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国の経済活動状況を示す国内総生産ことGDP。日本では都道府県別GDPも定期的に調査・発表している。都道府県別GDPの推移を見ることにより、経済成長率などの地域ごとの違いが顕著になる。都道府県別GDPランキング紹介のほか、日本の今後の経済成長についても解説していく。
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GDPは国内総生産(Gross Domestic Product)の略にあたる。国内で一定期間内に生産されたものやサービスの付加価値の総額であり、国の経済活動状況を示す指針になる。
GDPは民間消費・投資(民需)、政府支出(公需)、輸出、輸入の項目をもちいて算出される。具体的には「民需+公需+(輸出-輸入)=GDP」である。シンプルに記載するなら「一定期間内に国が儲けた金額」とも言える。なお対象は国内に限定される。日本企業であっても海外で生産した付加価値はGDPにふくまれない。
毎年、各国のGDPをランキング化したデータが発表される。国際的な経済活動状況を把握する資料として価値があり、株式市場の動向を左右することも多い。前年度と比較してGDPの伸び率がよければ、投資家は経済成長があると前向きに受け止める。逆に伸び率が悪ければ、景気後退の可能性を考慮した投資計画を立てる。
GDPは「名目GDP」と「実質GDP」に分類できる。取り扱う基本データは同一だが、GDP算出基準に貨幣価値を組み込む・組み込まないの違いがある。貨幣価値はつねに変動する。外国為替市場の円安/ドル高がわかりやすい例だ。世界情勢や経済活動状況によって各国の貨幣価値は変わり、民需や政府支出、つまりGDPに影響をおよぼす。
名目GDPは貨幣価値を考慮せず、基本データのまま算出されたGDPだ。いっぽう、実質GDPは対象期間中の貨幣価値を考慮して算出される。名目GDPからわかるのは「生産されたもの・サービスの市場価格」だ。対象期間中の物価変動が把握できる。そして実質GDPは名目GDPから「物価の変動で生まれた影響」が反映される。
たとえば、とあるアイスクリームを前年度は1個100円で1万個売ったと仮定する。売り上げは100万円だ。ところが今年度は1個120円に値上げされた。物価が変動したということである。そのアイスクリームは人気があったのか、前年よりも多い2万個が売れた。売り上げは240万円で、前年度と比較すると140万円の増収、成長率は2.4倍になる。
しかしその140万円は物価変動の影響が考慮されていない。単純に「この価格で売れた結果」だ。これが名目GDPにあたる。
物価変動の20円分を差し引いて考えると、今年度は100円×2万個=200万円になる。増収は100万円だ。成長率でいえば2倍である。これが実質GDPにあたり、名目GDPよりもリアルな経済状況がわかるとして重視されている。経済成長率を測るときには実質GDPをもちいることが一般的だ。
GDPランキングでは名目GDP、実質GDPがともに重視される。グローバル基準として活用されることが多いIMF(国際通貨基金)発表のGDPランキングは名目GDPが使われているが、同じくIMFの世界経済見通しの際には実質GDPが使われている。
なお世界経済見通しとは、世界経済についての中長期的な予測データをさす。IMFをはじめ、国連やOECD(経済協力開発機構)、ほかにも民間企業や経済研究者などが定期的に発表する。GDPの算出に深くかかわるデータだ。
GDPの調査・発表時期は各国で異なる。日本では内閣府が調査をおこない、年に3回、四半期ごとに一次速報・二次速報として発表している。(※1)
GDPの調査エレメントはやはり国によって異なっている。しかし国家によってはアンバラスな結果をまねきかねないため、国連統計委員会のガイドラインを国際基準として選定される。
国際基準は必要に応じて変更される項目だ。最新の国際基準は2009年に採択された「2008SNA(2008年版国民勘定体系)」が該当し、日本では2016年から対応している。(※2)
この国際ガイドラインは重要だ。近年では地下経済と呼ばれる反社会的・非合法なエレメントをGDPにふくめようとする国家もあり、調査の健全性に不安が残りかねない。(※3)
また、国家によっては同じエレメントでも合法・非合法の線引きが異なるケースが考えられる。より正確で健全な指標算出のため、国際基準の遵守と国家間調整が必要になるだろう。
国家の指標として算出されるGDPだが、日本では都道府県別のGDP(県内総生産)も調査・発表している。本記事では現時点で最新データにあたる2019年(令和元年)の調査結果をもちい、各都道府県のGDPランキングを作成した。
内閣府の該当ページには複数のデータ項目があるが、ここでは「県内総生産(生産側、名目)※支出側も同じ」を参照する。(※4)
(単位:100万円)
順位 | 都道府県 | GDP |
1位 | 東京都 | 115,682,412 |
2位 | 大阪府 | 41,188,364 |
3位 | 愛知県 | 40,910,717 |
4位 | 神奈川県 | 35,205,391 |
5位 | 埼玉県 | 23,642,796 |
6位 | 兵庫県 | 22,195,171 |
7位 | 千葉県 | 21,279,583 |
8位 | 北海道 | 20,464,601 |
9位 | 福岡県 | 19,942,412 |
10位 | 静岡県 | 17,866,284 |
11位 | 茨城県 | 14,092,237 |
12位 | 広島県 | 11,969,086 |
13位 | 京都府 | 10,766,100 |
14位 | 宮城県 | 9,829,354 |
15位 | 群馬県 | 9,308,340 |
16位 | 栃木県 | 9,261,942 |
17位 | 新潟県 | 9,185,179 |
18位 | 長野県 | 8,454,339 |
19位 | 三重県 | 8,086,393 |
20位 | 福島県 | 7,987,042 |
21位 | 岐阜県 | 7,936,830 |
22位 | 岡山県 | 7,842,490 |
23位 | 滋賀県 | 6,922,569 |
24位 | 熊本県 | 6,363,425 |
25位 | 山口県 | 6,350,497 |
26位 | 鹿児島県 | 5,772,861 |
27位 | 愛媛県 | 5,148,271 |
28位 | 富山県 | 4,910,232 |
29位 | 岩手県 | 4,847,594 |
30位 | 長崎県 | 4,789,758 |
31位 | 石川県 | 4,779,462 |
32位 | 沖縄県 | 4,633,329 |
33位 | 青森県 | 4,533,207 |
34位 | 大分県 | 4,525,054 |
35位 | 山形県 | 4,336,714 |
36位 | 香川県 | 4,008,678 |
37位 | 奈良県 | 3,925,192 |
38位 | 和歌山県 | 3,744,551 |
39位 | 宮崎県 | 3,703,950 |
40位 | 福井県 | 3,694,563 |
41位 | 秋田県 | 3,624,750 |
42位 | 山梨県 | 3,566,046 |
43位 | 徳島県 | 3,222,366 |
44位 | 佐賀県 | 3,219,595 |
45位 | 島根県 | 2,689,278 |
46位 | 高知県 | 2,464,567 |
47位 | 鳥取県 | 1,893,375 |
都道府県別GDPは地域ごとの経済成長率があきらかになる。各地域の経済活動の実態を把握し、行政施策に反映することも可能だ。
都道府県別GDP算出の基準は国家のGDPと同様である。一定期間内に生産されたもの・サービスの付加価値だ。国家のGDPの場合は「国の儲け」だが、都道府県別GDPは「都道府県ごとの儲け」である。
GDP算出のエレメントである民需を考慮すると、人口が多い地域はランキングで上位にあり、経済活動も活発であることが推測できる。トップ5の東京都・大阪府・愛知県・神奈川県・埼玉県は人口ランキングでも上位の常連だ。
対して、ランキング下位にある県は人口ランキングにおいてもほぼ同様の結果になる(※5)。人口とGDPは密接に関係していると言えるだろう。
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