【2024年最新】報道の自由度ランキング 日本は70位に下落、ワースト3か国も総入れ替え

「報道の自由度ランキング」とは、世界各国の報道機関の独立性や透明性についてスコア化し、順位をつけたもの。2024年のランキングでは、日本は昨年より2ランク下落し、世界ではワースト国が入れ替わった。日本や世界ではいま何が起きているのか。ランキング結果を元に見ていこう。

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2024.05.31

報道の自由度ランキングとは

報道の自由度ランキングとは、名前のとおり、各国の報道の自由度について評価した国際ランキングだ。毎年、国境なき記者団(Reporters Without Borders、RSF)が発表を行っている。

報道機関が事実をそのとおりに伝えられなければ、国民は正しい情報を得ることができない。そのため、報道機関の独立性や透明性についてスコアで評価し、順位をつけたものが、報道の自由度ランキングだ。その国において、報道や言論の自由がどのくらいあるのか判断することができる。

評価の基準は5項目

報道の自由度ランキングを出すうえで、RSFは以下の5つの項目について100点満点で評価している。

・政治的内容
・経済的内容
・法的枠組み
・社会文化
・安全性

【最新】報道の自由度ランキング2024

順位グローバルスコア
1位ノルウェー91.89
2位デンマーク89.6
3位スウェーデン88.32
4位オランダ87.73
5位フィンランド86.55
6位エストニア86.44
7位ポルトガル85.9
8位アイルランド85.59
9位スイス84.01
10位ドイツ83.84
11位ルクセンブルク83.8
12位ラトビア82.9
13位リトアニア81.73
14位カナダ81.7
15位リヒテンシュタイン81.52
16位ベルギー81.49
17位チェコ共和国80.14
18位アイスランド80.13
19位ニュージーランド79.72
20位東ティモール78.92
21位フランス78.65
22位サモア78.41
23位イギリス77.51
24位ジャマイカ77.3
25位トリニダード・トバゴ76.69
26位コスタリカ76.13
27位台湾76.13
28位スリナム76.11
29位スロバキア76.03
30位スペイン76.01
31位モルドバ74.86
32位オーストリア74.69
33位モーリタニア74.2
34位ナミビア74.16
35位ドミニカ共和国73.89
36位北マケドニア73.78
37位セイシェル73.75
38位南アフリカ73.73
39位オーストラリア73.42
40位モンテネグロ73.21
41位カーボベルデ72.77
42位スロベニア72.6
43位アルメニア71.6
44位フィジー71.23
45位トンガ70.11
46位イタリア69.8
47位ポーランド69.17
48位クロアチア68.79
49位ルーマニア68.45
50位ガーナ67.71
51位ウルグアイ67.7
52位チリ67.32
53位コートジボワール66.89
54位ベリーズ66.85
55位アメリカ66.59
56位ガボン65.83
57位モーリシャス65.55
58位ガンビア65.53
59位ブルガリア65.32
60位リベリア65.13
61位ウクライナ65
62位韓国64.87
63位マラウイ64.46
64位シエラレオネ64.27
65位キプロス63.14
66位アルゼンチン63.13
67位ハンガリー62.98
68位東カリブ海諸国機構62.83
69位コンゴ-ブラザビル62.57
70位日本62.12
71位コモロ61.47
72位アンドラ61.44
73位マルタ60.96
74位ネパール60.52
75位コソボ60.19
76位中央アフリカ共和国60.12
77位ガイアナ60.1
78位ギニア59.97
79位ボツワナ59.78
80位ニジェール59.71
81位ボスニア・ヘルツェゴビナ58.85
82位ブラジル58.59
83位パナマ58.55
84位カタール58.48
85位エスワティニ58.31
86位ブルキナファソ58.24
87位タイ58.12
88位ギリシャ57.15
89位ベナン56.73
90位北キプロス・トルコ共和国56.72
91位パプアニューギニア56.02
92位ギニアビサウ55.95
93位ハイチ55.92
94位セネガル55.44
95位ザンビア55.38
96位チャド54.81
97位タンザニア54.8
98位セルビア54.48
99位アルバニア54.1
100位マダガスカル54.07
101位イスラエル53.23
102位ケニア53.22
103位ジョージア53.05
104位アンゴラ52.44
105位モザンビーク52.42
106位モルディブ52.36
107位マレーシア52.07
108位ブルンジ51.78
109位モンゴル51.34
110位エクアドル51.3
111位インドネシア51.15
112位ナイジェリア51.03
113位トーゴ50.89
114位マリ50.56
115位パラグアイ50.48
116位ジンバブエ50.31
117位ブルネイ50.09
118位チュニジア49.97
119位コロンビア49.63
120位キルギスタン49.11
121位メキシコ49.01
122位レソト48.92
123位コンゴ民主共和国48.91
124位ボリビア48.88
125位ペルー47.76
126位シンガポール47.19
127位赤道ギニア46.49
128位ウガンダ46
129位モロッコ/西サハラ45.97
130位カメルーン44.95
131位クウェート44.66
132位ヨルダン44.3
133位エルサルバドル44.01
134位フィリピン43.36
135位香港43.06
136位南スーダン42.57
137位オマーン42.52
138位グアテマラ42.28
139位アルジェリア41.98
140位レバノン41.91
141位エチオピア41.37
142位カザフスタン41.11
143位リビア40.59
144位ルワンダ40.54
145位ソマリア39.4
146位ホンジュラス38.18
147位ブータン37.29
148位ウズベキスタン37.27
149位スーダン35.73
150位スリランカ35.21
151位カンボジア34.28
152位パキスタン33.9
153位ラオス33.76
154位イエメン33.67
155位タジキスタン33.31
156位ベネズエラ33.06
157位パレスチナ31.92
158位トルコ31.6
159位インド31.28
160位アラブ首長国連邦30.62
161位ジブチ30.14
162位ロシア29.86
163位ニカラグア29.2
164位アゼルバイジャン27.99
165位バングラデシュ27.64
166位サウジアラビア27.14
167位ベラルーシ26.8
168位キューバ25.63
169位イラク25.48
170位エジプト25.1
171位ミャンマー24.41
172位中国23.36
173位バーレーン23.21
174位ベトナム22.31
175位トルクメニスタン22.01
176位イラン21.3
177位北朝鮮20.66
178位アフガニスタン19.09
179位シリア17.41
180位エリトリア16.64

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主要国の順位・ワースト国は?

1位は8年連続でノルウェー

2021年2022年2023年に続き、8年連続でノルウェーが1位の座を獲得した。報道自由指数のグローバルスコアは91.89と、世界で唯一90超えとなっている。上位10位までは2位デンマーク(前年3位)、3位スウェーデン(前年4位)、4位オランダ(前年6位)をはじめヨーロッパ勢が占めており、10位以下もヨーロッパの国々が多くランクインしている。

スコアが85以上の"報道の自由が「良好」"である国はすべてヨーロッパにあり、具体的には「報道自由法(EMFA)」を採択した欧州連合内にある。ヨーロッパは世界的にみて、報道の自由度が圧倒的に高い傾向にあることがみて取れる。

日本は70位 前年より2ランクダウン

日本は2023年の68位から2ランク下がった。スコアも2023年の63.95に対して、2024年は62.12と1.83下がっている。とくに「社会文化」の項目でスコアも順位も落としており、RSFは日本について「報道の自由と多元主義の原則があるものの、伝統、経済的利益、政治的圧力、男女不平等といったことにより、ジャーナリストは政府に責任を追及する役割を十分に発揮できていない」と評価している。

日本の社会文化的背景から、「政府や企業が日常的に主流メディアの経営に圧力をかけており、その結果、汚職、セクハラ、健康問題、環境汚染など、デリケートとみなされる可能性のあるテーマについては厳しい自主検閲が行われている」と述べた。 また、日本における記者クラブ制度に対しても、「既成の報道機関のみが記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促すものであり、フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別となる」と見解を述べた。

日本はG7中最下位

G7(主要7か国首脳会議)の結果は、以下のようになる。日本は2024年もG7で最下位であり、この傾向は近年変わっていない。

順位グローバルスコア
10位ドイツ83.84
14位カナダ81.7
21位フランス78.65
23位イギリス77.51
46位イタリア69.8
55位アメリカ66.59
70位日本62.12

ワースト3は総入れ替え

昨年の指数で最下位だったアジアの3カ国(1位北朝鮮、2位中国、3位ベトナム)は、政治的スコアが急落した3カ国、1位エリトリア、2位シリア 、3位カザフスタンにその地位を譲った。

1位のエリトリア(昨年ワースト7位)は、メディアが大統領の絶対的な支配下にあり、ジャーナリストが拘留される事態が長く続いていること、2位のシリア(昨年ワースト6位) は多元主義の原則が排除されており、多くのジャーナリストが自主亡命を余儀なくされていることが主な理由にあげられている。両国ともにメディアの無法地帯となっており、記録的な数のジャーナリストが拘束、行方不明、人質に取られていると指摘した。

3位のカザフスタン(昨年134位)は、タリバンの制圧によりメディアが政府によって管理され、ジャーナリストに対する弾圧が強化されていることが理由だ。

2024年ランキングからわかる世界の報道

「政治的背景」の世界平均スコアが下落

2024年の大きな変化としては、ランキングの作成に使用される 5 つの指標のなかで「政治的内容」が世界平均 7.6 ポイントと大きく下落したことが挙げられる。RSFはその理由について、政治的圧力により世界中で報道の自由が脅かされ、ジャーナリスト保護の原則が欠如していると述べた。

具体的には、ガザ地区での戦争において 2023年10月以来、ジャーナリストとメディアに対する違反行為が相次いでいること、100人以上のパレスチナ人記者がイスラエル国防軍によって殺害されていること、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたことなどを指摘した。

ウクライナ侵攻の影響が各国に広がる

東ヨーロッパと中央アジアでは、とくにベラルーシ(2023年157位→2024年167位)、ジョージア(同77位→同103位)、アゼルバイジャン(同151位→同164位)、セルビア(同91位→同98位)などで、ロシアの手法を模倣する形でメディア検閲が強化されているとし、軒並み順位を下げた。RSFによると、これらの国では「政府メディアがロシアのプロパガンダを流し、亡命したロシア人ジャーナリストを脅迫している」とも指摘する。 ロシア(162位)の国内におけるメディア抑制は、関係する国々のジャーナリストの安全に大きな影響を与えているという。

報道の自由度ランキングでわかる世界や日本の情勢

「報道の自由度ランキング」は、指標とその背景を読み解くことで、その国の政治的、文化的、経済的事情を測り知ることができるツールだ。2024年のランキングでは、「政治的背景」の世界平均スコアが下落し、報道の自由度についてRSFが「非常に低い」と評価した国が36か国と、過去最多となった。

報道の自由が守られ、正しく機能している国・政府とは、そこに住む人々の行動や発言の自由も保証される国・政府と言っても過言ではないだろう。いま世界では、生きていくうえで何かしらの抑圧がなされている人々が多くいるということがわかる。世界で何が起きているのかを知る上で、報道の自由度ランキングは今後も重要なひとつの指標になる。

※掲載している情報は、2024年5月31日時点のものです。

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