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企業や家庭において、LED照明の導入が進んでいる。環境負荷軽減の観点から、LED照明の導入促進に向けて国や自治体は補助金制度を設けている。この記事では、LED照明とはそもそも何か、導入するメリット、事業者や個人に向けた国、自治体の補助金を紹介する。
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まず、LED照明とはどのような照明か。LEDは「光る半導体」を意味する「発光ダイオード:Light Emitting Diode」の略である。この光る半導体を利用した照明がLED照明だ。
LEDが実用化されたのは1950年代以降である。当時は、赤、橙、黄緑などの限られた色しかなく、主にインジケーターなどの表示に使われていた。1993年になると明るく点灯する青色が実用化され、1996年には白色が完成する。これを機に、照明用としてLEDは広まっていった。いまでは家庭や施設、屋外の照明として、LEDの需要が高まっている。(※1)
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LED照明の需要が高まっている理由には、メリットの大きさがある。蛍光灯や白熱電球に比べて優れている主な5つのポイントを紹介しよう。
1.寿命が長い
LED照明の寿命は、平均40,000時間といわれている。これは1日10時間点灯して、約10年使用できる計算だ。交換する頻度も少なく済む。
2.消費電力が少ない
LED照明は、同じ明るさでも消費電力が蛍光灯と比較すると3分の1、白熱電球と比較すると8分の1程度と少ない。(※2)省エネであると同時に、電気代も削減することが可能だ。
3.紫外線や赤外線をほとんど含まない
LED照明は紫外線や赤外線をほとんど含まない。そのため、紫外線による退色などのダメージを軽減できる。
4.環境負荷物質を含まない
LED照明は、水銀や鉛などの環境負荷物質を含まない。
5.光に熱が含まれない
LED自体は熱を発しており、照明器具の本体を通じて外に放出している。しかし、光にはほとんど熱が含まれず、熱くないのが特徴だ。
以上のようなメリットがあるため、国もLED照明の導入を推進している。次に、国の補助金制度の例を取り上げていく。
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LED照明導入で使える国の補助金制度の例を紹介する。次の2つは、事業者などを対象にした補助金制度だ。
「既存建築物省エネ化推進事業」は、省エネやバリアフリーを実現するためにオフィスビルなどを改修する費用の一部を支援する事業だ。要件を満たせば、1件につき最高5,000万円が支給される。毎年募集が行われている。
経済産業省が実施する制度で、生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入に対して、最大10%の税額控除(中小企業者等の場合は最大14%)または50%の特別償却の適用を認めるもの。(※3)
「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」は、工場・事業場において、エネルギー消費効率の高い設備に更新する取り組みを支援する補助金である。ただし、現在新規の公募は行われていない。
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補助金を設けているのは、国だけではない。自治体でも募集を行っている。いずれも、その地域に事業所のある法人などが対象だ。ここでは5つを取り上げる。※情報は2024年8月時点のもの
東京都の「LED照明等節電促進助成金」は、製造業を営む中小企業者などが、LED照明器具、デマンド監視装置などを自社工場に設置する際に費用の一部を助成するものである。申請上限額は1,500万円、下限額は30万円である。
大阪府の「中小事業者の対策計画書に基づく省エネ・再エネ設備の導入支援補助金」は、中小事業者が自律的、計画的に脱炭素経営に転換することを促すための補助金だ。補助の上限は300万円である。
福岡県の「中小企業等省エネ設備導入支援補助金」は、省エネ効果が期待される既存設備を更新する際の費用を補助するものである。補助の上限は100万円だ。
北海道の「省エネルギー設備導入支援事業費補助金」は、「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて、省エネルギー設備を導入する事業に対して補助を行う。補助の上限は500万円だ。
川越市の「エネルギー価格高騰対策LED照明器具導入支援補助金」は、地球温暖化防止のため、LED照明器具を導入する中小企業者等を対象に補助金を交付している。補助の上限額は30万円だ。
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LED照明導入により受けられる補助金には、個人向けのものもある。3つの自治体の取り組みを取り上げる。
東京都の「家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)」は、省エネ性能の高いエアコンやLED照明器具などに買い替えた都民に、東京ゼロエミポイントを付与する事業だ。ポイントは、商品券とLED割引券に交換できる。
横浜市の「エコハマ(横浜市エコ家電応援キャンペーン)」は、節電効果の大きいエコ家電の本体価格20%(1台あたり上限3万円)分のポイントを付与するキャンペーンだ。ポイントは、商品やプリペイドカードに交換できる。
一宮市の「LED照明器具買替促進補助金交付」は、LED照明器具を2台以上購入し、合計が2万円以上の場合に1万円が交付される補助金である。
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事業者がLED照明導入のための補助金を受けるためには、いくつかのステップがある。内容は国や自治体により異なるが、大まかな流れは次の通りだ。
まずは、申請する補助金・助成金制度を選定する。導入時期や受給できるタイミングなどを確認する。
次に、必要な書類を準備する。申請書や省エネ計画書を作成して提出する。
申請後にヒアリングなどの審査を受け、最終的に交付決定通知を受け取る。
LED照明を導入した後に、事業実績などについての報告書を提出する。
報告書を提出した後に、補助金や助成金が交付される。
このように、補助金申請にはいくつかのステップがある。手続きが経営の妨げにならないように、計画的に進めていく必要があるだろう。
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最後に、事業者がLED照明の補助金制度を活用するときの注意点を2つ確認していこう。
補助金を受けるステップで見てきたように、補助金を選定するところから事後に報告するまで、手間や時間がかかる。通常の事業運営との兼ね合いを考えて進める必要があるだろう。
いまは国や自治体がLED照明の導入に力を入れているが、ある程度普及した時点で制度が終了する可能性もある。
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LED照明は、寿命が長く消費電力や環境への負荷が少ないなどのメリットがある。そのため、国や自治体は補助金制度を設けており、事業者や個人にとっては導入しやすい環境だ。
とはいえ申請や審査、導入の事後に提出する報告書の準備など、事業者にとっては必要なステップも多い。LED照明の導入を進めるためには、こうした手続きを計画的に行うことで、補助金を上手に活用していきたいところだ。
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