Photo by Kari Shea on Unsplash
リファービッシュ製品は、メーカーの修理・点検を経て販売される製品をいう。新品より安く購入できるほか、環境にやさしいなどのメリットが魅力だ。この記事では、リファービッシュ製品の種類やメリット・デメリット、購入するときのチェックポイント、メーカーやサービスを紹介する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
Photo by lucas Favre
リファービッシュ製品とは、初期不良などを理由に返品された製品を、修理・検査して再出荷したものを指す。リファービッシュ(refurbish)には「改修する」「修理調整する」という意味がある。またこの他に「メーカー再生品」「整備済製品」「修理再生品」などとも呼ばれている。本来の性能や機能は新品と変わらないが、新品よりも価格が低く設定されていることが多い。携帯電話やパソコン、家電製品、車などでリファービッシュ製品が販売されている。
こうした背景には、新品同様のアイテムを安く買い求められるというメリットから消費者ニーズがあるというのはもちろんのこと、環境に配慮した事業運営を目指すメーカーの思いも込められている。
リファービッシュ製品と似た言葉に、リユース品・中古品がある。リユース品は、一度使用したものを捨てずに再び使うことである。中古品も、一度使用したものを指す。つまりリユース品と中古品には、大きな意味の違いはない。
ただしリファービッシュ品はメーカーなどにより修理・検査した上で改めて出荷するという点で、両者とは異なる。リユース品・中古品は消費者が一定期間使用・保有したものを、別の誰かに向けて販売するときに主に使われ、リファービッシュ品は初期不良などを修理した、新品に状態が近い製品に対して使われることが多い。
Photo by Tyler Lastovich
リファービッシュ製品は、修理・検査する場所の違いにより、2種類に分けられる。
1つは、正規メーカー整備済品である。正規メーカーが製品を回収し、修理・検査をした製品を指す。純正部品が使われるほか、正規メーカーの基準により整備が行われる。
もう1つは、サードパーティー整備済品である。サードパーティーとは、正規メーカーと顧客以外の第三者を意味する。サードパーティーの判断により、使用する部品や基準が決められる。
Photo by Cristofer Maximilian
リファービッシュ製品には、購入する私たちにとってうれしいいくつかのメリットがある。ここでは4つのポイントを紹介しよう。
1つ目のメリットは、新品よりも安く購入できることだ。製品にもよるが、10〜30%引きの価格で販売されている。一度消費者の手に渡った品とはいえ、部品の交換や修理・点検が行われて、新品に劣らない製品も多い。
2つ目は、中古品より状態がいいことである。リファービッシュ製品は一度使用されているが、その期間が短い製品も多い。さらに部品交換や修理・点検などにより、新品に近い状態の製品もある。
3つ目は、環境にやさしいことだ。従来なら不具合により使われない製品でも、整備することにより再び使用できる。ごみを減らせるほか、新品を製造することでかかる環境負担を減らすことも可能だ。
4つ目は、メーカーの保証が付くことである。リファービッシュ製品は、正規メーカー整備済品の場合、多くは保証が付いている。またサードパーティー整備済品でも、独自の保証や返品制度があることもある。
Photo by Krisana Nakajo
リファービッシュ製品にはメリットがある一方で、デメリットもある。2つの点を確認しておこう。
1つ目のデメリットは、ほしい時に在庫があるとは限らないことだ。リファービッシュ製品は、不具合のある箇所を整備して再販される。返品状況や整備時間などの予測を立てにくいのが事実だ。
もう1つは、本体に傷がある場合があることだ。リファービッシュ製品は一度消費者の手に渡った製品も対象になるため、内部は新品同様に修理や部品交換が行われていても、本体に傷がついている場合がある。購入する前に、説明を読んだり販売元に聞いたりして確認する必要がある。
Photo by Jess Bailey
リファービッシュ製品を購入する際には、メリットやデメリットを考慮するのはもちろんのこと、チェックしておきたいポイントも確認しておこう。
正規メーカー整備済品の場合は新品同様の部品や整備が施されているが、サードパーティー整備品の場合は独自の基準を設けていることがあるため、整備基準をチェックすることが必要だ。保証はあるのかなども含めて、信頼できる販売元を選ぶようにしよう。
またバッテリーの最大容量や状態などは、信頼できる方法で確認されているのかなどをチェックしよう。
次に、保証期間は1年以上あるかを確認する。正規メーカー整備品の場合、1年間のメーカー保証をしていることも多い。リファービッシュ製品の保証期間は、1年以上あると安心だ。サードパーティー整備済品は1年未満の保証期間であることも少なくないため、信頼できる販売元を選ぼう。
続いて、新品との価格を比較してどのくらい安くなっているのかを確認する。その際、リファービッシュ製品の型式や状態などを総合的に考えよう。
例えば、新製品が発売されて古い型になった新品の方がより安く購入できる場合がある。リファービッシュ製品だからといって大きく値下げされているとは限らないため、製品の状態も確認したうえで、納得できる価格を探ろう。
Photo by Joanna Kosinska
最後に、リファービッシュ製品を扱うメーカーやサービスを5つ紹介する。
MacやiPhone、Watchなどを販売するAppleは、「認定整備済製品」としてリファービッシュ製品を販売している。
Appleのリファービッシュ製品は、同社認定の整備基準により品質が保証されているほか、純正の交換パーツが使用されている。さらに、1年間の製品保証が付いて返品も無料だ。これらの保証内容で、最大15%引きの特別価格で購入できる。
家庭用電化製品のメーカーであるパナソニックでは、「検査済み再生品」【Panasonic Factory Refresh】として、リファービッシュ製品を販売している。
パナソニック監修の厳格な品質基準を満たした洗濯機や冷蔵庫、カメラ、テレビなどを購入できるほか、製品には1年間の保証も付いている。同社は、さまざまな理由で回収された家電をもう一度使える状態にして販売する取り組みを行っている。
家電品メーカーの日立は「リファービッシュ品」として、メーカー再生品を取り扱っている。
メーカーが回収した冷蔵庫や洗濯機、掃除機などは、丁寧に点検・清掃され、運転試験を経る。梱包箱は交換して届けられるほか、1年間の保証も付いている。同社はリファービッシュ製品の販売を通じて、環境負担の低減にも貢献していくとしている。
パソコンやプリンターのメーカーであるエプソンでは、「リファービッシュ品」としてメーカー再生品を取り扱っている。
リファービッシュ製品は、部品交換や修理、クリーニングの後、安全性と基本動作の確認を経て出荷される。1年間の保証期間があり、およそ2〜3割引きで購入できる。同社は、製品の製造に伴うCO2の排出を削減し、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。
カメラのキタムラでは、iPhoneやスマートフォンの正規メーカー整備済品を販売している。また、同社の保証も付いている。
ノジマオンラインでは、テレビ本体を「リファービッシュ品」として販売している。保証は通常の製品と同等だ。
Photo by The Halal Design Studio
リファービッシュ製品は新品より価格が安く、整備や点検も行われるため、中古品より状態がいいというメリットがある。
製品の製造過程では、資源の消費や環境への負荷が伴う。リファービッシュ製品は、安心して購入できるうえに、環境負荷軽減の一助にもなるだろう。製品を選ぶ際に、リファービッシュ製品も選択肢に入れてみてはいかがだろうか。
ELEMINIST Recommends