2024パリ五輪、プラントベースフードを6割 CO2排出量は例年の半分以下に

プラントベースフード

Photo by Bakd&Raw by Karolin Baitinger

2024年に開催されるパリ五輪。CO2排出量の大幅削減を目標に掲げる同大会だが、食事面における取り組みもこれまでとは一味違う。プラントベースフードを6割に増やし、食材の地産地消を徹底しながらも、味わいには妥協しない美食の国らしさが光る。

Kojiro Nishida

編集者・ライター

東京の出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。現在はイギリス北東部を拠点に活動中。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。

2024.04.17
EARTH
編集部オリジナル

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目標CO2排出量は150万トン以下

いよいよ2024年の夏に迫った「パリ2024オリンピック」。近年では環境負荷の高さも指摘されているオリンピックだが、2024年のパリ大会では、2012年のロンドン大会、2016年のリオ大会などで平均350万トンだったCO2排出量を大幅削減し、150万トン以下に抑えることを目標に掲げている。

その一環として使い捨てプラスチックの使用を禁止する方針なども話題になったが、食事面における取り組みにも注目したい。大会組織委員のトニー・エスタンゲ会長も「食はフランスのアイデンティティの一部」と話しており、大会中に提供される食事へのこだわりの強さをのぞかせる。

約4週間にわたるオリンピック・パラリンピック両大会を通して、選手やボランティアの食事、さらに観客への食事を含め、1,300万食以上が提供される見込みだ。これはサッカーワールドカップ10回分にも相当する。大会期間中の食事に関して、組織委員会は「PARIS 2024 FOOD VISION(フードビジョン)」という指針を発表している。

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プラントベースフードの増加と地産地消 美食の国としてのこだわりも

フランスの市場

Photo by Anna Kaminova on Unsplash

「フードビジョン」は農家、シェフ、職人、レストラン経営者、栄養士、サステナビリティに関する専門家など約120の組織や団体の協力によって作成されたもので、フランス料理のノウハウやクリエイティビティを活かしながら、大会を通じてよりサステナブルで健康的な食習慣を推進することを目指している。フードビジョンは“食”のあらゆる層において原則を定めているが、なかには次のようなものも含まれている。

プラントベースフードの増加
食事の選択肢においてプラントベースのオプションを増やし、比較的環境負荷の高い動物性食品の消費を減らすことに重点を置いている。具体的には、観客に向けに販売されるメニューの60%以上をベジタリアン対応に、ボランティアやスタッフ向けには50%以上をベジタリアン、もしくは50%以上の動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えるなどで、一食あたりのCO2排出量(平均)1kg以下を目指す。

旬の食材・地元の食材を使う
地域の農業を支援し食品輸送によるCO2の排出を減らすため地元産の食材、地域で旬の食材の使用を奨励する。食材の80%はフランス国内から調達され、牛肉と卵に関しては100%フランス産のものになる予定だという。

食品廃棄の削減と再利用
大会中の需要を予測し、仕入れとストックする食材の量を最適化。また残った食品は地域のフードバンクや慈善団体に寄付される。廃棄されてしまう料理や食材はコンポストや動物の飼料として再利用されるほか、別の料理の材料になる場合もある。

パリのセーヌ川

Photo by Joe deSousa on Unsplash

パリ五輪は食にまつわるさまざまな枠組みを設けた一方で、美食の国としてのこだわりも欠かしてはいない。世界中から集まる多様な文化的背景をもつ人々を満足させるために、メニュー開発や調理にはミシュラン星つきレストランのシェフをはじめとする複数の料理人たちが携わり、地元産の野菜や豆、穀類を使用した趣向を凝らした料理が提供されるというのだ。

「プラントベース」や「地産地消」など、食の持続可能性を考えるうえで外せないキーワードがたびたび登場するパリオリンピック。スポーツの盛り上がりの陰で提供される料理にも注目したい。

※参考
Pas de hotdog: Paris Olympics chefs take veggie gamble|Financial Times
PARIS 2024 FOOD VISION|Olympics

※掲載している情報は、2024年4月17日時点のものです。

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