「リユースカップと使い捨て」 環境にいいのは本当はどっち?

リユースカップを持ち歩く人物

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環境保護やごみの削減などを考えて、くり返し使えるリユースカップを取り入れる飲食店や企業が増加している。リユースカップと使い捨てカップで、環境への負荷が少ないのはどちらだろう?リユースカップの現状や利用状況、ごみ問題も交えて解説する。

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2023.12.26
SOCIETY
学び

エシカルマーケティングとは? メリットや実例をわかりやすく紹介

使い捨てカップよりエコなリユースカップとは

リユースカップにドリンクを注ぐ様子

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リユースカップのリユース(reuse)は、再利用を意味する英単語だ。リユースカップとは名前のとおり、くり返し何度でも使える飲料カップのことを指す。

通常、使い捨ての紙コップやプラスチックなどの飲料カップは、使用後にごみとなる。一方、耐久性に優れたリユースカップは、使用後に洗浄し、再利用することが可能だ。これにより、リユースカップには環境負荷の低減や、廃棄物・CO2の削減などの効果が期待されている。

グリーンピース・ジャパンは、東京、釜山、台北、香港でリユースカップを提供する企業5社を対象に調査を実施。リユースカップと使い捨てカップの環境への影響を項目別に比較した。調査の結果、リユースカップは使用頻度が低くても、多くの項目において使い捨てカップよりも優れていることがわかった。

また、使い捨てカップのライフステージで、もっとも環境負荷が大きいのは製造段階であるとした。使い捨てカップの生産を抑制することが、環境に大きな利益をもたらすと述べている(※1)。

つまり、使い捨てカップよりもリユースカップの方が環境への負荷が低く、使い捨てカップの使用を減らし、リユースカップを増やしていくことが大切なのだ。

リユースカップの利用状況

スターバックスのリユースカップを手に持つ人物

Photo by quan le on Unsplash

リユースカップは、カフェや飲食店、イベントのノベルティとしてなど、幅広いシーンで利用されている。企業におけるリユースカップの利用状況や、リユースシステムの種類について紹介しよう。

リユースカップの利用率は?

日本のカフェ業界では、どのくらいリユースカップが使われているだろうか。

2022年にグリーンピース・ジャパンは、スターバックスとタリーズの全国150店舗を対象に、リユースカップの利用率を検証した。内容は、それぞれの店舗内のリユースカップの利用者数や使い捨てカップ数などから、リユース率を調べるというもの。結果、スターバックスが41%、タリーズが12%のリユース率となった(※2)。

業界大手のスターバックスでも、リユース率は半数に達していない。他のコーヒーチェーンでは、タリーズのようにリユース率はまだ低いのが現状だろう。

リユースシステムの種類

レンタルリユース

レンタルリユースは、レストランやカフェがリユースサービス業者と提携し、顧客にリユースカップを一時的に提供するシステムだ。顧客はリユースカップを借りて使用し、飲み終わったあとは指定された場所にカップを返却する。使用後のカップは、リユースサービス業者が回収・洗浄して、レストランやカフェに届けられる。

BYOC

BYOC(Bring Your Own Container)は、英語で「自分の容器を持ち込む」という意味だ。名前のとおり、BYOCは顧客が店舗にマイカップを持ち込む取り組みのことを指す。使用後のカップの洗浄を行うのも顧客だ。コスト削減にもなるBYOCでは、利用者の参加を促すために、経済的なインセンティブを与えることもある(※3)。

プラスチックごみ問題の現状

廃棄される使い捨てカップ

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リユースカップの利用が推進される背景には、プラスチックごみ問題がある。

軽量で汎用性が高く丈夫なプラスチックは、多くの製品に使用されている。プラスチックはその性質上、廃棄後に自然に分解されることはない。そのため適切な処理をされずに使い捨てられたプラスチックはごみとなり、そのまま海に流れ着く。そして海の生態系の破壊や海洋汚染などを引き起こしているのだ。

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消費者庁によると、日本では年間約940万トンのプラスチックごみが排出されており、そのうちリサイクルされているのは、約25%のみだ(※4)。一方、世界では年間800万トンのプラスチックごみが海洋へ流出している。

このままでは2050年までに魚の重量を上回るプラスチックが、海洋環境に流出すると予想されている現状だ。

プラスチックごみ問題の解決に向けた取り組み

海に落ちているプラスチックごみ

Photo by Dennis Rochel on Unsplash

プラスチックごみ問題を解決すべく、国や企業が行っている取り組みを紹介する。

プラスチック資源循環戦略

日本政府は、2019年にプラスチック資源循環戦略を策定。プラスチック製品の製造から廃棄物処理までのライフスタイル全体において、基本原則の「3R+Renewable」を促進するとした。2025年までに製品のリサイクル率を向上させることや、2030年までにワンウェイプラスチックの排出量を累積25%抑制することなどを目標にしている(※5)。

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レジ袋の有料化

日本では、2020年7月から全国でレジ袋を有料化する取り組みが行われている。これまで無料で提供されていたレジ袋を有料化することで、プラスチックごみを削減する狙いだ。くり返し使える布製のエコバッグや紙袋は、規制の対象外となっている。

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プラスチック製ストローの廃止

カフェや飲食店などの企業では、プラスチック製ストローの廃止に向けた取り組みが拡大中だ。世界的チェーンのスターバックスやマクドナルドでは、ドリンク類の購入時に、再生可能な素材である紙ストローを提供する施策を導入している。

おすすめのリユースカップ

さまざまな企業がオリジナルのリユースカップを販売している。ここではデザインや機能性などから、ELEMINIST編集部がおすすめしたいリユースカップを厳選。自分用はもちろん、大切な人へのプレゼント用としても参考にしてみてほしい。

stojo(ストージョ)

「使い捨て文化を終わらせる」という理念に基づき、2014年にニューヨークで設立された「stojo(ストージョ)」。カップからお弁当箱、ストローに至るまで、くり返し使えるエコなアイテムを多数製造するブランドだ。

stojoのカップは、折りたたみ式で漏れにくい設計が特徴。使用後はコンパクトにまとめられるため、気軽に持ち運べて便利だろう。カラフルで可愛らしいデザインも魅力の一つ。ELEMINIST SHOPだけで購入できる限定カラーも要チェックだ。

STTOKE(ストーク)

「STTOKE(ストーク)」は、カフェ文化の盛んなオーストラリア・メルボルンで2018年に誕生したカップブランドだ。ブランド名のSTTOKE は、ワクワクさせるという意味のスラング「STOKE」に由来している。

真空断熱構造で保温・保冷性に優れているSTTOKEのタンブラー。本体はステンレス素材だが、内側のみセラミックコーティングになっている。金属臭を消して、飲み物本来の味や香りを維持するしくみだ。手にフィットして持ちやすい点や、滑らかな曲線による美しいフォルムも魅力的。カラーバリエーション豊富なため、お気に入りのデザインが見つかるだろう。

KeepCup(キープカップ)

再利用可能なコーヒーカップの製造メーカー「KeepCup(キープカップ)」。使い捨てコーヒーカップのない世界を目指すこのブランドのアイテムは、世界65ヶ国以上で愛されている。

KeepCupは高級感のあるガラスのカップが特徴。中のドリンクが見えるカップは、デザインによってフタの色や持ち手の素材が変わる。持ち手のデザインには、サステナブルなコルクバンドや、持ち心地のいいシリコンバンドなどがある。ELEMINIST SHOPでは、ここだけで購入できる限定カラーも販売している。

リユースカップのある暮らしを始めよう

リユースカップを持つ人物

Photo by Localize on Unsplash

くり返し使えて、環境にもやさしいリユースカップ。カフェのキャンペーンやイベントノベルティのほか、オリジナルのカップを販売するブランドも存在する。

保温保冷のできるタイプや折りたたみ式など、その機能性やデザインは多岐にわたる。お気に入りのマイカップを持ち歩けば、毎日のカフェタイムがちょっぴり楽しくなるはずだ。

リユースカップを取り入れて、エコな暮らしをはじめてみよう。

※掲載している情報は、2023年12月26日時点のものです。

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