など複数の都市でイベントを開催した。

中国には世界の半分の電気自動車があり、99%の電気バスがある。近年、グリーンエネルギー部門が拡大し、国内の大気汚染対策で指導力を発揮していることから、気候対策リーダーとしての役割が期待された。

2018年:プラスチック汚染をなくそう

2000年代以降に生産されたプラスチック量は、20世紀全体の生産量を上回る。消費されるプラスチックの50%は使い捨てで、プラスチックごみがごみ全体の10%に相当する。海に流れ込むプラスチックごみは800万t以上と推計され、海を汚染し生物や日との健康を脅かしている。

ホスト国はインド。同国は世界でもっともリサイクル率の高い国として知られ、気候変動対策や低炭素経済でリーダーシップを発揮することが期待された。

2021年のテーマは「生態系の回復」

苔むした木の根元

Photo by Todd Diemer on Unsplash

2019年3月の国連総会で、2021年から2030年を「国連生態系回復の10年」とすることが決まった。国連環境計画(UNEP)と国連食糧農業機関(FAO)が主導する。

乱開発された土地景観や、湖、海を植林などの緑化活動を通じて再生させることは9兆ドル分の生態系サービスを生み出すという。生態系の生産性と能力を回復させ、社会的ニーズに応える。

生態系に関する現状と問題点

UNEPによると、侵食や汚染のため本来の生産性が失われている土地が世界全体の耕作可能地の20%を占める。それによって、世界人口の32億人のウェルビーイングが低下しているという。

なぜいま、このテーマなのか

生態系を構成する生物多様性は過去50年間、損失傾向が続いている。私達の便利な生活は土壌や森林、水、地下資源などの地球資源を活用することで成り立っている。そのため、生態系を回復させなければ、生活そのものが成り立たなってしまう。

取り組みの内容

できることからはじめたい。個人レベルでは、食べ物の地産地消もそのひとつ。旬のもの、地域のものを選べば地域の農業従事者を守ることになり、国土の保全につながる。

同時に流通コストが減り、CO2排出を削減できる。国産木材を使うことも、地域の山林を守る手段だ。都市部では、緑化エリアを活用することで生物の多様性を維持できるとされている。

生態系の回復は、気候変動や食糧安全、安全な水の供給の対策となる。それは、地球上に暮らす私達のウェルビーイングの向上につながるのだ。

開催予定のイベント

2021年の世界環境デーのホスト国はパキスタン。同国の植林活動は国際的に際立っている。「百億本植林プログラム」を通じて、マングローブや森林の回復、都市の植樹、エコツーリズムの促進、自然保全を通じた地域社会の参加と雇用創出に取り組む。6月5日近辺には、さまざまな環境会議が予定されている。

世界環境デーをきっかけに生態系に思いをはせてみよう

木に登るクリイロリーフモンキー

Photo by Jeremy Zero on Unsplash

2021年の世界環境デーのテーマは「生態系の回復」だ。日常生活の中で、生態系を意識する機会は少ないだろう。しかし、私達の生活は地球の生態系の恩恵の上に成り立っていることを忘れてはならない。

生態系の破壊は私達自身の生活を破壊につながる。2021年の世界環境デーのイベントもオンラインを中心としたものになるだろうが、参加はしやすいだろう。自らの生活を守るための小さな一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2021年4月23日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends