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IMD(国際経営開発研究所)が作成する「世界競争力ランキング」の2025年版が発表された。1位はスイス、2位はシンガポール、3位は香港だった。日本は35位で、2024年の38位から3ランクアップとなった。本記事では、最新の世界競争力の全ランキング結果を紹介する。
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世界競争力とは、各国が世界と競いあえる力のことだ。もっとも有名なものに、スイスのビジネススクールであるIMD(国際経営開発研究所)が毎年発表する「世界競争力ランキング(世界競争年鑑)」がある。
世界競争力ランキングは、世界60か国以上を対象に、各国の競争力を相対的に評価したものだ。評価基準は、以下の4カテゴリー。
・経済パフォーマンス:国内経済、雇用動向、物価に関するマクロ経済評価
・政府の効率性:政府の政策が競争力向上にどの程度貢献しているか
・ビジネスの効率性:企業が革新的で高い収益性のもと業務を遂行できるか
・インフラ:基礎インフラ、技術インフラ、科学インフラが事業ニーズを満たしているか
各カテゴリーに5つの項目が設けられ、合計20の項目で評価を行い、スコアとして算出し、ランキングにする。
2025年のランキングでは、69か国について評価が行われた。全ランキング結果を紹介しよう。
順位 | 国名 | 前年比 |
---|---|---|
1位 | スイス | +1 |
2位 | シンガポール | -1 |
3位 | 香港 | +2 |
4位 | デンマーク | -1 |
5位 | アラブ首長国連邦 | +2 |
6位 | 台湾 | +2 |
7位 | アイルランド | -3 |
8位 | スウェーデン | -2 |
9位 | カタール | +2 |
10位 | オランダ | -1 |
11位 | カナダ | +8 |
12位 | ノルウェー | -2 |
13位 | 米国 | -1 |
14位 | フィンランド | +1 |
15位 | アイスランド | +2 |
16位 | 中国 | -2 |
17位 | サウジアラビア | -1 |
18位 | オーストラリア | -5 |
19位 | ドイツ | +5 |
20位 | ルクセンブルグ | +3 |
21位 | リトアニア | +9 |
22位 | バーレーン | -1 |
23位 | マレーシア | +11 |
24位 | ベルギー | -6 |
25位 | チェコ | +4 |
26位 | オーストリア | ー |
27位 | 韓国 | -7 |
28位 | オマーン | ー |
29位 | 英国 | -1 |
30位 | タイ | -5 |
31位 | ニュージーランド | +1 |
32位 | フランス | -1 |
33位 | エストニア | ー |
34位 | カザフスタン | +1 |
35位 | 日本 | +3 |
36位 | クエート | +1 |
37位 | ポルトガル | -1 |
38位 | ラトビア | +7 |
39位 | スペイン | +1 |
40位 | インドネシア | -13 |
41位 | インド | -2 |
42位 | チリ | +2 |
43位 | イタリア | -1 |
44位 | キプロス | -1 |
45位 | プエルトリコ | +4 |
46位 | スロベニア | ー |
47位 | ヨルダン | +1 |
48位 | ハンガリー | +6 |
49位 | ルーマニア | +1 |
50位 | ギリシャ | -3 |
51位 | フィリピン | +1 |
52位 | ポーランド | -11 |
53位 | クロアチア | -2 |
54位 | コロンビア | +3 |
55位 | メキシコ | +1 |
56位 | ケニア | ー |
57位 | ブルガリア | +1 |
58位 | ブラジル | +4 |
59位 | ボツワナ | -4 |
60位 | ペルー | +3 |
61位 | ガーナ | +4 |
62位 | アルゼンチン | +4 |
63位 | スロバキア | -4 |
64位 | 南アフリカ | -4 |
65位 | モンゴル | -4 |
66位 | トルコ | -13 |
67位 | ナイジェリア | -3 |
68位 | ナミビア | ー |
69位 | ベネズエラ | -2 |
過去の世界競争力ランキング結果は、以下を参考にしてほしい。
前年のランキングでは1位はシンガポール、2位はスイスだったが、2025年ランキングではスイスがトップの座に返り咲いた。この2国のスコアは僅差で、経済パフォーマンスやビジネスの効率性について評価が高い点が共通する。とくに2025年版では、スイスの適応力の高いガバナンスモデルや、政策の安定性が評価された。
シンガポールは、順位を1つ落としたものの、4つのカテゴリーすべてで10位圏内にランクインしており、バランスよく競争力が高い国といえる。
日本は35位で、前年の38位から3ポイントアップした。2025年版のスコアの内訳は以下のとおりだ。
スコア | 順位(前年比) | |
---|---|---|
経済パフォーマンス | 58.74 | 23位(-2) |
政府の効率性 | 52.56 | 38位(+4) |
ビジネスの効率性 | 36.63 | 51位(ー) |
インフラ | 71.12 | 19位(+4) |
総合 | 68.74 | 35位(+3) |
スコアが良かったのは、「経済パフォーマンス」と「インフラ」のカテゴリー。「政府の効率性」については前年より順位を上げたが、「ビジネスの効率性」については依然として評価が低く、総合として35位と言う結果になった。
2025年 | 35位 |
---|---|
2024年 | 38位 |
2023年 | 35位 |
2022年 | 34位 |
2021年 | 31位 |
日本の過去5年間の順位を振り返ると、やや下落傾向にある。さらに20年以上前まで振り返ると、世界20位代だったため、日本の世界競争力は陰りを見せていることは否定できないようだ。
日本はGDPでみれば世界トップクラスの国ではあるが、競争力という面で見ると、低迷していることは否定できない。近年、「物価は上がるのに、給料が上がらない」という声がよく聞かれるだろう。競争力の低下は、国民の収入の低下や生活水準の低下につながりかねない。また、格差が広がることにも関連するだろう。
世界競争力ランキングは、各国が改善すべき分野を確認するベンチマークとしての働きもある。日本を含め、各国が取り組むべき課題をあらためて再認識する必要があるのではないだろうか。
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