Photo by COSME no IPPO
使わなくなったり期限が切れたりしたコスメは、きっと多くの方が持っているはず。処分するのは心が痛むし、環境のためにも避けたいもの……。そこで知っておきたいのが、不要なコスメを捨てずに活かす方法。コスメを寄付するほか、絵の具やクレヨンにアップサイクルして再利用する方法をご紹介します。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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不要になったコスメを活用するとき、まず確認してほしいのが、コスメの使用期限。期限内ならコスメとして引き続き利用できるし、期限が過ぎたものはコスメ以外での活用法があります。
環境や社会にやさしい美容ブランドを集めた『greencosme』をオープンしたNOINによると、使用期限は「コスメのパッケージに明記されているかチェックして」とのこと。
パッケージに使用期限が明記されているなら、その日付を目安にしましょう。
・未開封の場合:3年
・開封後の場合:半年~1年ほど(なるべく早く使いきるのが望ましい)
オーガニックコスメは保存料や防腐剤が含まれていないことが多く、一般的なコスメよりも劣化が早いので注意が必要。ただ、オーガニックコスメは使用期限が明記されているものが多いので、まずはパッケージをチェックしてみて。
・基礎化粧品:開封してから半年ほど
・マスカラ・口紅など水分が多く粘膜に触れるコスメ:3か月ほど
この使用期限は、あくまでも安全性を保証する期間のこと。だから、使用期限を過ぎたからといって「絶対に使ってはいけない」というものではありません。ただ、不要になったコスメを活用する場合は、期限内か期限が切れているかで活用法が変わってくるので、最初に確認するのがおすすめです。
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使用期限内のコスメなら、寄付することを考えてはどうでしょう。例えば、NPO法人ワールドギフトは「日本では捨てられてしまうものでも、世界にはよろこんで使ってもらえる人々がいる」と考え、不要なものを再利用して世界中で物資支援活動を行っています。
対象となる不用品にはコスメも含まれており、それらの物資は現地の職業訓練センターや文化センター、NGO団体、学校、医療関係施設などを通じて、再利用されています。
所得が低い途上国では、まず食料や医療などにお金が使われるもの。だから、コスメは贅沢品になってしまうそう。そんな人々の手に、使わずに眠っていたコスメがわたりよろこばれているのです。
ワールドギフトがこれまで物資の寄付を行った国は、アフガニスタン、インド、ガーナ、ネパールなど80か国以上。日本から送られたコスメを手にした人々からは、「メイクできるなんて幸せ」「私の宝物!」など、よろこぶ声が届いているそうです。
メイクしてきれいになると、気持ちが明るくなったりやる気が出たりするもの。手元にあるコスメが再び誰かの手にわたり、その人の心を明るくしているなら、そんなステキなことはないはず。
ワールドギフトに使わないコスメを寄付する手順は以下のとおり。
(1)寄付するコスメを梱包する
(2)入力フォームに入力する
(3)ご依頼確定メールを受け取る
(4)寄付金を振り込む
(5)荷物を発送する
※郵便局または佐川急便による集荷が可能で、寄付金以外の送料や集荷料金は不要。(上記以外を使う場合は、発送料は要負担)
※寄付金は海外輸送費のほか、支援活動のために使用されます。
注意点
・使用期限の記載があり、期限が切れているコスメの寄付はできません。
・使いかけのコスメの場合、見た目の状態が悪いもの・残量が半分以下のものは受付ていません。
・マニキュアは使いかけだと固まる可能性があり、未使用のものが好ましいです。
・自分が寄付される立場になって「もらって嬉しい」と思える状態のものを寄付しましょう。
使用期限を過ぎてしまったコスメは、コスメ以外のアイテムに変える方法はどうでしょう。
使わないまま眠っているコスメを、絵の具のほか、ジェルネイル・キャンドルなどの創作に使える色材へアップサイクルして、家庭内で別の形で楽しむ。「SminkArt(スミンクアート)」では、そんな体験を提供しています。
SminkArtでは、汗で落ちないように油でコーティングされている粉末状のコスメを、水に溶ける絵の具に変える「magic water」を開発。家にあるコスメを絵の具にDIYして、塗り絵などで楽しむことができます。少量の資源にアイデアをプラスして、新しい価値あるものにアップサイクルを行っている点が特徴です。
不要なコスメを回収するのではなく、違った活用方法で家庭内で消費してもらう。「そこに楽しい体験があれば、サステナブルな取り組みを継続できる」という意図から、このような「コト」体験を重視したサービスが始まったのだそう。
また、SminkArtでは化粧品メーカーの開発段階で廃棄されるコスメにも着目。例えば、目標とする色味に到達できなかったものなど、大量にあるそう。そんな役目を終えたコスメの中身を化粧品メーカーから買い上げ、色材に加工した商品「ときめくペイント」を開発・販売する活動も行っています。一緒に取り組むメーカーは、コーセー、花王、大手化粧品OEMメーカーなど。その活動はますます大きくなっているようです。
自宅に眠るコスメを絵の具に変えて、お絵描きを楽しむ方法は次のとおり。
(1)SminkArt キットまたはmagic waterを購入する
(2)説明書の手順に沿って、手持ちのコスメを絵の具にアップサイクルする
(3)できた絵の具で絵を描いて楽しむ
対象のコスメ
アイシャドウ・チーク・ファンデーションなどの粉末状のもののみ
使われないコスメを集めて、クレヨンに変える活動を行っているのが「COSME no IPPO」。代表の大澤美保さん自身が、最後まで使いきれずにあえなく捨ててしまうコスメがあったことに、いつも罪悪感を感じていたそう。
それにPRの仕事に長年携わり、美容業界では毎シーズンたくさんのサンプルが関係者に送られている現実を目の当たりにして、「残ったコスメでなにかできないか」と、この取り組みを始めました。
全国から送られてくるコスメを集めてミツロウなどを混ぜ、クレヨンにしていきます。集まったコスメのカラーによって、できあがるクレヨンの色合いは異なるため、その色は唯一無二。ここでしか手に入らない色のクレヨンに出合えるかもしれません。
2021年10月から始まったばかりのプロジェクトなので、まだまだ取り組みは拡大している真っ只中。できあがったクレヨンを販売するオンラインストアが2022年4月にオープンしたばかりです。
COSME no IPPO の回収に協力する手順は、以下のとおり。
(1)InstagramでDMを送る
(2)指定の住所にコスメを送る
回収対象のコスメ
アイシャドウ・チーク・パウダータイプのアイブロウ・フェイスカラー・ハイライト・粉白粉
注意点
・リップグロス、リップクリームは回収できません。
・容器から中身を出して紙などに包んで送付してください(どうしても難しい場合は、ケースごと送付可。COSME no IPPOでリサイクル業者に出します)。
・複数のカラーがある場合は、大まかに色分けして送付してください。
・送料は送り主の負担でお願いします。
化粧品会社に勤務していたとき、新商品が出る度に古い商品が大量に処分されることを見てきたという坂口翠さん。社会人大学院生となり、化粧品の歴史や環境問題などについて研究した後、2012年よりメイクアップ化粧品のリサイクル活動として始めたのが「プラスコスメプロジェクト」です。
当異所は百貨店・量販店・化粧品会社などと共同で、あまったメイクを回収して絵の具やクレヨンなどの画材にアップサイクルするワークショップ活動を中心に実施。現在はB to Bを中心に、不要なコスメを回収してクレヨンを製造販売しています。また回収したコスメの容器についても、中身を取り分けて洗浄し、プラスチックとアルミに分別したり、容器リサイクル業者に出したり、正しく廃棄しているそうです。
ワークショップなどのイベントに参加した方の大半が、コスメの廃棄問題の実態について「知らなかった」と驚くそう。「モノを大切に使おう」「ごみを正しい方法で処分しよう」「資源を大切にしよう」などという環境意識が生まれるきっかけになるようです。
プラスコスメプロジェクトでは個人からのコスメの回収にも対応しています。回収の手順は以下のとおり。
(1)ウェブサイトからEメールを送る
(2)指定の住所にコスメを送る
(3)6個以上のコスメを送った方には、無料でミニクレヨンが送られる(希望者のみ)
回収対象のコスメ
パウダーファンデーション、粉おしろい、コンシーラー(スティックタイプ)、アイシャドウ、パウダータイプチーク、パウダータイプフェイスカラー、アイライナー、リップライナー、アイブロウ、口紅
(スキンケア、リキッドやクリームタイプのファンデーション、リップグロス、透明リップクリーム、透明口紅、マスカラは対象外)
注意点
・コスメを容器から取り出す作業もプラスコスメプロジェクトが行っています(中身のみを送付してもOK)。
・送料は送り主の負担でお願いします。
使わないコスメを処分する方法はさまざま。でも、ごみとして捨てる前に、他に使い道がないか考えてみてはどうでしょう?
そして、不要なコスメをこれ以上出さないための心がけももちろん大切。私たち自身の買い物のやり方を、「使わないものは買わない」「本当に必要なものだけを買う」スタイルへ変えていくことが求められているのではないでしょうか。
商品を買い物かごに入れる前に、「これを買ったら、本当に最後まで使うかな?」と考える習慣を身につけていきたいですね。
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