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環境汚染の要因として深刻化するマイクロプラスチック問題。とても細かな粒子で回収が難しく、生分解されないため自然のなかに残り続けてしまう。ここではマイクロプラスチックの問題点や世界各国の対応の現状、さらに日本政府の対策と日本企業の具体的な取り組みを24の例を用いて紹介する。
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エレミニスト編集部
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マイクロプラスチックとは、大きさが5mm以下の目に見えない微細なプラスチック類のこと。発生源により、次の「一次的マイクロプラスチック」と「二次的マイクロプラスチック」に分類できる。
製品原料として使われることを目的につくられた、製造された時点ですでに非常に細かい形状のプラスチックのこと。洗顔料や化粧品、歯磨き粉などのスクラブ剤に含まれているマイクロビーズが主な代表例。その他、プラスチック製の合成繊維を使った衣類やスポンジも主な発生源だ。洗濯や洗い物のたびに繊維が千切れ、マイクロプラスチックとなり排水から流出する。
主にプラスチック製品が破損、粉砕して小さくなったもののこと。不法投棄や正しい手順で廃棄されなかったビニール袋やペットボトルなどのプラスチックごみが、石や砂、波など物理的な要因により破損したり、強い紫外線などの外的要因で劣化し、徐々に細かく砕け、最終的にマイクロサイズとなったもの。
どちらのマイクロプラスチックもとてもサイズが小さく、海や自然界に流出すると回収はほぼ難しい。自然分解もされないため、微細なプラスチック片として残り続けことで自然環境へ影響を及ぼすことが懸念されている。
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マイクロプラスチックの問題点は、第一に回収が極めて困難であり、さらに自然分解がされないため、一度自然界に流出してしまうと数百年間以上に渡って残り続けてしまうこと(※1)。年間で800万トンのプラスチックごみが海に流出しているとされるデータもあることから(※1)、マイクロプラスチックの自然界への流出も続き、その総量は増える一方だろう。
そして第二に、それらが生態系や人体に悪影響を及ぼすであろうことが挙げられる。マイクロプラスチック自体の生態への影響は明らかにされていないが、東京工業大学の研究によれば、マイクロプラスチックは比表面積が大きいため、その表面に重金属やダイオキシンなど有害物質が付着しやすいことがわかった(※2)。
また、欧州食品安全機関(EFSA)の発表によると、マイクロプラスチックのなかに蓄積する可能性のある高濃度のポリ塩化ビフェニル類(PCB類)や包装材に使われる化合物の座留物であるビスフェノールA(BPA)などの汚染物質が、食品中のマイクロプラスチックを摂取することで体内組織のなかに移行する可能性を示唆する研究がある、としている(※3)。
メダカを使った実験によると、体内に取り込まれたナノプラスチックは消化器系から循環器系に移動し、最終的には脳組織内に蓄積されることが確認されている。食物連鎖によりその魚を人間が体内に取り入れたとき、蓄積されている有害物質も一緒に胃から循環器系、そして脳組織へ移行し蓄積される可能性は否定できない(※3)としている。
現時点では自然生物や人体への影響ははっきりとは解明されていないものの、蓄積または付着した有害物質が水中に溶けだし、環境汚染につながることは想像に難くないだろう。
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マイクロプラスチック流出による環境への影響を危惧し、世界各国ではさまざまな対策が取られている。一時的マイクロプラスチック使用規制や、二次的マイクロプラスチックの発生源となる使い捨てプラスチック製品の使用規制をみていこう。
ボディケアや洗顔料、歯みがき粉から毎年何千トンものマイクロビーズが自然界に流出していると言われている。これらの問題を受け、各国ではマイクロビーズに対する規制が行われている。
アメリカでは、2015年12月にマイクロビーズを含む化粧品類の製造や流通を禁止する「the Microbead-Free Waters Act of 2015」と呼ばれる法案が成立したことから始まっている。オーストラリアでは、2023年9月1日に、マイクロビーズの使用が禁止になった。
フランスやイギリスなど、これらの問題について先進的なヨーロッパでの取り組みも多く見られる。EU(欧州連合)では、2023年10月17日からマイクロプラスチック添加製品の原則販売が禁止され、その対象は人工芝などのスポーツ施設の表面を覆う顆粒インフィルのほか、角質除去などの目的で添加される化粧品や洗剤、柔軟剤など多岐にわたる。
また、アジアの国々でもマイクロビーズ規制が行われており、例えば韓国では、2017年にマイクロビーズの製造・流通が禁止され、翌年には販売も禁止になった。さらに、台湾でも2018年に製造と流通が禁止になり、2020年には販売も禁止された。
二次的マクロプラスチックの発生源となる使い捨てプラスチック製品。各国では、これらの削減に向けてあらゆる規制が行われている。以下は、平成30年のデータである。
平成30年の時点で、多くの国がレジ袋の有料化や製造・販売の禁止を行なっていることがわかる。日常的に使用されているプラスチック製品を規制し、徐々にその範囲を広げている国もある。
このほか、オーストラリアでは、2022年1月1日より、小売店によるストローやフォーク、皿、容器などの使い捨てプラスチック製品の提供を禁止。フランスでは、2023年1月1日よりファーストフード店内での使い捨て容器の使用が禁止された。
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環境省の海洋ごみ実態把握調査(マイクロプラスチックの調査)によると、日本周辺海域(東アジア)では、北太平洋の16倍、世界の海の27倍ものマイクロプラスチックが存在していることがわかった。日本周辺海域は、マイクロプラスチックの"ホットスポット"であるとの衝撃的な調査結果を発表している(※4)。
このような現状からマイクロプラスチック削減に向けた対策が求められるなか、日本では"使用禁止"とする法令は出されていない。ではどのよう取り組みを行なっているのか。次の4つを紹介しよう。
「海岸漂着物処理推進法」は2009年7月15日に初めて公布・施行された。主な目的は、美しい自然を保護するために海岸環境を保全することと、海洋環境の保護に向けた海岸漂着物の処理や対策を総合的かつ効果的に推進することである。
2018年6月22日に法律の一部が改正され、法律名も「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」へと変更された。そして、2019年には、この法律改正を踏まえた基本的な方針の変更が閣議決定された。そこではマイクロプラスチックの排出抑制について盛り込まれている。
五、海岸漂着物対策は、マイクロプラスチック(微細なプラスチック類をいう。以下同じ。)の海洋環境への深刻な影響のおそれ等に鑑み、海岸漂着物等であるプラスチック類の円滑な処理及び廃プラスチック類の排出の抑制等による減量等が図られるよう十分配慮されたものでなければならないこととする。 六、事業者は、マイクロプラスチックの海域への流出が抑制されるよう、通常の用法に従った使用の後に公共の水域又は海域に排出される製品へのマイクロプラスチックの使用の抑制に努めるとともに、廃プラスチック類の排出が抑制されるよう努めなければならないこととする。
美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案:参議院2022年4月に施行された「プラスチック新法」は、「3R+Renewable」を基本原則とし、プラスチック製品の使用と消費、廃棄を通して資源循環を目指す法律のこと。地方自治体や消費者だけでなく、事業者も含めた取り組みが求められているため、事業者は製品の設計段階から材料選び、廃棄物の処理を視野に入れて製造に携わらなければならない。
ライフサイクルに合わせて具体的な指針が決められており、「設計・製造段階」では、"製品の減量化や包装の簡略化で、使用するプラスチックを少なくする"、"簡単に再使用できる部品の導入や単一素材化、分解や分別の容易化でリサイクルを推進する"といった指針が決められている。
「販売・提供段階」では、商品に付随して提供される使い捨てのプラスチック製フォークやスプーンについて、有償での提供や利用しない客へのポイント付与、消費者の意思確認など、提供時の工夫が求められる。
「排出・回収・リサイクル段階」では、製造業者が自主回収する取り組みを推進するほか、自治体でも各家庭向けのプラスチック分別収集・リサイクルがスタートした。
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」は、海洋プラスチックごみを削減するため、2019年5月に環境省によって策定された。
プラスチックを有効的に利用することを前提としながらも、新たな海洋汚染を生み出さないための取り組みを徹底していくプランだ。その内容としては、プラスチックごみの回収をはじめ、ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止など多角的に取り組んでいる。また、プラスチックごみが海洋に流出した場合でも、分解されることで海洋への影響や負担が少なくなる素材の開発なども計画・推進されている。
「プラスチック・スマートキャンペーン」とは、環境省が世界的な海洋プラスチック問題の解決に向けて2018年10月に立ち上げたキャンペーンのこと。
環境省がキャンペーンサイトやイベントなどを通じて、個人単位のごみ拾いイベントへの参加やマイバッグの活用などの行動やアイディア、自治体・NGO・企業・研究機関によるポイ捨て・不法投棄撲滅の運動やプラスチックの3Rなどの取り組みを、国内外に発信している。
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環境省が取りまとめた「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」で紹介された企業をはじめ、マイクロプラスチック削減に効果的な新たな技術開発に注力している13企業の取り組みを紹介。
機能的で高品質なスポーツ用品を提供している「ミズノ株式会社」は、積水樹脂(株)と共同開発した捲縮加工人工芝「MS Craftシリーズ」を開発。カールした人工芝パイルは、充填材の飛散や降雨による流出を抑えることができる。そして特徴的なパイル構造により、人工芝パイルの耐久性能が向上し、パイルちぎれによるマイクロプラスチックの発生を抑えることが可能に。
「株式会社アダストリア」は、niko and...やLOWRYS FARMなど、 グループで約30を超えるブランドを国内外で約1,400店舗展開するアパレル企業。同社が企画・販売する洗濯ネット「FIBER HOLD BAGI」は、一般的なものより網目が細かく、洗濯ネットを使用しない場合に比べて繊維くずの流出を約80%抑えるというもの。
洗濯時に洗濯ネットを使用すると衣類の傷みを抑えるとともに、プラスチックである化学繊維くずの流出を抑えることができる。
主にセルロイドの製造を行う「株式会社ダイセル」は、化粧品で使用されるマイクロプラスチック(マイクロビーズ)の代替素材として、自然回帰性材料である酢酸セルロースを原料とした高度な真球微粒子を開発。独自の技術で生み出された真球微粒子は、表面が平滑で真球度が高いため、従来のプラスチック製微粒子と同様の機能を得ることができる。そのうえで天然由来で環境にやさしい。
四輪車や二輪車を中心とした製造を行う「スズキ株式会社」は、船外機の構造に着目し、戻り水用ホースに取り付け可能なマイクロプラスチック回収装置を開発。この装置はエンジン冷却後の戻り水を活用するため、船外機の航走性能に影響はなく、フィルター交換も簡単なため、マイクロプラスチックを連続的に回収することができる。
人工合成クモ糸素材の量産化技術を研究している「Spiber株式会社」は、人工タンパク質繊維の実用化を行っている。人エタンパク質繊維は、微生物を用いた発酵法で製造でき、生分解性が高い点や、アミノ酸の割合や並び方をコントロールすることでさまざまな性質を付与できるなどの特徴から、バイオプラスチックの一つとして近年注目を集めている。現在は、THE NORTH FACEと製品発売を行うなど、実用化の取り組みを進めている。
繊維専門商社の「帝⼈フロンティア株式会社」は、洗濯時にマイクロプラスチックとなる繊維くずが出やすい起毛加工品の構造に着目。ポリエステル長繊維を使用した軽量で嵩高な衣料用繊維構造体を開発し、繊維くずを抑制できる機能性衣料製品を実現。この特殊な機能繊維や構造体により、吸汗速乾性が向上し、発汗時の不快感や汗冷えを防止することも可能となった。
パッケージング全般を幅広く手がける「レンゴー株式会社」は、洗剤や化粧品に使用されるマイクロプラスチック(マイクロビーズ)の代替として、木材パルプ由来のセルロースだけでできた生分解性を有するビスコパールを用いている。ビスコパールは水や油との親和性が高く、耐薬品性や耐熱性もあるため、洗剤や化粧品のほか、研磨材や充填材などさまざまな用途に使用することが可能。さらに、海洋生分解性を有するため、海洋マイクロプラスチックごみ低減への貢献が期待されている。
ゴム製品メーカーの「住友ゴム工業株式会社」は、スポーツ用人工芝由来のマイクロプラスチックの流出抑制システムの実用化に向け、実証実験を行なっている。対策内容としては、耐久性の高いヤーンと高比重充填材の採用や、充填材を用いない外周人工芝の配置など。経年変化などを定期的に観察し、各対策の効果や、バリア資材の適性や耐久性、メンテナンスの必要性などの検証を進めている。
幅広い領域で製品開発・生産・販売を手がける「積水樹脂株式会社」は、プラスチックごみによる海洋汚染の問題を受け、人工芝フィールドからの芝葉やゴムチップなどの流出を抑制する「MPフィルター GT」を製品化。一人で設置・取り外しができるフィルターは、芝葉やゴムチップを効率的に収集でき、そうして集められた芝葉やゴムチップなどは簡単に除去することが可能だ。
「日本化学繊維協会」は、2023年5月に、洗濯時に流出する繊維くず量の測定方法の国際規格を制定することに成功。これにより、企業などに繊維くず発生が少ない繊維製品の開発などを促すことや、日本の高機能な繊維製品の差別化、海洋環境中の洗濯由来繊維くず量の評価、繊維くず流出量の推計にも寄与できることが期待される。
植物工場の設計、運用、コンサルティングを行う「プランツラボラトリー株式会社」は、
国内の水耕栽培で使用されているウレタン培地による環境負荷や作業者への負担を見直し、海洋生分解性樹脂を用いた水耕栽培用の培地を開発している。これにより、微細片の流出時の環境負荷を抑えられるだけでなく、培地と根の分別作業における人件費の削減や使用後の保管・処理の簡路化などを図ることができる。
日本の食品会社「味の素」は、独自のアミノ酸技術を生かし、生分解性の高い化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替品の開発に成功。スキンケア用品や化粧品に幅広く使用されている合成樹脂由来のマイクロプラスチックビーズと同等の感触と機能を持つ。プラスチックを使用せず、自然由来の原料のみを使用しているため生分解性が高く、環境への負荷低減が期待できる。
化学・素材メーカーの「株式会社カネカ」は、カネカ生分解性バイオポリマー"Green Planet "を開発。100%バイオマス由来で、土のなかだけでなく、これまで難しかった海水中で生分解を行うことができる。ストローやレジ袋、カトラリー、食品容器包装材などさまざまな製品に加工することが可能だ。現在は、スターバックスやセブンイレブンなど、数々の企業との共同開発が行われている。
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一次的マイクロプラスチックのひとつとされ、問題視されているマイクロビーズ。化粧品やスキンケア用品に使われることが多かったが、それらを使用しない方針にシフトする企業が増えている。展開する全アイテムからマイクロビーズの使用を廃止した5つの企業を紹介。
化粧品などのコンシューマープロダクツ事業を行う「花王株式会社」は、2016年末までに洗顔料や全身洗浄料などに使用されていたマイクロプラスチックビーズの代替素材への切り替えを完了。現在、取り扱うすべての洗顔料や全身洗浄料、ハミガキにはマイクロプラスチックビーズが含まれていない。
化粧品の製造販売を行う「株式会社コーセー」もマイクロプラスチックビーズの使用を取りやめている。2014年度開発の新しい洗浄料からその配合を中止し、環境負荷の低い植物性原料などに置き換え。既存のマイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の切替も完了し、2018年1月以降は、マイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の国内外への出荷を一切行っていない。
男性化粧品メーカーの「株式会社マンダム」は、マイクロプラスチックビーズが使用されていた一部の製品について、2017年度に代替原料化を完了。その他、プラスチック廃棄物の削減に向けて、石油由来プラスチック樹脂製資材から紙やガラスなどの代替資材へを行うなど、取り組みを積極的に進めている。
化粧品を中心とした事業を展開する「株式会社資生堂」は、2018年8月末までに、洗浄料などに含まれるマイクロプラスチックビーズの代替素材への切り替えを完了。それ以来、洗い流すタイプの製品にマイクロプラスチックビーズを使用していない。
アメリカ合衆国に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカー「P&Gジャパン合同会社」は、製品に使用されている成分について、ホームページで情報を開示している。展開しているすべてのフェイシャル洗浄料やボディ洗浄料、歯磨き粉については、マイクロプラスチックビーズを一切使用していない。
マイクロプラスチックの発生源となっているモノやコトについて、業界や消費者に気付きを与え、アクションを啓発することで削減を目指す3つの企業の取り組み例を紹介。
「日本スポーツ施設協会」は、スポーツ施設の設備充実と効果的な運営のための活動を行っている協会だ。人工芝由来のマイクロプラスチックが海へ流出しているという問題を受け、2021年5月に流出抑制のためのガイドラインを作成し、日本スポーツ施設協会や当部会会員に配布。また、2022年1月よりホームページ上でその内容を公表している。
肥料やアンモニア製品の製造・販売を行っている「日本肥料アンモニア協会」は、「2030年にはプラスチックを使用した被覆肥料に頼らない農業」を目標に掲げている。プラスチックを含む被覆材を海洋環境などへ排出することを抑制するための取り組みとして、肥料袋に注意書きをして周知を行うほか、流出防止に向けた取組方針をホームページで公開するなど、改善を進めている。
「日本プラスチック工業連盟」は、日本のプラスチック産業に関わる企業や団体が集い、プラスチック製品の製造や利用、リサイクルなどに関する技術や知識の共有などを行っている連盟だ。1991年、樹脂ペレット(プラスチック製品の原料)が海岸に漂着していることが確認されて以降、NPOと連携し、「樹脂ペレット漏出防止マニュアル」を作成・配布。2021年からは中小事業者向けにリーフレットを作成し、全国配布を行うことで認知拡大・活動拡大を目指している。
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飲食店や小売店を筆頭に、二次的マイクロプラスチックの発生源とされる使い捨てプラスチック製品の使用・提供控えが進んでいる。ストローやスプーン、フォーク、容器、包装など、使い捨てプラスチック製品を他素材のものに代替することで削減に取り組んでいる企業の例を紹介。
「スターバックス」では、2020年1月に全店舗で紙製ストローを導入。また、2022年2月より、使い捨てカップの削減やリユース(再利用)の選択肢を増やすため、店内利用のアイスビバレッジを樹脂製グラスで提供。これまで提供されていたプラスチックカップはペーパー化され、問題視されていたプラスチック容器や包装等の削減に大きく寄与している。
「良品企画」は、誕生した1980年から、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」という3つの視点で地球環境や生産者に配慮したものづくりを続けてきた。2030年までに包材や資材の脱プラスチック100%、リサイクルを前提とした製品設計100%を目標に、店頭でのプラスチックボトルの回収・リサイクルや、プラスチック製のレジ袋廃止を実施。さらに、パッケージを必要とする商品は、プラスチックパッケージをなくす、もしくは再生紙などの代替素材への変更など、可能な限りプラスチック製品の使用削減に取り組んでいる。
「セブンイレブン」は、石油由来のプラスチック削減に取り組んでいる。2022年4月より、植物由来の素材を30%配合したスプーンやフォークなどの環境配慮型カトラリーを導入しているほか、レジ袋の有料化、プライベートブランド「セブンプレミアム」のペットボトルのお茶の全商品(500mlと600ml)には100%再生PET樹脂使用ペットボトルを使用するなど、取り組みを積極的に進めている。
マイクロプラスチックは、一般家庭からも日々流出しているのが現状だ。環境省が推奨している個人でできる削減方法が次の2つ。
ポリエステルなどの合成繊維を含む衣料品を洗濯する際には、洗濯ネットを使用することでマイクロプラスチックと化した繊維くずの流出を防ぐことができる。洗濯機のフィルターに溜まった繊維くずをこまめにごみ箱に捨てることも大切。
また、家庭用の敷物などに使用される人工芝もマイクロプラスチックの発生源であるため、こまめな清掃を心がけるほか、芝が折れたり抜け始めたものは交換するなど、適正な使用や管理が必要だ。このように、少しの工夫がマイクロプラスチックの流出を防ぐことにつながるのである。
マイクロプラスチックの自然界への流出は大きな問題となっている。生活圏で発生したマイクロプラスチックは風や水によって運ばれ、海を漂い、広範囲にまで広がってしまう。南極海でマイクロプラスチックが発見されたという調査結果もある(※4)。
今後、いかにプラスチック製品の使用を減らし、不法な投棄をなくし、マイクロプラスチックの発生を抑えられるか。それらの課題を解決していくためには、政府や企業の取り組みに加え、私たち個人個人がプラスチック製品の正しい使用と消費、廃棄を徹底していくことが重要だ。
できるだけ使い捨てプラスチックを使用・購入しない、プラスチック製品をリユースする、マイクロビーズが入っていない化粧品を選ぶなど、これらのこまめな取り組みが、海洋環境や生態系を守ること、さらには持続可能な地球の実現につながっていく。
※1 WWFジャパン|海洋プラスチック問題について
※2 東京工業大学|マイクロプラスチックが生態系に与える影響を研究
※3 農林水産省|2.3.2 マイクロプラスチックおよび化学物質の影響
※4 環境省|海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組
参考:
・【図解】海洋中のマイクロプラスチック その発生源と内訳
・環境省|一般向けマイクロプラチック発生抑制・流出抑制対策リーフレット
・海洋ごみシンポジウム2016|海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組
・ジェトロ|EU、マイクロプラスチック添加製品の原則販売禁止を決定
・EnviX|世界のマイクロプラスチック規制動向
・環境省|水・土壌・地盤・海洋環境の保全 海岸漂着物処理推進法関係
・環境省|プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律
・環境省|プラスチックを取り巻く国内外の状況
・環境省|マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集
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