ハンディキャップを持つ6人の子どもたちと出会う世界旅 映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

Photo by ©Eady East Prod

Movie Column いまいちばん観たい映画

5カ国をめぐり、6人の子どもたちのそれぞれのハンディキャップと、それぞれの家庭、生活、社会環境を映し出す。そこには、絶対に見離さない親の惜しみない愛情と、その愛を受けてハンディキャップをものともしない子どもたちがいた。撮影を引き受けた子どもたちが私たちに託した思いとは…?

稲垣美穂子

Freelance Writer / Independent Document…

2006年より高レベル放射性廃棄物最終処分問題に関する取材を開始。現在、日本の原子力政策による犠牲としわ寄せに光を当てたドキュメンタリー映画"輪廻 RINNE"(仮題)を制作中。http…

2026.08.06
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「障がいは能力がないということではない」

映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

Photo by ©Eady East Prod

一生を通じて、ハンディキャップを持つ人に会わないこともありうる。そうした中で、とくに「いじめ」もある日本に暮らす者にとって、学びと驚きが押し寄せる作品だ。

『世界の果ての通学路』から12年。パスカル・プリッソン監督が5カ国をめぐり、ハンディキャップを持つ6人の子どもたちに焦点を当てていく。それぞれのハンディキャップと、それぞれの家庭、生活、社会環境が見え隠れする不思議な旅に引き寄せられていく。

プリッソン監督は、前作を撮影している時点で、「ハンディキャップを持つ子どもたちを撮りたいと思っていた」と言う。

監督が撮影を申し出ても、娘を健常者の子どもと同じ環境で成長できるよう選択してきた親にとって、本作の制作が両親の方針に反するものだと感じられたり、アフリカの一部では、アルビノの身体を呪術に用いれば富と名声を得られるという迷信により、誘拐事件や殺傷事件が多発していること(いわゆる「アルビノ狩り」)から、誘拐など命が脅かされる恐怖から息子を守るために反対する村の長や親などがいたりして、最初から歓迎されたわけでなく、一筋縄では始まらなかったそう。

しかし、監督は、「障がいを持つ子どもたちが困難を克服し、自分の人生を築いていくエネルギーを映像で捉えたいと思いました。障がいは複雑なテーマであり、その語り方は千差万別です。では、何を語るべきか、何を見せるべきか。涙を誘うような作品ではなく、人々に希望を与える作品にしたい」という思いが伝わり、撮影に進むことができた。

実際、家族の愛情と慈悲深い眼差し、彼ら自身の中で育まれた自尊心によって、ものすごく力強い子どもたちに圧倒される。ないことに絶望したり、メソメソしたりするのは、大人のほうだ。でも、ここに出てくる親たちも教師たちもまた強い。

さらに、この作品がドキュメンタリーでありながらも、優れた映画にしているのは、当然、子どもたちのそれぞれのキャラクターとパーソナリティが第一だが、カメラワークだ。

角度と光を巧みに操り、子どもたちの自然な表情と感情を一層引き立てている。そのために、一瞬、一瞬を噛み締めているような儚ささえも映し出し切っている。

「私たちは同情を必要としない」 フランス版の副題に込めた思い

映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

Photo by ©Eady East Prod

登場するのはモード(14歳/フランス)、サビエル(14歳/ルワンダ)、ニルマラとケンド(14歳/ネパール)、チャールズ(11歳/ケニア)、アントニオ(8歳/ブラジル)の5人の子どもたち。障がいの形もそれぞれだ。

ニルマラとケンドの二人は、それぞれネパール大地震によって片足を失った。そのほかの子どもたちは生まれた直後か生まれつきのもので、出生時に未成熟だったため、片足を切断せざるをえず、同時に重度の聴覚障がいも抱えている者、生まれつきアルビノである者、視覚障がいがある者、自閉症、注意欠如多動症(ADHD)と聴覚障がいの3つを同時に抱えている者などだ。

全員に共通するのは、ハンディをしっかりと受け止めたうえで、好きなことに打ち込み、まっすぐに前を向いているところだ。あまりの眩しさに、自分を省みる瞬間が何度も訪れる。

監督が、本作フランス版の副題として、「私たちは同情を必要としない」とした背景にはこんなエピソードがあった。

本作では、ケニア出身で、パラリンピック男子5,000メートル走で金メダルを獲得し、マラソンで複数の記録を保持する視覚障害者で世界的長距離ランナーであるヘンリー・ワンヨイケが登場し、彼のようなランナーを目指すチャールズの自宅を訪ねている。

ヘンリーが「私たちは平等な機会を求めて闘っているのであって、同情を求めているのではない」と語ると、チャールズは「私たちはみな、障がいがあってもなくても、同等に大切な存在です。障がいは能力の欠如ではない」と続けたと言う。

監督は「彼らは正しいです。映画の最後には、彼らに同情するのではなく、ただ自分の居場所を見つける機会を与えてほしいと願うばかりです」と語り、副題に込めた思いを明かした。

届け手の思い

映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

Photo by ©Eady East Prod

今回、本作を日本に届けるのは、「人と人をつないで世界の課題解決をする」というミッションを掲げ、2002年に創業したユナイテッドピープル株式会社だ。同社代表取締役の関根健次さんは、近年はとくに、同社配給の『手に魂を込め、歩いてみれば』の国内上映に奔走。映画や当事者を通じて、ガザでの即時停戦のために精力的に動いている人物だ。

関根さんが本作を配給したいと思った理由は主に3つあると言う。

「一つ目は、心身にハンディキャップを持つお子さん(当事者)に、本作に登場する子どもたちの前向きな姿を届け、勇気づけたかったこと。

二つ目は、当事者の親御さんたちに、世界各地の子どもたちとその家族や周囲の人々がどのように向き合っているかを伝え、ハンディキャップがあっても夢を持ち、それに向かって歩むことの大切さを届けたかったこと。

三つ目は、本作を広く届けることで、障がいのある方々への理解を社会全体に広めたかったこと」だ。

「パスカル・プリッソン監督の母国フランスでは、すでに学校だけでも15万人が視聴するなど大きな反響があります。日本でも映画館のみならず多くの学校に届けたいと願っています」。

公開記念イベントも企画されている。この機会にぜひ。

映画『ウィー・ハブ・ア・ドリーム』

5カ国をめぐり、6人の子どもたちのそれぞれのハンディキャップと、それぞれの家庭、生活、社会環境を映し出す。そこには、絶対に見離さない親の惜しみない愛情と、その愛を受けてハンディキャップをものともしない子どもたちがいた。撮影を引き受けた子どもたちが私たちに託した思いとは…?

監督・脚本:パスカル・プリッソン
撮影:シモン・ワテル 
編集:エリカ・バロッシュ
製作総指揮:マリー・トジア
国際セールス:The Party Film Sales 
配給:ユナイテッドピープル 

2026年8月7日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
https://unitedpeople.jp/dream/

※掲載している情報は、2026年8月6日時点のものです。

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