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あらゆる家電を一括管理する「HEMS」というシステムの導入が進められている。離れた場所からもスマホやタブレットを使って家庭内の家電を操作可能だ。また省エネを実現し、私たちの生活を豊かにする。この記事では、HEMSの機能や役割、導入方法について詳しく解説する。
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HEMS(Home Energy Management System)は、家庭内のエネルギー管理を行うための機器だ。HEMSの特徴は、家庭の電力消費を「見える化」し、エネルギーの使用状況をリアルタイムで把握できることだ。さらに、スマホやタブレットを使って離れた場所から家電を操作することもできる。
HEMSは、各家庭内に設置された家電をネットワークでつなぎ、一元管理するシステムだ。HEMSにエアコンや冷蔵庫などのあらゆる家電製品をネットワークで接続し、エネルギーの消費量をリアルタイムで計測・分析する。
アプリやタブレットから家庭内でどの機器がどれだけのエネルギーを消費しているかが一目でわかり、無駄を削減するための具体的な対策を立てることに役立つ。
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HEMSは、太陽光発電や家庭用蓄電池と並び、日本政府が推進するエネルギー政策の一環として位置づけられている。(※1)各家庭への導入を推進することで、国全体の省エネを進めるための施策だ。ここでは、政府の掲げる設置目標と補助金制度について詳しく説明する。
政府は、2030年までに全世帯へHEMSを普及させるという目標を掲げている。(※2)家庭でのエネルギー収支ゼロを目指す、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の実現のために、HEMSの導入は不可欠な要素である。
過去には、HEMSを導入する家庭に対して国から補助金が支給されていた。しかしこの補助金制度は、2013年に終了している。補助金は東日本大震災後の復興予算の一環として導入され、一部の家庭に対して支給された。その後、経済状況の改善と復興予算対象の再仕分けにより補助金制度は終了した。
現在HEMSの導入に対する直接的な補助金は存在しないが、省エネ住宅向けの補助金が適用される場合もある。また政府の事業は継続中であるため、今後再開する可能性もある。
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HEMS導入の目的は家庭内のエネルギー管理を効率化することだが、同時に私たちの生活の質を向上させる。ここでは、具体的なメリットをいくつか紹介する。
HEMSは、家庭内の電力使用状況を「見える化」できる。各部屋や家電ごとの消費電力をリアルタイムで把握できるため、無駄なエネルギー消費を減らすことが可能だ。
HEMSで各家電の消費電力が「見える化」されることで、節電対策が打ちやすくなる。仮にエアコンの消費電力が高ければ、温度を適切に調整するといった対策が考えられるだろう。毎月の電気代の節約にもつながるため、家庭の負担も削減できる。
HEMSはIoT技術で各家電とつながっている。たとえば、エアコンや照明を一括で操作することも可能だ。遠隔操作で、外出先からでもスマートフォンを使って家電のON/OFFを調整できる。帰宅10分まえにエアコンを作動させ、家に着いたときにはすでに快適な温度にしておくなど、うまく使うことで生活の質が向上するはずだ。
HEMSでは、あらかじめ設定したルールに基づいて自動で各家電の制御が可能だ。設定した温度に達すると自動でエアコンを停止させる、夜間に電気料金が安くなるプランを利用している家庭で夜に自動で洗濯機を稼働させるなど、さまざまな使い方が考えられる。わざわざ手動でコントロールしなくても、自動的に省エネ化を実現できる。
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HEMSを導入する際には、必要な設備や手順、そしてコストに関して理解しておこう。以下では、具体的な導入方法を解説する。
HEMSの導入には、機器本体のほかに対応する電気機器や家電が必要になる。エネルギーを計測するユニットや、それを管理するタブレットやアプリも必要だ。音声で管理したいなら、スマートスピーカーも必要だろう。もちろん、家庭内のネットワーク環境も整える必要がある。必要なものの例を挙げる。
・HEMS本体
・対応する家電
・計測ユニット
・スマホやタブレット
・スマートスピーカー(音声操作が必要であれば)
HEMSを提供しているメーカーには、パナソニック、シャープ、東芝などがある。なかでもパナソニックは国内市場でのシェアが高い。(※3)
パナソニックの「スマートHEMS®︎(※4)」は電力や蓄電池、太陽光発電システムと連携して家庭内のエネルギー管理を最適化できるのが特徴だ。
HEMSの導入費用の内訳は、本体費用、設置工事費、ネットワーク機器の導入費用などである。全体のコストは、導入する対応家電の数や目的によっても異なるが、家庭全体の管理を行う場合はおおよそ数十万円程度が目安となる。決して安くはないが、長期的に見ると節電効果によってコストを回収することが期待できる。
機器の持つ機能によって詳細は異なるが、ここでは基本的なHEMS導入の手順を紹介する。
最初に、家庭の分電盤に家全体の電力使用状況を把握するためのHEMS対応電力測定ユニットを設置する。
次に、HEMSから各機器の操作と計測を行うために、家電を無線ネットワークに接続する。
アプリを利用して、家庭内のエネルギー消費状況をリアルタイムで確認できる。また、節電ルールの設定や各機器のコントロールもアプリ上で可能だ。
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HEMSの導入にはいくつかの注意点がある。とくに以下の点に留意したい。
HEMSを導入する際は、規格に対応した家電や機器を選択する。経済産業省が推奨する「ECHONET Lite」規格に対応した機器でないと、HEMSとの連携ができない場合がある。(※5)
対応機器は今後増える見込みだが、現時点では選択肢が限られていることを把握し、対応するか確認して購入したい。
HEMSの導入には初期費用がかかり、工事費用やHEMS本体、対応する家電購入費が負担となる。導入後の節約効果を考慮しても、コストメリットがすぐに得られるわけではないため、長期的な視点で導入を検討することが必要だ。
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HEMSの使用率は、2021年度時点で全国平均2.5%に留まっている。(※1)導入費や対応機器の少なさがネックとなり、まだまだ普及していないのが現実だ。一方で2011~2015年に建てられた住宅では6.9%、2016年以降では8.0%と、新しい住宅ほどHEMSの導入が進んでいるデータもある。(※1)
今後新しく家を建てる人が増えることで、HEMSの普及も進んでいくだろう。省エネを実現しながら私たちの生活を豊かなものにする方法の一つとして導入を検討したい。
※1 家庭部門のCO2排出実態統計調査|環境省
※2 グリーン政策大綱(骨子)|内閣官房
※3 ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)|株式会社SVPジャパン
※4 スマートHEMSサービス|パナソニック株式会社
※5HEMSの有用性|内閣府
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