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国の経済活動状況を示す国内総生産ことGDP。日本では都道府県別GDPも定期的に調査・発表している。都道府県別GDPの推移を見ることにより、経済成長率などの地域ごとの違いが顕著になる。都道府県別GDPランキング紹介のほか、日本の今後の経済成長についても解説していく。
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2022年、IMF調査・発表のGDPランキングで日本は3位をマークした。1位のアメリカ、2位の中国に次ぐ順位である。
2019年終盤からはじまった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界経済に大きな打撃を与えている。日本も例外ではない。
2019年の影響を受け、2020年の経済成長率は-4.5%まで落ち込んだ。戦後最低の経済成長率をマークしたのである。それまでは世界金融危機に直面した2008年の-3.6%が戦後最低とされていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威はそれを凌駕した。
しかし2021年には徐々に回復傾向に入り、前述の成長率を達成。2020年の反動と見られる。2022年に入り、政府の全国旅行支援事業がはじまったことを受けて経済効果が期待できるようになった。同事業は2023年も継続が決まっており、インバウンドの需要を伸ばす可能性が高い。
とはいえ、GDPの成長率で見ると大幅な成長は期待できない。2022年10月に発表されたIMFによる世界経済見通しでは、2022年の日本の経済成長率は1.7%と予想されている(※6)。G7のなかではドイツに次ぐワースト3位である。GDPランキングからは想像しにくい結果だろう。
前述の都道府県別GDPでは、経済活動が活発な地域は人口が多いという関係が推測できた。もともと経済成長は人口増加にともなうという理論がある。技術の進歩・資本力の獲得・労働人口の増加が重要エレメントだ。(※7)
その理論に基づくと、人口減少や少子高齢化が深刻な社会問題になっている日本は「労働人口の増加」エレメントが満たしにくくなり、経済成長が難しい状況だと言える。出生率減少がいちじるしい昨今、将来的な労働人口の確保が困難になることは想像にかたくない。
また、技術の進歩も人口減少で停滞し、結果的に経済成長率に悪影響が出ると言われている。日本は地域による人口差を解消し、国全体の人口減少問題に積極的な取り組みをおこなうべきフェーズに入っているだろう。
内閣府は現状のままでは2040年以降も経済が停滞するという予想を立てている。(※8)
日本の将来に豊かさをもたらすためには、人口減少・少子高齢化問題への取り組みのほか、イノベーションによって生産性の向上をめざすべきだ。
イノベーションが注目されているのは人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット技術などの先進的な分野である。実際、日本はもともと技術開発にすぐれており、今後も大いに期待できる。
しかしそのためにはイノベーションを促進する環境の構築が必要だ。積極的な研究開発・先進技術の導入はもちろん、開発能力や先進技術をあつかうスキルを持った人材育成が必須である。企業の6割は人材育成のための教育訓練を実施していないと推測されており、対策が急務だと言える。
COVID-19や働き方改革により、テレワークが普及した。地方に住む人でも、土地を離れることなく経済活動が活発な地域の企業で働ける時代がおとずれている。
企業は地方のすぐれた人材を発見できるとともに、地方は人口の流出を防ぎやすくなった。国や自治体の施策しだいでは都道府県別GDPに反映できる可能性もある。
都道府県別GDPは国のGDPにも大いに関係する。今後の経済成長と各種問題解消のため、あらためて注目されるべき一面ではないだろうか。
日本はGDPランキングこそ高いものの、成長率で言えば楽観視できない状況が何年も続いている。しかしその原因となる問題と向き合い、経済分野でのイノベーションを試みることで打開できる可能性があると言えそうだ。
そのためには国のGDPの基礎とも言える都道府県別GDPをより強く意識し、効果的な施策を積極的におこなう必要があるだろう。
※1 公表予定|内閣府
※2 2008SNA改定に向けた状況(2ページ目)|総務省
※3 地下経済とGDP及び景気の相関|立命館大学
※4 県民経済計算(平成23年度 - 令和元年度)(2008SNA、平成27年基準計数)<47都道府県、4政令指定都市分>|内閣府
※5 諸率の算出に用いた人口(1ページ目)|厚生労働省
※6 生活費危機への対処|国際通貨基金
※7 経済成長と人口動態(3ページ目)|財務総合政策研究所
※8 第2章 人口・経済・地域社会の将来像|内閣府
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