チョコレートの価格が上がっている。その背景にあるのは、カカオの価格高騰。そして気候変動や、カカオ栽培農家の労働環境・児童労働といった問題だ。チョコレートの値上がりからわかる、地球の現状をみてみよう。

ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
チョコレートの主原料となるカカオ豆(カカオの果実のなかにある種子)の価格が、ここ数年で世界的に高騰している。
国際カカオ機関(ICCO)によると(※1)、国際市場でのカカオ豆の月間平均価格は2022年までは1トンあたり2000ドル台で推移していたが、徐々に上昇。2025年1月には過去最高となる10,709ドルを記録した。これは2年前のおよそ4倍の価格だ。
カカオ豆の価格が高騰している原因は、カカオの収穫が十分にできていないこと。世界のカカオのおよそ70%を生産するのが、コートジボワール、ガーナ、カメルーン、ナイジェリアの4か国。2024年は、それらの7割の地域で、32℃を越えた日が年間42日増加した(※2)。
カカオの栽培に最適なのは、年間平均気温27℃以上で、かつ最高気温が32℃までで、年間降雨量が1500~2000㎜の環境。カカオ栽培には暑すぎる日が続き、さらに一貫性のない降雨パターンも影響して、カカオの成長不良につながった(※3)。
カカオの収穫量が不安定であるにも関わらず、世界のチョコレートの需要は右肩上がりで伸びている。世界のチョコレート市場は、2024年は1230億ドル。年成長率4.8%で、2033年には1847億ドルに達すると見込まれている(※4)。
世界のチョコレート市場が成長しているにも関わらず、カカオ農家にわたる賃金は低いままという問題もある。
世界のカカオの7割が生産される西アフリカで、カカオ農家の収入は1日1ドル未満と言われる。これは極度の貧困ラインを下回る水準であり、そのため幼い子どもたちも労働力として駆り出される。西アフリカで推測される児童労働は200万人以上。なかには、労働力として他国から連れてこられる児童移民や、人身売買のケースもあるという(※5)。
チョコレート市場は成長しているのに、主原料となるカカオの栽培が難しくなるなか、その現状がチョコレートの価格に反映されてきている。
2025年のバレンタインシーズンに日本で発売されたチョコレートの平均価格は1粒あたり418円で、前年の395円から5.8%の上昇となった。とくにフランス、ベルギーなどの海外ブランドは国内ブランドよりも平均価格が高く、2025年は1粒435円と大幅な値上げで過去最高だった。
スーパーやコンビニで販売されているチョコレートや、チョコレートを使った菓子の価格が上がっているのは、気候変動によって主原料であるカカオの収穫が影響を受けているから。
気候変動で栽培に適した土地が半減し収穫量の減少が危惧される「コーヒー2050問題」と同様に、カカオが栽培できない危機が高まっているのだ。
また、以前から指摘されてきたことではあるが、カカオ農家には十分な賃金が渡らずに、児童労働が横行している現状もある。
「チョコレートの価格が上がった・下がった」というニュースだけで一喜一憂しがちかもしれないが、なぜチョコレートの価格がこれほど高騰しているのか、チョコレートやカカオの生産現場に問題はないのか、いまこそ目を向けてみよう。
※1 Cocoa Prices Monthly Average|ICCO
※2 Cocoa crisis: How chocolate is feeling the bite of climate change - February 2025|reliefweb
※3 気候変動のカカオ生産への影響|国際農研
※4 Chocolate Market (2025 - 2033)|Grand View Research
※5 The dark side of chocolate: child labour in the cocoa industry|Humanium
※6 2025年シーズン「バレンタインチョコレート」価格調査|帝国データバンク
ELEMINIST Recommends