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この記事では、流域面積の広い日本の川をランキング形式で紹介する。流域面積とは、水面の面積ではなく川に流れ込む水が集まる地域の面積のことだ。この面積が広いと自ずと水量も増え、豊かな自然を育み私たちの生活を支える。しかし時には災害のリスクも招くため、注意したいことも解説する。
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川の長さに目が行きがちだが、「流域面積」からもその川の規模が計測される。流域面積とは、川に流れ込む水が集まる地域の面積のことで、川の規模だけではなく周辺の自然環境に大きく影響を与える。
国土の多くを山がしめる日本には、地形的な背景から広い流域を持つ川が数多く存在している。この記事では日本の流域面積が広い川TOP10を紹介し、それぞれの川が持つ特徴について解説する。(※1)
利根川は日本最大の流域面積を誇り、関東地方を代表する重要な河川である。流域内には多くの都市が点在し、その水は古くから農業や工業などに利用されてきた。流域面積の広さから洪水などの水害に悩まされており、何度も治水工事が行われていた歴史を持つ。(※2)
北海道を流れる石狩川は、全長で日本第3位を誇る川であり、流域面積も広い。豊かな農地を潤す水源となっており、北海道の食糧生産に大きく貢献している。また自然景観も豊かで、観光客も多く訪れる。(※3)
信濃川は日本でもっとも長い川として知られ、その流域は新潟県と長野県を中心に広がっている。(※1)川沿いには肥沃な農地が広がり、米の生産地としても全国的に有名だ。
北上川は東北地方を代表する川で、宮城県や岩手県を流れている。その歴史は長く、川沿いには豊かな水源を求めて多くの人が集まった。少なくとも縄文時代ごろから、人々の営みがあったとされている。(※4)
木曽川は中部地方を流れる川で、愛知県や岐阜県をまたぎ日本のほぼ中心を流れている。下流では長良川、揖斐川が合流しており、木曽川を含め「木曽三川」と呼ばれている。(※5)歴史的に水害が多い地域だが、現在は治水工事が進み発電や灌漑にも利用されている。
十勝川は、屋根大雪連峰十勝岳を源に、音更川・札内川・利別川など多くの支流を合流しながら広大な十勝平野を南下する川だ。豊かな自然が広がっており、太平洋に流れでる。(※6)
淀川は大阪、兵庫、京都、奈良、三重、滋賀と2府4県を流れる川で、関西エリアの経済の基盤を支える一級河川だ。淀川流域にかかる総面積のうち、天然林が約31%、人工林が約26%、その他を含めて全体で約60%を森林が占めている。(※7)
阿賀野川は新潟県と福島県、群馬県をまたいで流れる河川で、水力発電や農業用水として利用されている。流域には豊かな自然が残されており、流域での森林の割合は80%ほどである。(※8)
最上川は山形県を流れる川で、詩人の松尾芭蕉が詠んだことで有名だ。流域には広大な農地が広がり、なかでも米の栽培が盛んである。また大雨によって何度も氾濫しており、現在では治水対策として多くの堤防が整備されている。(※9)
天塩川は北海道北部を流れる川で、自然豊かな環境に恵まれている。漁業資源が豊富であり、川沿いでは鮭の漁業が盛んで、明治・大正時代ごろから「天塩モノ」と呼ばれ珍重されてきた。(※10)また周辺には広大な湿地が広がり、貴重な生態系が保たれている。
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豊かな水資源として私たちの生活を支えている川は、時に災害の原因にもなる。とくに日本の川は、その独特な地形や気候によって環境や災害に影響を与えることが多い。これらの特徴を理解し、川からの恩恵を受けるとともに、私たちが抱える問題についても考えることが大切だ。
日本の川は、川の長さが短く、急な斜面を流れるため流れが非常に速い。これは山々が背骨のように連なる日本列島の地形によるものだ。大雨の際には一気に増水して急流となるため、洪水のリスクが高い。屈指の急流河川である富山県の常願寺川は、滝のような流れの速さで知られている。(※11)
日本は世界平均の約2倍の降水量があり、その多くが梅雨や台風シーズンなど一定の期間に集中する。(※12)そのため川の水量が急激に増加しやすく、洪水や水害のリスクが高まる。先ほど触れたように短い川が多いため、降雨による急激な水位上昇が起こる。
日本の都市部は川よりも低い場所にあることが多いため、洪水が発生しやすい。全国の洪水氾濫域には日本の人口の約51%が集中しており、とくに都市部では被害が甚大になりがちだ。(※12)堤防の決壊などが起これば、広範囲にわたる浸水や資産への影響が懸念される。
水害とは、河川が増水し、氾濫や土砂災害などによって生じる自然災害を指す。日本では毎年のように水害が発生しており、生活や経済に深刻な被害を与えている。
水害には河川の氾濫や土砂災害、浸水などが含まれ、それぞれが河川や地形の特徴、天候により引き起こされる。また河川氾濫には外水氾濫と内水氾濫がある。外水氾濫は川の水が堤防を越えて溢れる現象で、内水氾濫は都市部で排水が間に合わず、地面に水が溜まる現象を指す。(※13)
過去10年間で、日本全国の97%の市区町村が水害・土砂災害を経験している。(※14)梅雨や台風の時期には短期間で大量の雨が降り、都市部を中心に浸水や河川氾濫が繰り返されている。日本の地理的特性もあるが、近年の異常気象によるゲリラ豪雨の増加や集中豪雨が大きな要因となっている。
令和3年8月11日からの大雨では、西日本から東日本の広い範囲で大雨が降り、総雨量が多い場所では1,400mmを超える記録的な降雨となった。この大雨によって、佐賀県の六角川水系や島根県の江の川水系を含む29水系88河川で氾濫が発生した。佐賀県武雄市では六角川が氾濫して水田が広範囲にわたり浸水した。また島根県江津市では江の川の氾濫により、市街地が浸水するなどの被害が報告されている。(※15)
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日本の河川は、その特徴から洪水や土砂災害のリスクが高く、毎年多くの地域で水害が発生している。ここでは、水害の主な原因と種類について解説する。
日本は年間平均降水量が1,700mmと世界平均の約2倍の雨量を持つが、ほとんどが梅雨や台風期に集中して降る。(※12)そのため短期間で大量の雨が河川に流れ込み、増水や洪水が発生しやすい。
日本の河川は全長が短く、上流から下流への勾配が急なため、降雨時には急激に増水する。加えて河川の周囲に人口や資産が集中しており、氾濫時の被害が大きくなる。
近年の集中豪雨や強力な台風によって短時間で大量の雨が降り、河川の氾濫や土砂災害が頻繁に発生している。都市部では短時間で降った雨が排水しきれず、内水氾濫を引き起こす。
気候変動により異常気象が増加し、集中豪雨や台風の発生が以前よりも激しくなっている。気候変動がさらに進むことで、より大規模な水害が発生する可能性がある。
都市化が進むにつれ、地面がコンクリートで覆われて雨水が地中に浸透しにくくなる。その結果、短時間に降った雨が河川に流れ込み洪水が発生しやすくなっている。
氾濫平野では宅地化が進んでいるが、この地域は河川水位よりも低い位置にあるため、洪水が発生すると浸水被害が深刻化する可能性が高い。河川沿いの開発には十分な対策が必要なのはもちろん、私たちも安全な選択を心がけたい。
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水害の多い日本では、さまざまな対策が講じられている。ここでは、具体的な水害対策と河川管理の現状について解説する。
日本では河川整備と治水対策が長年にわたり行われており、近年では洪水リスクを減らすための浸透施設の設置やインフラの見直しが進められている。国土交通省は首都圏外郭放水路などの大規模インフラを整備し、都市部における洪水リスクの軽減を目指している。
2022年には河川整備基本方針が変更され、これに基づき各地域の河川整備が実施されている。(※16)
洪水リスクを可視化するため、ハザードマップの作成と普及は重要な対策となっている。1999年に施行された「水防法」に基づき、国土交通省と地方自治体が協力し、浸水想定区域を指定し、それを基にハザードマップが作成されている。(※17)
また2015年の法改正以降に対象地域が拡大され、中小河川も含めたハザードマップを全国で普及させている。(※17)
ダムや堤防といった防災インフラの整備は、長年行われている日本の水害対策である。ダムによる洪水調整機能は、大雨時の流域への水量をコントロールする役割を担っている。また新たに防災インフラを整えたとしても、さらに大きな水害が起こる可能性もあり、それを踏まえた対策を練っている。(※16)
どれだけ防災設備を整えても、それを超える災害が起こる可能性もある。万が一のときに備え、私たちはどのように行動すればいいのだろうか。
自身の住む地域が氾濫平野や洪水リスクの高い地域に含まれるかどうかを把握しておくことで、必要な備えが見えてくる。
自治体が提供するハザードマップを確認し、洪水や浸水のリスクが高い地域を理解しておく。また、自治体の指定する避難場所と避難経路も確認しておこう。
豪雨や台風が予想される際には、気象情報や河川の水位情報をこまめに確認し、避難指示に備えておく。
避難指示が発令された際には、ためらわず早めに避難を開始することで、命を守ることができる。
浸水が起こると、水位が低くてもほとんど歩くことができなくなる。浸水が発生してからでは避難が困難になるため、危険が迫る前に避難行動を開始することが必要だ。
避難時に高台や安全な場所へのルートを事前に確認しておくことで、迅速かつ安全な避難が可能となる。
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流域面積の広い川は、水資源の供給や農業、交通、発電など私たちの生活に計り知れない大きな恩恵をもたらしている。しかし、洪水や土砂災害のリスクと常に背中合わせの状況も続いている。インフラや法整備が整っても、最終的に備えるのは私たち自身である。日頃からシミュレーションを行い、万が一の際のリスクに備えることが必要だ。
※1各河川との比較|阿賀野川河川事務所
※2利根川の概要と歴史|利根川下流河川事務所
※3 石狩川|国土交通省
※4北上川|国土交通省
※5木曽三川の水がはぐくむ濃尾平野の紹介|農林水産省
※6十勝川流域の概要|国土交通省
※7淀川河川事務所|国土交通省
※8阿賀野川の概要|阿賀野川河川事務所
※9最上川|国土交通省
※10天塩の鮭|北海道開発局
※11特徴と課題(常願寺川流域の特徴)|国土交通省
※12日本と世界の河川の比較|国土交通省
※13河川の氾濫とは?|東京都防災ホームページ
※14異常気象と水害|国土交通省
※15河川の氾濫や高潮など、水害からあなたの地域を守る、「水防」|内閣府
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