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リサイクルポリエステルとは、ペットボトルなどの廃棄物を原料としてつくられた再生繊維である。従来のポリエステルとは異なり、海洋ごみやCO2排出量の削減が期待できる。この記事では、リサイクルポリエステルの特徴やメリット、おすすめのアイテムについて解説する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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ここでは、リサイクルポリエステルの基本的な意味や定義、特徴について説明する。
リサイクルポリエステルは、原料や環境への影響、品質などが従来のポリエステルと異なる。大まかな違いは以下のとおりだ。(※1・2)
原料
リサイクルポリエステルはペットボトルやフィルムくず、繊維製品などの廃棄物を原料としている。ポリエステルは石油などの化石燃料が原料である。
環境への影響
リサイクルポリエステルは再生原料を使用するため石油の利用量や海洋ごみ、CO2排出量の削減が期待できる。
品質
リサイクルポリエステルとポリエステルは、ほぼ同様の品質である。
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リサイクルポリエステルが注目される背景には、2015年に国連サミットで採択されたSDGsの「つくる責任、つかう責任」「海の豊かさを守ろう」に寄与すると考えられていることがある。
また同年に締結された気候変動抑制を目指したパリ協定も相まって、近年は欧州を中心に地球環境への関心が社会的に高まっている。このような背景から、リサイクルポリエステルがいま注目されているのだ。(※3・4)
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ここでは、リサイクルポリエステルの製造方法について説明する。
マテリアルリサイクルとは、回収した廃棄物の材料をそのまま利用するリサイクル方法である。そのまま溶かしたり、粉砕して再度ペットボトルに利用したり、違う製品の材料として使ったりする。(※1)たとえば「再溶解」の場合、合成繊維100%の場合は加熱して溶かすことでプラスチックの成型品原料として再利用している。(※5)
ケミカルリサイクルとは、使用済みの素材を原料に戻して利用するリサイクル方法である。ガスや熱を利用した化学的な方法で分解し、新しい素材を作りる。(※1)ポリマー(合成繊維)を化学的に分解し、モノマー(原料)まで戻して利用するのだ。化学繊維の原料として再利用されており、ポリエステルではこの技術が確立されている。(※5)
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ここでは、リサイクルポリエステルのメリットについて説明する。
ポリエステルは石油などを原料にしてつくられる。再生原料を用いることで石油の新たな利用やプラスチックごみなどを削減できる。したがって、リサイクルポリエステルは環境への負荷も軽減できると期待されている。(※6)
リサイクルポリエステルはペットボトルやフィルムくず、繊維製品などの廃棄物を原料としているため、資源の再利用が可能だ。資源枯渇の危機にさらされている現状において、資源の再利用は持続可能な社会の実現に寄与する。(※1)
リサイクルポリエステルは、BHET法の利用によって工程数を減らすことにより、エネルギー消費量を約6割まで抑えることが可能となっている。この「BHET法」とは、透明のペットボトルなどを再度PET(ポリエチレンテレフタレート)にリサイクルするときに用いられる基本的な手法である。(※7)
ここでは、リサイクルポリエステルのデメリットについて説明する。
リサイクルポリエステルのデメリットとして、コストの問題が挙げられる。リサイクルポリエステルをつくるまでにかかる工数が多いため、素材選別や消費エネルギーにコストがかかる。したがって、コストの合理化が課題といわれている。(※8)
リサイクルポリエステルは、回収から製造工程までに異物が混入すると純粋なプラスチックのような状態を保つことが難しい。リサイクルするたびに、繊維の品質がやや低下してしまう点がデメリットだ。(※1)
ケミカルリサイクルはコストがかかる分、新しいポリエステルに近い状態にまでなる。しかしマテリアルリサイクルは、コストが安く済む分、品質にばらつきが生じやすいといわれている。(※8)
リサイクルポリエステルは、ペットボトルなどを手作業で選別するため時間とコストがかかる。したがって、効率的な分離技術や製品選別が自動化されれば、人件費にかかるコストを抑え、リサイクル効率も改善されると考えられている。(※8)
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ここでは、リサイクルポリエステルを使用した製品を紹介する。
アパレル業界では、「アディダス」がリサイクルポリエステルを使用したさまざまなファッションアイテム(ウェア・パンツなど)を販売している。アディダスはSDGsの目標として「2024年までに全製品が再生ポリエステルのみを使用したアイテムになることを目指す」と発表している。(※9)(※10)
アディダスでは、リサイクルポリエステルを使用したスポーツ・アウトドア用品を販売している。たとえば、ウィンドブレーカーやキャップ、ポロシャツ、ストレッチパンツ、ユニフォーム、ボールケースなどだ。このように、大手のアパレルブランドもリサイクルポリエステルの使用に積極的な姿勢を見せている。(※10)
リサイクルポリエステルは工業製品としても利用されている。たとえば「ポリエステルリサイクル培地」は、ポリエステル繊維を主とした人工ゼオライトを特殊混合し、繊維でできた土だ。これは、植物を育てる際に利用可能だ。(※11)
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ここでは、リサイクルポリエステルと環境保全への役割について言及する。
リサイクルポリエステルは再生原料を用いるため、海洋プラスチックや埋立ごみの削減に貢献するといわれている。また世界的なプラスチック削減の動きと連動し、持続可能な消費を促進することにもつながると期待されている。
リサイクルポリエステルの製品を使用することで、新たなプラスチック製造を減らして炭素排出の削減へとつなげられる。これにより再生エネルギーとの連携でCO₂削減を意識するとともに、カーボンニュートラルの実現支援にもつながるだろう。
リサイクルポリエステルの利用が拡がることは、資源循環型経済への転換にも一役買う。また、製品のライフサイクルを考慮した消費者教育の重要性にもつながるだろう。
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ここでは、リサイクルポリエステルを活用したおすすめのアイテムを紹介する。
ECOPET
ECOPET® ニットバッグ
6,600円
※2024.12.05現在の価格です。
リサイクルポリエステルを活用したおすすめのアイテムのひとつが「ニットバッグ(ECOPET®ニットバッグ|eleminisut)」だ。このニットバッグは、リサイクルポリエステル繊維で抗菌防臭効果がある。臭い対策をしながらおしゃれに衣類を包めるため、旅先や運動後の衣類を持ち運ぶのに便利なアイテムといえる。
Öffen
square - SLIPSIMP
18,150円
※2024.12.05現在の価格です。
こちらの「ニットシューズ(square - SLIPSIMP)」は、素材に使用済みのペットボトルから生まれたリサイクル糸を採用。軽量でクッション性のあるニット素材は歩きやすさも抜群だ。運動靴のような快適さもさることながら、洗って繰り返し使えるためお手入れがしやすいのもポイント。
Öffen
pointed - MUSEUM
17,600円
※2024.12.05現在の価格です。
使用済みのペットボトルから生まれたリサイクル糸を採用した、上品で大人なマニッシュスタイルが完成するニットシューズ。足を深く覆い細身に仕立てることで女性らしくモードな印象を高めている。軽量でクッション性のあるニット素材は、まるで裸足のような履き心地だ。おしゃれなデザインでありながら、運動靴のような快適さも兼ね備えたアイテムとなっている。
anela
ペット用ベッド(ラウンド型) - ダークインディゴ
38,280円
※2024.12.05現在の価格です。
リサイクルポリエステルを活用した「ペット用ベッド(ペット用ベッド(ラウンド型) - ダークインディゴ)」。
体格や好みに合わせて調整可能なラウンド型のペットベッドは、リサイクルポリエステル・再生コルク・廃棄されるデニムの残布による3つの再生素材からつくられている。老舗まくらメーカー「KITAMURA MAKURA」によって、寝心地やくつろぎやすさにもこだわってつくられたアイテムだ。
NAIKED
リサイクルPET スプレーボトル
1,430円
※2024.12.05現在の価格です。
100%リサイクルポリエステルを活用した「スプレーボトル(リサイクルPET スプレーボトル)」。スタイリッシュなデザインで空間に置いてもおしゃれ。それでありながら自然環境にも配慮した製品となっている。ラベルを使用せず、高品質で耐久性に優れたボトルにデザインが直接プリントされている。
earth rated
ハンドルバッグ(うんち処理袋)- 120枚入
1,350円
※2024.12.05現在の価格です。
「ワンちゃんとの暮らしが、シンプルに、より良いものになるように」と、2009年にカナダで創業されたペット用品ブランドの「ハンドルバッグ(ハンドルバッグ(うんち処理袋)- 120枚入)」。
開閉がしやすく結びやすい手提げタイプとなっており、デザイン性もスタイリッシュでおしゃれ。さらに再生プラスチックを65%使用、プラ削減にも貢献できるアイテムだ。機能性にもこだわっており、防漏・防臭性能が高いため、破れや臭い漏れも気にせず使用できるつくりとなっている。
Photo by suhyeon choi
リサイクルポリエステルは、アパレル製品や生活用品などにも使用されている再生繊維だ。従来のポリエステルと同様の品質でありながら、石油の利用量やプラスチックごみ、CO2排出量の削減が期待できると注目を集めている。これからはリサイクルポリエステルなどの環境に配慮した製品を選ぶなどして、まずは買い物から循環型社会を目指した取り組みを意識していきたい。
※1リサイクルポリエステルは環境に優しい再生繊維。どんな商品に使われているの?|コメ兵
※2 繊維製品の 環境配慮設計に関する事例集|環境省
※3 【お答えします!】エコ素材どうして今、話題?|繊研新聞社
※4 SDGsってなんだろう?|日本ユニセフ協会
※5 「化学せんい」は、リサイクルできるの?|日本化学繊維協会
※6 環境ラベル等データベース|環境省
※7 ポリエステル繊維再生のエネルギーを4割減、帝人系が新触媒| 日経クロステック
※8 繊維to繊維リサイクルの課題|経済産業省
※9 プラスチックを取り巻く国内外の状況|環境省
※10 リサイクルポリエステル|adidas
※11 「ポリエステルリサイクル培地」で、グリーンを育てる。【#ChangeChallenge】|VOGUE25JAPAN
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