中国・生態系保全の取組みを初公開! パンダの一生に密着した『パンダのすごい世界』

パンダのすごい世界
Movie Column いまいちばん観たい映画

中国の国宝・ジャイアントパンダの一生と中国の生態系保全の取組みに密着した自然ドキュメンタリー映画『パンダのすごい世界』が、2月に公開する。献身的な飼育員のサポートのもと、大自然に囲まれた「パンダの楽園」とも呼ばれる保護センターで誕生から老後まで生き抜くパンダの一生が明らかに。

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2026.02.03

ジャイアントパンダを絶滅から守る「四大パンダ基地」での取り組み

パンダのすごい世界

2026年1月、上野動物園で生まれた双子のパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」が中国に返還され、約半世紀ぶりに日本にジャイアントパンダがいなくなろうとしている。いまや世界中で人気を博すジャイアントパンダだが、どこで、誰に、どのように育てられているのか、その背景はあまり知られていない。

映画『パンダのすごい世界』では、ジャイアントパンダ保護区群におけるパンダの誕生から育成、家族関係、野生復帰への訓練、国際文化交流、老後の生活など、微細に観察を重ね、パンダの一生に密着したネイチャー・ドキュメンタリーだ。

本作の舞台は、「パンダの故郷」と呼ばれ、中国全土の30%の野生パンダが生息している四川省に点在する「中国四大パンダ基地」のひとつ、ジャイアントパンダ保護研究センター。中国四川省の省都・成都から約3〜4時間のところにある。

なかでもジャイアントパンダ保護区群は7つの自然保護区と9つの自然公園からなり、広さ 9,245 平方キロメートル(東京都の4.7倍)にもおよぶ。2006年にはユネスコの世界自然遺産にも登録されている。世界中の飼育下パンダの約6割が生息している。ジャイアントパンダ保護区群の核心地域には、2023年まで上野動物園で過ごしたシャンシャンほか、日本から返還されたパンダの多くが暮らしている。

ここにはCT装置ほか最先端の技術と設備が完備され、パンダたちの精神状態から健康状態まで徹底してケアを続ける飼育員たちの熱量に圧倒される。

地球温暖化と人間活動はパンダにとっても脅威

パンダのすごい世界

ジャイアントパンダは、1990年に絶滅危惧種に指定された。国際自然保護連合(IUCN)によれば、ジャイアントパンダは過去に長い間「絶滅危惧種(EN / Endangerd)としていたが、2016年に「危急種(VU / Vulnerable)に格下げした。前述のような中国の取組みや国際的な協力により、パンダの個体数の回復が見られたためだ。

しかし、現在も絶滅のリスクがある程度ある種には変わりはなく、依然として保全が必要な状態であり、IUCN自体も分類を変更した時から「気候変動や生息地の破壊・喪失が今後パンダの生存環境にとって重大な脅威になり得る」と指摘している。この背景には、パンダの食事の90〜98%を竹が占めていることがある。

そのため、気候変動によってパンダの生息地や竹の生育環境、食事に影響する可能性が予測され、人間活動による自然林の消失、パンダが住める場所が減少、飢餓のリスクも十分にあり得るからだ。

公益財団法人世界自然保護基金(WWF)も地球温暖化による環境の変化がもたらす野生生物への影響を指摘。WWFはパンダが生息する森の保全とパンダが孤立しないよう移動できる環境を整える取組みに注力しており、このように詳述する。

「気温や気候の変化で生育や発芽ができなくなるタケの種類が出てくる可能性が、研究者により指摘されている」ことから、「竹林が減少したり消滅すると、パンダはすみかと食物の両方を失うことになります。とくに、秦嶺山脈、大相嶺、邛崃山脈では温暖化の進行による竹林とその生物多様性の減少が懸念されています」。

「特殊な食性を持つパンダの場合、こうした竹林の代わりとなる生息域がありません。温暖化がもたらす限られた山地の環境の変化は、パンダにとって深刻な脅威となります」。

2023年9月にクリスティン・ガンディア氏らの研究チームが発表した論文(Kristine M. Gandia, Sharon E. Kessler, Hannah M. Buchanan-Smith, 2023)では、気候や環境リズムの変化(=温暖化や緯度変化)が、パンダの行動・繁殖・福祉(精神状態)などの活動量に連鎖的な影響を与えると結論づけている。

パンダは見るための生き物ではない。本作が教えてくれる野生動物の命を守る大切さ

本作は2024年にSNS 総再生回数11億回超えを記録するなど大きな反響を呼んだ、中国のTVで放送されたドキュメンタリー番組を基に映画化された。中国映画界最大の「第 38 回中国金鶏賞」にて最優秀ドキュメンタリー/科学・教育映画部門にノミネートも果たしている。本作を製作した梁碧波(ビボ・リャン)監督はこのようにコメントを寄せている。

「魅力的でありながらも困難に満ちた日々を送るパンダたちを映し出すと同時に、人間と自然の共生というテーマを見つめました。実際の映像を織り交ぜながら、パンダのユニークな成長過程も辿ります。パンダをテーマにしたドキュメンタリーはまだ多くはありませんが、映像美と感情表現を融合させた本作を通して、命の尊さや自然の美しさを体感できるでしょう」。

パンダのすごい世界

『パンダのすごい世界』84分/中国/2025年/ドキュメンタリー/中国語

中国の国宝・ジャイアントパンダの一生と中国の生態系保全の取組みに密着した自然ドキュメンタリー映画『パンダのすごい世界』が、2月に公開する。年齢の異なる6頭のパンダを中心に、献身的な飼育員のサポートのもと、大自然に囲まれながら誕生から老後まで懸命に生き抜くパンダの実相が今明らかに。

出演:シエンシエン ルイルイ シャオルー シャオジアン ファーファー
監督:ビボ・リャン
原題:The Panda Adventure/カラー
配給:アンプラグド
公式サイト:https://unpfilm.com/pandas/
X:@pandasmoviejp

2月6日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開

執筆/稲垣美穂子 編集/後藤未央(ELEMINIST編集部)

※掲載している情報は、2026年2月3日時点のものです。

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