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グリーンファイナンスとは、金融の力で持続可能な社会を目指す試みである。企業や自治体では、グリーンプロジェクトの資金調達方法として活用している。この記事では、グリーンファイナンスの目的やメリットについて詳しく解説し、日本の事例についても触れていく。
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グリーンファイナンスとは、環境に貢献するプロジェクトを対象とした資金調達方法だ。持続可能な発展を目指す取り組みの一環として、再生可能エネルギーや省エネ技術、環境保護活動を支援する資金を提供することを目的としている。環境課題への投資によって、加速度的に環境課題の解決をはかり、同時に経済的な発展も目指す試みである。
グリーンファイナンスの対象となるプロジェクトは幅広い。例えば風力発電や太陽光発電、バイオマス発電といった再生可能エネルギーの開発が挙げられる。(※1)
他にも省エネ性能の高い住宅の建設や、廃棄物処理工場でのレアメタル回収施設の新設もグリーンプロジェクトに含まれる。さらに、電気自動車や水素自動車といった低公害車の普及を促進するための資金調達もその一環である。
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グリーンファイナンスには、主にグリーンボンドとグリーンローンの2種類が存在する。
グリーンボンドは、資金を調達したい企業や地方自治体が発行する債券であり、環境関連のグリーンプロジェクトに限定して資金を活用する。
グリーンローンは、資金を融資したい金融機関が提供するもので、貸し手側がグリーンプロジェクトに関連する用途に対して資金を供給する。
ここでは、それぞれの特徴を解説する。
グリーンボンドは、企業や地方自治体などが国内外のグリーンプロジェクトに必要な資金を調達するために発行する債券である。この債権の特徴は、調達資金がグリーンプロジェクトに限定されることや、資金の使途が追跡管理されて透明性が確保されることが挙げられる。
グリーンボンドの最大の特徴は、調達した資金が環境に関連するプロジェクトに限定される点である。そのため、投資した資金が確実に環境保護に使われることが保証されている。また国や自治体などの発行体は資金の使途を明確に報告し、投資家に対する透明性を維持する必要がある。
グリーンボンドは、企業や地方自治体・金融機関など、さまざまな主体が発行する債権だ。企業は自社の環境プロジェクトの資金調達、地方自治体は地域の環境改善プロジェクトの支援、金融機関は顧客への融資を通じて行われるプロジェクトをサポートするためにグリーンポンドの発行体となる。
グリーンボンドの投資家は、ESG投資を重視する年金基金や保険会社などの機関投資家、ESG投資を専門とする運用機関、資金の使途に関心を持つ個人投資家などである。彼らは環境問題の解決への関心が高く、発行体がどのように環境課題に向き合うのか注視し積極的にグリーンボンドに投資している。
グリーンボンドの発行実績は、国内外で急速に増加している。日本国内でも、あらゆるグリーンプロジェクトに関する債権が発行されており、2020年には発行総額が1兆円を超え、現在も増加傾向にある。(※2)
世界的にもグリーンボンドの発行額は年々増加しており、環境への意識の高まりに伴い、その市場は拡大し続けている。
グリーンローンは、企業や地方自治体などが、国内外のグリーンプロジェクトに必要な資金を調達するために利用する融資である。持続可能な社会の実現を目指し、環境に配慮した事業を支援するための重要な手段として需要が高まっている。ここではグリーンローンの特徴、発行主体、投資家、そして種類について詳しく解説する。
グリーンローンも、調達した資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されることが特徴だ。調達資金は厳密に追跡管理され、透明性が確保されている。融資後には定期的なレポーティングが行われ、資金の使用状況やグリーンプロジェクトの進捗が公開される。
グリーンローンを借りるのは、自らが実施するグリーンプロジェクトの資金を調達する一般事業者が多い。専門的にグリーンプロジェクトのみを行う特別目的会社(SPC)などが多数だ。またグリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関や、グリーンプロジェクトに関する資金を調達する地方自治体も、主な借り手として挙げられる。
グリーンローンを提供するのは、ESG融資を積極的に行う金融機関である。これらの金融機関は、グリーンプロジェクトへの資金供給を通じて社会的支持を得ることを目指している。グリーンローンは、貸し手にとっても持続可能な社会への貢献と安定した投資利益の両立を可能にする手段でもある。
国内では2017年に初めてグリーンローンが組成され、再生可能エネルギーやグリーンビルディングへの資金使途が中心となっている。日本では再生可能エネルギーの推進が注目されており、グリーンローンの需要が高まっている。とくに2021年から2022年にかけて大きく需要を伸ばしており、2023年には発行総額が9000億円を超えている。(※3)
海外では2014年に初めてグリーンローンが組成され、その後、欧州やアジア太平洋地域を中心に広がっている。
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環境問題が深刻化するなか、金融の力を活用して持続可能な社会を目指す動きが加速している。その背景には、気候変動対策の急務、持続可能な開発目標(SDGs)の推進によって企業の社会的責任が問われていることがある。それぞれ詳しく解説する。
地球温暖化の進行により、各地域で異常気象や自然災害が頻発している。このような気候変動は、社会や経済に甚大な影響を及ぼすため、各国が対策を講じることが急務となっている。
気候変動の原因となっている温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの普及がすすめられており、これらを実現するための資金調達手段としてグリーンファイナンスが注目されている。
持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までに達成すべき17の国際的な目標を掲げている。(※4)
これにともない、企業には環境・社会・ガバナンスに配慮した経営責任が求められるようになった。
そのため、持続可能な経営を実現する手段の一つとして、グリーンファイナンスを活用して環境への配慮を示すことが求められている。
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企業にとっても、グリーンファイナンスを活用することには多くのメリットがある。
脱炭素経営は大企業のみならず、中小企業にも求められる課題である。というのも、大企業はサプライヤーに対しても脱炭素の取り組みを促しており、中小企業も積極的に取り組む必要が生じている。
しかし中小企業の多くはリソースが不足していることも多く、とくに資金面での課題を抱えており、すぐにグリーンプロジェクトに着手できないことが課題であった。グリーンファイナンスを活用することで、中小企業も資金調達を行え、脱炭素への取り組みが促進される。
現在、企業はサステナビリティ経営に取り組む社会的な責任を求められている。グリーンファイナンスを活用することで、企業は大胆にサステナビリティ目標を設定することが可能となる。結果としてブランドイメージが向上し、企業価値が向上すると考えられている。
グリーンファイナンスを通じて、企業は投資家や金融機関など、あらゆるステークホルダーに対して環境への取り組みをアピールできる。とくに投資家からの信頼を得ることが可能となるため、新たな貸し手との関係構築の機会も増えるだろう。環境に配慮した企業としての認識が高まることで、さらなる融資のチャンスが生まれる。
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日本においても、グリーンファイナンスを活用した取り組みが進んでいる。ここでは、代表的な事例を紹介する。(※5)(※6)
日本郵船は、アンモニア燃料を輸送するための専用船、アンモニア輸送船の研究開発および建造のための資金調達として、100億円の債権を発行。
北海道電力では、水力・太陽光の再生可能エネルギーの開発、建設、運営、改修に対する新規投資およびリファイナンスに充当するための社債「第3回北海道電力グリーンボンド」を発行。募集総額は50億円だ。
石川県では、環境省の21世紀環境共生型住宅(エコハウス)のモデル事業として建築された「いしかわエコハウス」の省エネ化、その他省エネ住宅の普及、県有施設への太陽光発電設備の導入、北陸新幹線の整備などに充当する公募公債を発行。多くの投資家が賛同愛、即日完売となった。
調達資金の用途は、洋上風力発電のための自航式ケーブル敷設船の建造。同社は、洋上風力の事業領域における海底ケーブルの敷設事業に参入。今後、より沖合いへと風車の建設が進んでいくことが見込まれるなか、建設コストを低減するために大型のケーブル敷設船が必要となる。自航式ケーブル敷設船の建造および活用により、洋上風力発電の早期開始を実現し、地球温暖化防止に貢献していくことを目指す。組成金額は200億円。
千葉県は、河川・海岸・砂防整備事業等の適格プロジェクト資金として、千葉銀行から50億円のグリーンローンの実行を受けた。
JREF別府南立石地熱発電合同会社は、地熱発電所の建設資金として商工中金から4億円の融資を受けた。
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グリーンファイナンスは、金融の力によって環境保護と経済成長の両立を目指す試みだ。企業はグリーンファイナンスを活用することで、持続可能な経営を推進し、企業価値の向上や脱炭素経営を実現できる。人々の環境意識が高まるなか、これからの未来に向け、グリーンファイナンスはますます重要な役割を果たしていくだろう。
※1 グリーンボンド発行モデルケース|環境省
※2 国内におけるグリーンボンドの発行・投資への期待|環境省
※3 国内におけるグリーンローン組成・融資への期待|環境省
※4 SDGsとは?|外務省
※5 国内における主なグリーンボンド発行事例|環境省
※6 国内におけるグリーンローン組成リスト|環境省
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