プラの世界共通ルール「プラスチック条約」の合意は先送り

海辺におちたペットボトルのごみ

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プラスチックごみに関する環境汚染を防ぐための国際条約「国際プラスチック条約」の策定について、韓国・釜山で開かれた会議で合意にいたらず、今後再び協議されることとなった。

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2024.12.03

石油産出国が反発 2025年に持ち越し

世界で初となる国際的なプラスチック規制の枠組みをつくろうと進められている、通称「プラスチック条約国際プラスチック条約)」。11月25日から12月1日まで、韓国の釜山(プサン)で第5回政府間交渉委員会(INC5)が開かれていたが、プラスチック生産量について世界的に削減目標を設けるか等、各国で合意にいたらないまま閉幕した。

EUなどはプラスチック生産量の削減目標を設けることなどを主張したのに対して、プラスチックの原料となる石油を産出する国などが反発。双方の意見の隔たりが埋まることはなかった。

プラスチック条約とは?

世界のプラスチック生産量は、年々増加。これまで過去50年間で20倍にも急増し、現在の世界全体の生産量は、地球上の全人類の合計体重と同等となる、約3.8億トンにもなる。さらに、今後10~15年で生産量は2倍に、2050年までには3倍になると指摘されている。

海に浮かぶプラスチックごみは、2050年には魚より多くなるとも言われるように、このままでは、地球がプラスチックごみであふれてしまう。プラスチックの焼却処分で排出される温室効果ガスの問題も、地球温暖化や気候変動に拍車をかける。このように、プラスチックがつくられればつくられるほど、世界的なプラスチック汚染の問題も深刻化している。

そこで、プラスチック生産量を大幅に削減することなどを目的に、国際的に法的な拘束力をもつプラスチック条約をつくろうとしているのが国際プラスチック条約の存在だ。

海ごみの8割は街で生まれている 都市で出たごみが海に行きつくまで

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日本はプラ生産規制に賛同せず

今回、プラスチックの生産規制について、EU、イギリス、スイス、オーストラリア、カナダなど、100以上の国が賛同を示した。しかし、日本はその提案に賛同せず、G7ではアメリカと日本が賛同しなかった。日本はプラスチックごみの排出量は、1位のアメリカに次いで、2番目に多い。

プラスチック条約について合意が難しかったことに加え、プラスチックごみを大量に出している日本の消極的な姿勢についても考えるべき点が多いだろう。

プラスチック条約の議論は2025年に再開される予定で、ここで着地点が見いだせるか注目される。

※掲載している情報は、2024年12月3日時点のものです。

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