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国連環境計画(UNEP)は、世界は地球の気温上昇を1.5℃に抑えるという主要な気候変動目標を達成できず、今後10年でこの数値を超える可能性が高いという考えを明らかにした。

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「1.5℃目標」とは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えるというもの。2015年にフランス、パリで開かれたCOP21(気候変動枠組条約締約国会議)で決められた目標で、「パリ協定」とも呼ばれ、世界各国がこの目標の達成のために取り組みを行ってきた。
しかし、この目標の到達は難しいという見解を国連環境計画(UNEP)が表明した。
毎年発表される排出ギャップ報告書によると、地球温暖化を引き起こす温室効果ガス排出量削減に向けた各国の取り組みが遅れており、世界の温室効果ガス排出量は2024年に2.3%増加。「1.5℃目標」は達成できず、今後10年間には地球の平均気温上昇が1.5℃を超える可能性が高いというのだ。
仮に、温室効果ガス排出量を削減するという世界各国の最新の公約が達成された場合でも、世界は2.3~2.5℃の気温上昇に直面するという。
地球温暖化が進行すれば、干ばつ、山火事、熱波などを引き起こす可能性が高いことが科学的にも指摘されている。
例えば、地球の平均気温の上昇が1.5℃の場合、サンゴ礁の少なくとも70%が失われ、2℃の上昇なら99%が失われるという。さらに、2℃の上昇の場合、極度の暑さにさらされる人口の割合は1.5℃の場合の2倍以上になる。
UNEPでは、世界各国がすでに実施している現在の政策だけでは、地球の気温上昇はさらに進み、約2.8℃に達すると予測している。
これの気温上昇を少しでも抑えるためには、石炭、石油、ガスなどの燃焼による温室効果ガスの排出量の削減などが欠かせない。
2025年11月10日~21日にブラジルのベレンでCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)が開催される。ここで、世界各国の地球温暖化抑制のさらなる取り組みが議論され、世界が野心的な取り組みを進めていかなければならないだろう。
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