世界の流域面積が広い川ランキング その役割や課題も

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世界の流域面積が広い川にはどんな川があるのか、ランキングで紹介する。また流域面積が広い川の役割や、直面する課題も併せてみていこう。

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2024.10.30
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流域面積とは何か

river

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まずは、流域面積とはなにか、それが川に与える影響について解説しよう。

流域面積の定義

流域とは、川に流れ込む雨水や雪解け水が集まる地域のことを指し「集水地域」とも呼ばれる。この流域の広さがどれくらいあるかを表したのが、流域面積である。(※1)

流域面積が川に与える影響

流域面積が大きいほど、広範囲から多くの雨水や雪解け水を集めることができる。こうした流域面積に加え、川の傾きや川幅、深さなどによって水位の上昇スピードに変化をもたらす。たとえば流域面積が大きく、川幅と深さも大きく、傾きが下流は緩やかという特徴をもつ川の場合、水位上昇には時間がかかるが、広い流域に長時間強い雨が降り続くと、大きな水害が発生する可能性がある。(※2)

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世界の流域面積が広い川TOP10

川

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流域面積とはなにかがわかったところで、世界の流域面積が広い川TOP10をみていこう。(※3)

1位|アマゾン川(南アメリカ大陸)705万平方㎢

amazon river

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流域面積世界最大の川は、南アメリカ大陸に流れるアマゾン川だ。アマゾン川はブラジルを中心に、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアにまたがり、流域面積は約705万㎢、全長は6500㎞を超える。(※4)

2位|コンゴ川(アフリカ中央)368万㎢

コンゴ川は、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、中央アフリカ、アンゴラ、ザンビアにまたがり流れる川だ。流域面積は約368万㎢で、長さは約4,370km、幅は10㎞を超えるところもある。コンゴ川流域には、チンパンジーと同じパン属に分類される類人猿で固有種のボノボが生息している。(※5)

3位|ミシシッピ川(北アメリカ大陸)325万㎢

mississippi river

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ミシシッピ川は、アメリカ中央部を縦断して流れる川。流域面積は325万㎢で、これは国土の3分の1に達する。ミネソタ州のイタスカ湖に源を発し、メキシコ湾に注ぐ。その長さは3,765kmである。(※6)

4位|ラプラタ川(南アメリカ大陸)310万㎢

ラプラタ川は、南アメリカ大陸東部を流れる川だ。ウルグアイ川、パラグアイ川、パラナ川の巨大な河川や無数の河川が流れ込む流域の河口部がラプラタ川となる。流域面積は310万㎢、長さは約300km、幅は約230kmで、大きな入り江状の平面形をしているのが特徴だ。(※7)

5位|ナイル川(アフリカ北部)287万㎢

nile river

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ナイル川は、アフリカ北部を流れる川だ。赤道周辺にある湖沼高地から北流し、北緯31度付近で地中海に流入する。長さ6,695kmで世界最長の川として知られる。長さのみならず、流域面積も287万㎢と広く11か国におよぶ。エジプトの年間降水量は極めて少ないことから、水資源のほとんどをナイル川から得ている。(※8、※9)

6位|エニセイ川(ロシア・シベリア中部)270万㎢

Yenisei River

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エニセイ川は、ロシア・シベリア中部を流れる川。モンゴル高原の北斜面に源を発し,中央シベリア高原から水を集め,北極海に注ぐ。流域面積は270万㎢、長さは5550kmで、冬季に結氷するのが特徴だ。この川は、水力発電や木材などの輸送路としても使われている。(※10)

7位|オビ川(ロシア・シベリア西部)243万㎢

オビ川は、ロシア・シベリア西部を流れる川。アルタイ山脈に源を発し、カラ海のオビ湾に注ぐ。流域面積は243万㎢、長さは5570kmで、シベリア開発の重要水路。(※11)

8位|レナ川(ロシア・シベリア東部)242万㎢

lena river

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レナ川は、ロシア・シベリア東部を流れる川。バイカル湖西岸の山地に源を発して北東流し、ヤクーツク付近から北流してラプテフ海に注ぐ。流域面積は242万㎢、長さは4400kmで、10月から5月ごろまで結氷する。(※12)

9位|アムール川(ユーラシア大陸)185万5000㎢

Amur river

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アムール川は、ロシアと中国を流れる川だ。モンゴル高原に源を発し、間宮海峡に注ぐ。流域面積は185万5000㎢、長さは4350kmで、北東アジアでいちばん長い。ロシアではアムール川と呼ばれるが、中国では黒竜江という。アムール川も11月ごろに結氷し、融氷する4月ごろと秋に高水期が訪れる。(※13)

10位|マッケンジー川(北アメリカ大陸)166万8000㎢

mackenzie river

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マッケンジー川は、カナダ北西部を流れる川である。グレートスレーブ湖から流出して北西流し、ボーフォート海のマッケンジー湾に注ぐ。流域面積は166万8000㎢、長さは4241kmで、北アメリカでは2位の長さを誇る。流域は森林・地下資源が豊富で、中流沿岸のノーマンウェルズには油田・精油所がある。(※14)

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流域面積が広い川が持つ役割

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流域面積が広い川には、どのような役割や特徴があるのか解説しよう。

生態系に与える影響

流域面積が広い川は、湿地、森林、湖沼など多様な生息環境を提供し、多くの動植物の生息地となる。これにより、さまざまな生態系を支える役割を持つ。

たとえば川に生息する魚類の種数は、調査地点の流域面積をはじめ、標高や傾斜度、気温、降水量などの影響を受けることが知られている。(※15)

人々の生活や産業への貢献

流域面積が大きいほど、広範囲から多くの雨水や雪解け水を集めるため、水資源が豊富である。(※2)よって、多くの人々が水を利用できる。

また広い流域を持つ川は、地域間や国際的な物資の輸送に重要な役割を果たす。たとえばナイル川やミシシッピ川では、船舶による輸送を行っている。(※16、※17)

文明や文化の育み

世界四大文明は、いずれも大河川の流域に興っていることからもわかるとおり、広い流域をもつ川は文明の発祥地となっている。(※8)また古くから川の近くには多くの人が暮らし、さまざまな文化を育んだ。こうした文明や文化の育みも、広い流域をもつ川の役割といえる。(※18)

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流域面積が広い川が直面する課題

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流域面積が広い川には、いくつかの課題もある。どのような課題があるのか説明する。

洪水リスク

流域面積が広い川は、多くの支流や降水を集めるため、雨季や豪雨といった大量の雨が降る際には洪水が発生しやすくなる。

洪水の規模は多くの場合、最大流量によって決まるといわれている。およその最大流量は、降雨強度、流域面積および流出率をかけ合わせた値で求められる。流域面積が大きければ、洪水リスクが高まるといえる。(※19)

水質汚染

流域が広い川における水質汚染も問題となっている。流域面積が広い川は、何カ国にもまたがることが多い。複数の都市や農村を通過するため、工業排水や農業用化学物質、生活排水などが流入しやすい。そのため、水質が悪化する恐れがある。(※20)

気候変動の影響

気候変動により、流域面積の広い地域にさまざまな影響を及ぼす。気候変動によって気温上昇や降雨パターンの変化が起これば、氷河の融解や海面上昇を促進し、河川の増水や洪水リスクを高める。また、川の流量が変化する恐れがある。(※21)

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流域面積の広い川は、人間にも動植物にも重要な役割をもつ

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流域面積の広い川には、生態系を支えることや人々の生活への貢献といった役割がある。それと同時に、洪水リスクや水質汚染、気候変動による悪影響といった課題も持ち合わせている。川は大切な水資源であり、人間にとっても動植物にとっても重要な場所だ。美しい川を守るために、気候変動対策や河川環境の保全などに取り組もう。

※掲載している情報は、2024年10月30日時点のものです。

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