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環境省が発表した2025年の最新のデータによると、日本のリサイクル率は19.5%だった。さらに都道府県別のランキング、自治体ランキングも紹介する。リサイクル率が80%を超える自治体など、ごみの削減に取り組む地域にも光をあてる。
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最初に「リサイクル率」の定義について確認しておこう。リサイクル率とは、ごみとして廃棄されたもののうち、リサイクルされたものがどのくらいあるか示したもの。リサイクル率が高いほど、リサイクルして再資源化されたものが多いことになり、ごみが減る。
しかし、リサイクル率にはさまざまな定義と計算方法があるため、リサイクル率を単純に比較できない場合もある。日本では、以下の計算式が用いられている。
リサイクル率(%)
=(直接資源化量+中間処理後再生利用量+集団回収量)÷(ごみの総処理量+集団回収量)×100
・中間処理後再生利用量:資源ごみ、粗大ごみ等を処理した後、鉄、アルミ等を回収し資源化した量
・集団回収量:市町村による用具の貸出、補助金の交付等で市町村登録された住民団体によって回収された量
※ここでのリサイクルはマテルリサイクルを指し、サーマルリサイクルは含めない
では、日本のリサイクル率がどのくらいか見てみよう。環境省発表の「日本の廃棄物処理 令和5年度版(2023年度版)」によると、最新のデータで2023年度のリサイクル率は19.5%だった。これは災害廃棄物を除いた場合の数値で、災害廃棄物を含んだ場合は19.9%だ(※1)。
過去10年間のリサイクル率は20%前後で横ばいで推移している。日本政府は2027年にリサイクル率を28%にする目標を掲げているが、その実現にはこれまで以上の取り組みが必要だ。
年度 | リサイクル率 |
---|---|
2023年度 | 19.5% |
2022年度 | 19.6% |
2021年度 | 19.9% |
2020年度 | 20.0% |
2019年度 | 19.6% |
2018年度 | 19.9% |
2017年度 | 20.2% |
2016年度 | 20.3% |
2015年度 | 20.4% |
2014年度 | 20.6% |
都道府県別のリサイクル率はどうだろう。全国平均19.5%に対して、もっともリサイクル率の高い都道府県は岡山県(29.0%)で、もっともリサイクル率の低いのは和歌山県(11.9%)と、都道府県によって大きな差があることがわかる。
都道府県 | リサイクル率 | |
1位 | 岡山県 | 29.0% |
2位 | 鳥取県 | 28.2% |
3位 | 東京都 | 24.9% |
4位 | 埼玉県 | 24.3% |
5位 | 神奈川県 | 24.2% |
6位 | 北海道 | 22.8% |
7位 | 千葉県 | 22.6% |
8位 | 長野県 | 22.0% |
9位 | 愛知県 | 22.0% |
10位 | 山口県 | 21.6% |
11位 | 富山県 | 21.4% |
12位 | 福岡県 | 21.4% |
13位 | 広島県 | 20.6% |
14位 | 茨城県 | 20.0% |
15位 | 佐賀県 | 20.0% |
16位 | 島根県 | 19.9% |
17位 | 熊本県 | 19.8% |
18位 | 高知県 | 19.6% |
19位 | 三重県 | 19.5% |
20位 | 香川県 | 18.8% |
21位 | 新潟県 | 18.7% |
22位 | 大分県 | 18.1% |
23位 | 静岡県 | 17.9% |
24位 | 岐阜県 | 17.1% |
25位 | 宮崎県 | 16.6% |
26位 | 岩手県 | 16.4% |
27位 | 徳島県 | 15.8% |
28位 | 愛媛県 | 15.8% |
29位 | 長崎県 | 15.8% |
30位 | 滋賀県 | 15.7% |
31位 | 奈良県 | 15.7% |
32位 | 山梨県 | 15.6% |
33位 | 鹿児島県 | 15.6% |
34位 | 宮城県 | 15.3% |
---|---|---|
35位 | 兵庫県 | 15.2% |
36位 | 栃木県 | 15.0% |
37位 | 沖縄県 | 14.9% |
38位 | 京都府 | 14.6% |
39位 | 群馬県 | 13.8% |
40位 | 秋田県 | 13.6% |
41位 | 山形県 | 13.4% |
42位 | 福島県 | 13.2% |
43位 | 石川県 | 12.9% |
44位 | 福井県 | 12.7% |
45位 | 青森県 | 12.6% |
46位 | 大阪府 | 12.6% |
47位 | 和歌山県 | 11.9% |
全国平均 | 19.5% |
次は、市町村別のリサイクル率を見てみよう。人口の規模により、それぞれのランキング上位10の自治体を紹介する。
市町村 | リサイクル率 | |
---|---|---|
1位 | 鹿児島県大崎町 | 83.0% |
2位 | 北海道豊浦町 | 81.5% |
3位 | 徳島県上勝町 | 76.2% |
4位 | 鹿児島県志布志市 | 75.6% |
5位 | 北海道小平町 | 69.6% |
6位 | 長野県木島平村 | 64.3% |
7位 | 福岡県大木町 | 63.6% |
8位 | 鳥取県日吉津村 | 53.4% |
9位 | 北海道羅臼町 | 51.3% |
10位 | 北海道下川町 | 51.0% |
市町村 | リサイクル率 | |
---|---|---|
1位 | 神奈川県鎌倉市 | 58.5% |
2位 | 岡山県倉敷市 | 47.3% |
3位 | 東京都国分寺市 | 44.9% |
4位 | 東京都小金井市 | 44.8% |
5位 | 埼玉県加須市 | 37.6% |
6位 | 愛媛県小牧市 | 36.9% |
7位 | 東京都東村山市 | 35.9% |
8位 | 東京都西東京市 | 33.6% |
9位 | 東京都調布市 | 33.2% |
10位 | 神奈川県横須賀市 | 32.3% |
市町村 | リサイクル率 | |
---|---|---|
1位 | 千葉県千葉市 | 34.6% |
2位 | 東京都八王子市 | 28.0% |
3位 | 愛知県名古屋市 | 26.4% |
4位 | 福岡県北九州市 | 25.0% |
5位 | 岡山県岡山市 | 23.8% |
6位 | 新潟県新潟市 | 23.1% |
7位 | 神奈川県横浜市 | 22.1% |
8位 | 埼玉県川口市 | 22.0% |
9位 | 埼玉県さいたま市 | 20.7% |
10位 | 神奈川県相模原市 | 20.2% |
リサイクル率が日本全国でトップなのは、鹿児島県大崎町。83.0%という驚異的な数値を実現している。では、このような自治体では具体的にどのようにして、リサイクル率を高くしているのだろう。これまでELEMINISTで取材してきたこれらの自治体の取り組みを改めて紹介する。
人口1万2000人ほどの大崎町では、町に焼却処分場がなかったことから、ごみを減らすために1998年から分別を開始。当初はわずか3品目から始めたが、現在では28品目にもおよぶ。びんなら4つに、紙の場合は8つと、かなり細かく分けられている。
現在、リサイクルしても資源化できない一般ごみは2割弱。これらは埋立処分されることになるが、現在水平リサイクルにむけた実証実験も行われているところだ。
鹿児島県大崎町の隣にある志布志市も、ごみ焼却炉を持たない。そこで志布志市でも分別によって、資源として再利用できるもののリサイクルに力を入れている。
この2自治体で行われているのが、ユニ・チャームとともに取り組む、使用済み紙おむつのリサイクルだ。使用後の紙おむつを回収して、再び新しい紙おむつにするという、信じられないような技術をユニ・チャームが確立。実際にリサイクルしてできた製品も販売され、参加する自治体の増加に期待が寄せられている。
徳島県上勝町は、2003年に日本で初めてゼロウェイスト宣言をしたことで知られる。町では収集車のごみ回収を行わず、住民がみずから「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」に持ち込むスタイルだ。ここでは、なんと45品目に分別が行われる。
また、サントリーグループと提携してペットボトルの水平リサイクル(ペットボトルからペットボトルへリサイクルする)の取り組みも始まった。
リサイクル率を高めるためには、ごみを細かく分別して、決められた回収日にあわせて回収ボックスに入れたり、決められた拠点に出したりと、住民の協力が欠かせない。そしてそのためには、「なぜリサイクルする必要があるのか?」という理解も必要不可欠だろう。
私たちが日々出しているごみが、地球全体や気候へ影響を及ぼしている。そしてもっと身近な目線で考えれば、日本ではあと20年ほどでごみの最終処分場がなくなることが指摘されている。一人ひとりの「ごみを出さない」「再資源化できるものはリサイクルする」心がけと取り組みは、小さなアクションかもしれないが、必ず未来へつながるものになるはずだ。
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