ゴールドリボン運動とは? 小児がんの現状といま私たちにできること

病院の先生と子ども

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「ゴールドリボン運動」とは、小児がんの子どもたちを支援する運動だ。小児がんは成人がんに比べて症例が少なく、支援や認知の機会に恵まれないのが現状だ。この記事では小児がんの現状と、私たちにもできる具体的な支援活動について紹介する。

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2024.12.05

ゴールドリボン運動とは?

ベンチで笑う男の子

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ゴールドリボン運動とは、小児がんの子どもたちを支援する運動であり、「ゴールドリボン」はその活動のシンボルマークである。ここではゴールドリボン運動の理念や現状について解説する。(※1)

ゴールドリボン運動の理念

ゴールドリボン運動とは、小児がんの子どもたちを支援する運動だ。小児がんは成人のがんに比べて症例も少なく、支援や認知の機会に恵まれないのが現状だ。また、薬や治療法もあまり多くない。ゴールドリボン運動は、こうした現状を社会に知らせてサポートや支援のための資金援助をしてもらうことを目的としている。

シンボルが“ゴールドリボン“の理由

なぜ、小児がんの子どもを支える活動のシンボルマークが「ゴールドリボン」なのだろうか。そこには子どもが国の宝であり、「私たちにとって金(ゴールド)のように貴重な宝である」という意味合いが込められている。(※1)

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小児がんとは?

手術室

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ここでは小児がんについて解説する。

小児がんの定義と種類

小児がんは、15歳未満の子どもに発症するがんの総称である。以下より、主な小児がんの種類を5つ紹介する。(※2)

白血病
血液中にある白血球が白血病細胞(がん化した細胞)となって制限なしに増殖する病気。小児がんでもっとも多い。

脳腫瘍
頭蓋骨の内側にできる腫瘍。とくに多い脳腫瘍はグリオーマや随芽腫、胚細胞腫瘍。白血病の次に多い病気。

神経芽腫
体幹の交感神経節や副腎髄質などから発生する固形腫瘍であり、交感神経のもとになる細胞が起源。

リンパ腫
リンパ球ががん化して増殖する血液のがん。リンパ組織は全身におよぶため、体のあらゆる部位で発生するおそれがある。

胚細胞腫瘍
胎児のときに存在する原始生殖細胞から発生した腫瘍の総称。胸部や腹部などから発生する。

小児がんの特徴と課題

成人のがんは生活習慣が原因となる場合もあるが、小児がんは無関係のケースが多い。また突発的な場合もあるため、予防や対策が難しいとされている。現在は早期発見と医療の進化により治癒率も上がりつつあるが、長期間の治療は家族や患者への精神的・経済的負担も大きいのが現状だ。

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ゴールドリボン運動の主な活動内容

勉強している人

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ここではゴールドリボン運動の主な活動内容について解説する。

認知度向上キャンペーン

小児がんに関する情報発信

小児がんに関する情報発信を、インターネットや広報誌、会報などを通じて積極的に行なっている。そのほか、ゴールドリボンを普及させるための活動として、飲料会社などと提携して一般の認知を高める活動も実施している。(※3)

ウォーキングイベント

小児がんへの理解を深める活動として、ウォーキングイベントの開催支援も行っている。2024年4月に開催された「ゴールドリボンウォーキング2024」では、小児がんの子どもたちを応援するチャリティイベントを開催した。このイベントは、小児がんの子どもたちとそのご家族を応援するためのチャリティイベントとして話題を集めた。(※4)

作品展

小児がんへの理解を深める活動として、小児がん経験者の作品を募集した作品展も行っている。ゴールドリボン・ネットワークによる世界小児がん啓発月間の啓発イベントとして「Gold Ribbon Month」を開催。この作品展は、小児がんを経験した子どもたちとその家族の想いを発信し、より認知を広げることを目的としている。(※5)

小児がんの研究支援

小児がん治療法の開発支援として、ユーイング肉腫と頭蓋内原発細胞腫の2分野に研究助成金を支出している。また白血病分野では、研究者1名に海外留学の奨学金を出したり、小児がんの早期発見や治療方法の向上を目指す研究機関に対して助成金を拠出したりし、小児がんの研究支援に取り組んでいる。(※3)

患者や家族のサポート

医療相談

小児がん患者やその家族へのサポートとして、無料オンライン医療相談も行っている。たとえば「Medical Note医療相談」では、小児がんの初期症状や疾患、通院、治療といった心配事についてパソコンやスマホで気軽に相談・質問ができる。専門医を中心に医療従事者で編成されたチームのため、安心して利用が可能だ。24時間いつでも相談ができるため深夜の対応も行ってくれる。(※6)

学習支援

小児がん経験者の大学進学を応援するために「はばたけ!ゴールドリボン奨学金」が設けられている。この奨学金は大学や専門学校への進学を希望する小児がん経験者が、経済的理由で修学が困難となった場合に支援する制度だ。予約採用型で返還不要の給付型奨学金となっているため、安心して受けられる。

また大阪市立総合医療センターでは、病気で長期入院している小児病棟の患者に向けて「ゴールドリボンe学習室」を開設するなどして学習支援を行っている。(※7)(※8)

経済的支援

小児がんの子どもをもつ親に対して、経済的支援を行っている。たとえばひとり親世帯や子どもの入院・治療にともない就業が困難で収入が途絶えた世帯、入院により支出が増えることで経済的負担が大きい世帯などを対象に、さまざまな補助やサポートを実施している。(※7)

心理的サポート

小児がんの子どもとその家族に対し、小児がん患者会(経験者の会・病院の会・親の会などを含む)を開催している。長期間の治療や入院は、当事者とその家族にとって精神的負担が大きい。同じ経験をした仲間と出会える貴重な場所として、心理的サポートや心の拠り所となる機会を提供している。(※7)

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ゴールドリボン運動への参加方法

お金を持った手

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ここではゴールドリボン運動への参加方法について解説する。

募金・寄付

小児がんの子どもたちのサポートに寄付金の支援を募っている。寄付金はオンラインでも対応しており、クレジットやコンビニ払い、銀行振込などで支払いが可能だ。また、毎月や単発といった期間の設定も選べる。(※9)

チャリティイベントへの参加

寄付のチャリティランナーとして、定期的に参加者を募っている。チャリティは、各寄付先団体へ寄付をすることで誰でも参加できる。なお、5万円以上寄付した場合はチャリティランナーとして出走することも可能だ。(※10)

ボランティア活動

ゴールドリボン・ネットワーク活動のボランティア参加を募集している。イベントボランティアにはコンサート会場の募金活動サポートを、デスクワークボランティアにはデザインや動画編集、翻訳などの活動を依頼している。(※11)

SNSなどを活用した情報発信

活動報告や小児がんの情報をSNSで積極的に発信し、さまざまな人たちに向けて事業内容の周知をしてもらうための活動を行っている。これにより、支援者や各支援事業の応募者増加や、従来の医療機関や教育委員会に向けての案内拡大が可能となった。このように、SNSを通じて情報発信できる点は現代の大きな強みといえるだろう。(※12)

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ゴールドリボン運動の社会的意義

点滴

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ここではゴールドリボン運動の社会的意義について解説する。

小児がん患者と家族への影響

ゴールドリボン運動をとおして、小児がんの子どもとその家族は心理的・経済的な支援やサポートを受けられる。経済的な面では医療費の負担が多い世帯への経済的支援などを、心理的な面では小児がん患者会を開催して当事者同士が交流できる機会を設けている。このような支援やサポートは、患者とその家族にとって大きな希望や安心感へとつながっている。(※7)

社会全体へのメリット

ゴールドリボン運動に参加することで、小児がんの早期発見や治療法の進展が進むことになる。したがって、社会全体の健康向上にもつながるだろう。またゴールドリボンの認知度が向上すれば、より多くの支援や資金が集まるため、研究や治療の発展も促進されていくだろう。

持続可能な支援活動の必要性

ゴールドリボン運動を通じて、小児がんの子どもをもつ世帯に学習支援や経済支援、医療相談や心理的サポートなどを行っている。未来を担う子どもたちの命を守り、このような活動を継続的に続けるためには、持続可能な支援活動と社会全体の理解促進が必要不可欠だ。

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ゴールドリボン運動を知って私たちにできること

海で笑う子ども

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ゴールドリボン運動は、小児がんの子どもたちとその家族を支援・サポートする運動だ。私たちにできることは多くないが、彼らの生活が少しでもよりよいものになるために、寄付やチャリティイベント、ボランティア活動などに参加してみるのもひとつの手だ。小児がん患者とその家族を支援することは、未来を担う子どもたちの命を守り、新たな希望へとつながるだろう。

※掲載している情報は、2024年12月5日時点のものです。

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