一極集中とは? 東京の現状と要因、メリット・デメリットを解説

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東京一極集中が問題となっている。この記事では一極集中が起きる理由と、メリット・デメリットを解説する。また、東京一極集中を解決するための取り組みも紹介しよう。

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2024.09.19
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一極集中とは

tokyo

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一極集中とは、特定の地域に人口や産業、経済、政治、文化といった機能が過度に集中していることを指す。日本では、東京や首都圏に一極集中が起きており問題となっている。

日本の「東京一極集中」は世界でもトップクラス

日本では東京や首都圏への一極集中が顕著だ。

まずは人口の推移。東京圏の4都県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の人口推移は、1950年に人口1,300万人程度だったものが、2005年には人口約3,400万人と大幅に増加しており、2019年には約3,700万人となった。この都市圏人口は、世界一の多さだ。(※1、※2)

都市圏の経済規模は、総生産と3年間収益10億ドル以上の大企業の数で把握できる。2016年の東京都市圏の総生産は1兆5,359億ドル、大企業数は613社であった。こちらも世界トップクラスの数字となっており、世界有数の都市、アメリカのニューヨーク(総生産1兆3342億ドル、大企業数217社)よりも上だ。上記のデータから、東京の一極集中が際立っていることがわかる。(※3)

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日本の一極集中都市である東京の現状はどうなっているのか、また、将来的にどうなるのか解説する。

東京の現状

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の2018年の人口は約3,658万人であり、一貫して増加傾向にある。東京への転入が多い都市には、札幌市や仙台市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市など政令指定都市が多いのが特徴だ。また、男性よりも女性のほうが多い。転入理由は、進学や就職が多くなっている。(※4)

経済においても、日本銀行、東京証券取引所、金融機関や多くの大企業の本社が東京に集中しており、国内総生産(GDP)の1位も東京都だ。経済活動が活発な地域は人口が多く、これも一極集中の要因といえる。(※5)

今後の予測

将来的に、東京圏の人口も減少することが予想される。そうなると東京流入の敷居が低くなるため、一極集中を促進しかねない。また東京圏の高齢人口(65歳以上)は、2045年までに全国と比較して増加することが見込まれている。このことから、高齢者をケアする若者世代が東京に流入する可能性がある。さらには、東京生まれの東京在住者が増加する見込みだ。こうしたことから、さらなる東京一極集中が加速する可能性がある。(※6)

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なぜ東京で一極集中が起きるのか

東京の町並み

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なぜ東京で一極集中が起きるのか。その背景や要因について解説する。

歴史的な背景

日本の中心が東京になったのは、江戸時代に、徳川幕府が現在の東京である江戸を政治の中心地と定めたことが発端だ。明治時代になると首都が京都から東京に移され、政治、経済、文化の中心が東京に集まった。こうした歴史的背景が積み重なり、現在の首都・東京への一極集中が進んでいく。

経済的な要因

経済的な要因は、東京に日本経済を担う大企業の本社や金融機関が集中していることだ。東京に大企業の本社が集まる理由として、アクセスのよさ、ビジネスチャンスの多さ、取引先や関連企業の存在などが挙げられる。こうした経済活動が東京に集中していることにより、さらに企業や人材が東京に集まり一極集中を加速させている。

社会的な要因

社会的な要因には、進学や就職がある。

東京には大学や専門学校などの学校がたくさんあり、日本を代表する大学や研究機関が多く存在する。これは学べる学問の選択肢が多いことを意味し、若者が教育を受けるために東京に移住するケースが多い。卒業後も東京での就職機会が豊富なため、そのまま東京に定住する傾向がある。

また東京には大企業や金融機関が集まっており、多様な職業や高い賃金を得られる機会が豊富だ。そのため人々は、よりよい仕事を求めて東京に移住する。

さらには、情報や文化の中心となっている東京への魅力、憧れや、交通や日常生活の利便性の高さに惹かれ、若者が東京に流入していることも要因のひとつとなっている。

こうした社会的要因が互いに作用している。

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東京一極集中のデメリット

満員電車

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東京一極集中によるデメリットを見ていこう。

生活環境の悪化による住みづらさ

交通機関の過度な混雑

東京は交通網が発達しているが、多くの人が利用する電車や地下鉄は、通勤ラッシュ時に混雑するのがデメリットだ。交通機関の過度な混雑は通勤者にとってストレスとなり、労働生産性にも影響が出る可能性がある。

緑地や公園の不足

人口が多いことにより、東京は住宅や多くの建物で埋め尽くされている。緑地の確保が難しいこと、さらに限られた緑地や公園でさえも混雑してしまう可能性もある。こうした場所が不足し、思うように利用できないのもデメリットといえる。(※3)

交通渋滞や大気汚染

交通渋滞や大気汚染も問題だ。狭い場所に多くの人が住めば、交通量が増えて交通渋滞が起こってしまう。これは、ストレスの要因となる。また排気ガスを排出する自動車も多く、たくさんのごみを焼却しなければならないことから大気汚染の懸念もある。(※3)

地価や家賃、物価の上昇

東京の人口密度が高まることで、住宅価格や賃貸料金、土地価格の上昇が考えられる。住まいに関する価格の上昇は、物価上昇にもつながる。そうすると、若者や低所得層は住まいの確保が難しくなるうえ、生活の質が低下してしまう。

インフラや行政に限界が生じる

ごみの多さと処理問題

人が暮らせば、当然ごみも出る。人口が多いほど、ごみの量も増える。ごみの量が増えれば、処理の問題につながり、いかに解決するかを考えなければならない。(※3)

災害時の被害増大

災害が発生した場合、被害が大きくなる可能性があるのもデメリットだ。災害が発生すれば、人口や資産の集中によるリスクや首都中枢機能への影響リスク、地域・地盤の脆弱性によるリスクが懸念される。(※8)

労働需要が多いことによる人手不足

東京圏では、労働需要が多く、業種によって慢性的な人手不足となっているのもデメリットだ。また、それに伴い労働時間が長い傾向にもある。こうした働き方は、過剰労働やストレスの増加を招き、健康や生活の質に悪影響を与えるだろう。(※9)

地方都市への負の影響

地方の過疎化と経済衰退

東京一極集中が進めば、地方では人口が減少し、若者や労働力の不足や消費活動の低迷が加速する。これにより地方の産業が衰退し、経済的な成長が阻害されることになる。(※3)

国土の有効活用の阻害

東京一極集中により、地方にある国土が有効活用できず放置されるのもデメリットだ。地方で活用されるべき土地が未開発のままだと、日本全体としての土地の利用が非効率となる。

空き家や耕作放棄地の発生

地方から東京に移住する人が増えれば、空き家問題がますます進むことになる。また農業従事者も少なくなることが考えられ、これまで維持されていた田畑が放置されて耕作放棄地となってしまうのもデメリットといえる。(※7)

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東京一極集中のメリット

東京一極集中にはメリットもある。そのひとつが、スケールメリットのはたらきだ。経済活動の集積により企業間の取引や連携が容易になり、取引コストの削減や情報の迅速な流通ができる。また国内外から多くの優秀な人材が東京に集まることで、企業は高いスキルを持つ人材を確保しやすくなる。さらにはインフラやサービスが充実していることで、生活の利便性が高まり企業や住民にとって魅力的な環境が提供される。

また東京一極集中により、東京に富が集中する一方で、その富が直接的または間接的に地方へ配分される仕組みも存在している。たとえば地方交付税交付金、東京に本社をかまえる企業の地方進出・工場立地、観光や地方特産品の東京へ流通などだ。

このように東京一極集中にはメリットもあり、それが日本全体の発展に貢献している。

東京一極集中問題を解決するための取り組み

crowded train

Photo by Jaison Lin on Unsplash

東京一極集中問題を解決するために、国や自治体、企業が行っている取り組みを紹介する。

国の取り組み

国が行っている取り組みには、地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)、地方拠点強化税制、地方大学・産業創生法などがある。

地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)は、東京から地方へ移住し、起業・就業する人への支援金を支給する取り組みを行う地方公共団体を支援するものだ。

地方拠点強化税制には、移転型と拡充型がある。移転型は東京23区からの企業の本社機能の移転を支援するもの、拡充型は地方にある企業の本社機能の強化を支援するものである。支援の内容は、オフィス減税(建物等の取得価額に対する特別償却または税額控除)、雇用促進税制(常時雇用従業員の増加数に応じた税額控除)といった税制優遇措置だ。

地方大学・産業創生法は、活力が低下している地域に対して産官学連携により地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行う優れた取り組みを交付金で支援し、地域における若者の修学・就業を促進するものだ。また特定地域内(東京23区内)の大学の学部等の定員増加を原則10年間抑制する。さらに地域における若者の雇用機会を、地元中小企業でのインターンシップやプロフェッショナル人材、奨学金返還支援制度などの施策によって創出する取り組みもある。(※6)

自治体の取り組み

自治体では地方での人口増加や流入促進に向け、さまざまな取り組みをおこなっている。取り組みの一例を挙げると、子育て世帯が地方で暮らせる環境の整備、暮らしや仕事、住まいなどに対する専任相談員によるサポート、就農支援制度などがある。(※10)

企業の取り組み

企業における東京一極集中の解決のための取り組みのひとつに、地方拠点の設立がある。具体的には、東京にある本社を地方へ移す、事業拠点を地方に分散させる、サテライトオフィスの導入などだ。地方拠点の設立により地域の雇用が創出され、地元経済の活性化に寄与する。

また地方や東京郊外でのリモートワークの推進も、東京一極集中の解決につながる。(※6)

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日本全体の持続可能な発展に影響する「東京一極集中」

tokyo city

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日本の人口、政治、経済、文化が東京に過度に集中する東京一極集中。これにより、生活環境の悪化や地方都市への負の影響などが出る可能性があり、日本全体の持続可能な発展にとって大きな問題となっている。東京一極集中の解決に向けて、自分自身でできることはないか考えていきたい。

※掲載している情報は、2024年9月19日時点のものです。

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