2023年ジェンダーギャップ指数全ランキング 日本は過去最低の125位

女性の後ろ姿

Photo by Becca Tapert on Unsplash

ジェンダーギャップ指数とは、世界各国の男女格差について数値化したもの。毎年、世界経済フォーラムが発表を行っている。2023年のジェンダーギャップ指数の全ランキングを紹介する。日本は125位で過去最低となった。他国の動向とあわせて解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2023.07.11

ジェンダーギャップ指数とは

ジェンダーギャップとは、性別の違いによって生じる格差のこと。雇用の機会や賃金に男女で差があるといった格差だ。

そして、ジェンダーギャップ指数とはそのような男女格差を数値化したもので、毎年、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が、各国の数値をランキング形式で発表している。

ジェンダーギャップ指数の算出方法

ジェンダーギャップ指数は、経済・政治・教育・保健の4分野についての統計データをもとに算出する。4分野それぞれのスコアの平均値が、ジェンダーギャップ指数となる。

経済:労働参加率・同一労働における賃金・収入格差・管理職の男女比・専門技術の男女比
政治:議会や閣僚など意思決定機関への参画・過去50年間の国家元首の在任年数における男女差
教育:識字率・初等教育就学率・中等教育就学率・高等教育就学率の男女比
保健:出生時性比・平均寿命の男女差

2023年ジェンダーギャップ指数ランキング

2023年のジェンダーギャップ指数を紹介しよう。スコアは「1」に近いほど男女格差が少ない。(※1)2024年のランキングはこちら。

順位国名スコア前年順位との差
1位アイスランド0.912-
2位ノルウェー0.879+1
3位フィンランド0.863-1
4位ニュージーランド0.856-
5位スウェーデン0.815-
6位ドイツ0.815+4
7位ニカラグア0.811-
8位ナミビア0.802-
9位リトアニア0.800+2
10位ベルギー0.796+4
11位アイルランド0.795-2
12位ルワンダ0.794-6
13位ラトビア0.794+13
14位コスタリカ0.793-2
15位英国0.792+7
16位フィリピン0.791+3
17位アルバニア0.791+1
18位スペイン0.791-1
19位モルドバ0.788-3
20位南アフリカ0.787-
21位スイス0.783-8
22位エストニア0.782+30
23位デンマーク0.780+9
24位ジャマイカ0.779+14
25位モザンビーク0.778+9
26位オーストラリア0.778+17
27位チリ0.777+20
28位オランダ0.777-
29位スロベニア0.773+10
30位カナダ0.770-5
31位バルバドス0.769-1
32位ポルトガル0.765-3
33位メキシコ0.765-2
34位ペルー0.764+3
35位ブルンジ0.763-11
36位アルゼンチン0.762-3
37位カーボベルデ0.761+8
38位セルビア0.760-15
39位リベリア0.760+39
40位フランス0.756-25
41位ベラルーシ0.752-5
42位コロンビア0.751+33
43位米国0.748-16
44位ルクセンブルク0.747+2
45位ジンバブエ0.746+5
46位エスワティニ0.745+12
47位オーストリア0.740-26
48位タンザニア0.740+16
49位シンガポール0.739-
50位エクアドル0.737-9
51位マダガスカル0.737-3
52位スリナム0.736-8
53位ホンジュラス0.735+29
54位ラオス0.733-1
55位クロアチア0.730n/a
56位ボリビア0.730-5
57位ブラジル0.726+37
58位パナマ0.724-18
59位バングラデシュ0.722+12
60位ポーランド0.722+17
61位アルメニア0.721+28
62位カザフスタン0.721+3
63位スロバキア0.720+4
64位ボツワナ0.719+2
65位ブルガリア0.715-23
66位ウクライナ0.714+15
67位ウルグアイ0.714+5
68位エルサルバドル0.714-9
69位モンテネグロ0.714-15
70位マルタ0.713+15
71位アラブ首長国連邦0.712-3
72位ベトナム0.711+11
73位北マケドニア0.711-4
74位タイ0.711+5
75位エチオピア0.711-1
76位ジョージア0.708-21
77位ケニア0.708-20
78位ウガンダ0.706-17
79位イタリア0.705-16
80位モンゴル0.704-10
81位ドミニカ共和国0.704+3
82位レソト0.702+5
83位イスラエル0.701-23
84位キルギス0.700+2
85位ザンビア0.699-23
86位ボスニア・ヘルツェゴビナ0.698-13
87位インドネシア0.697+5
88位ルーマニア0.697+2
89位ベリーズ0.696+6
90位トーゴ0.696+1
91位パラグアイ0.695-11
92位カンボジア0.695+6
93位ギリシャ0.693+7
94位カメルーン0.693+3
95位東ティモール0.693-39
96位ブルネイ・ダルサラーム0.693+8
97位アゼルバイジャン0.692+4
98位モーリシャス0.689+7
99位ハンガリー0.689-11
100位ガーナ0.688+8
101位チェコ0.685-25
102位マレーシア0.682+1
103位ブータン0.682+23
104位セネガル0.680+8
105位韓国0.680-6
106位キプロス0.678-13
107位中国0.678-5
108位バヌアツ0.678+3
109位ブルキナファソ0.676+6
110位マラウイ0.676+22
111位タジキスタン0.672+3
112位シエラレオネ0.667-3
113位バーレーン0.666+18
114位コモロ0.664+20
115位スリランカ0.663-5
116位ネパール0.659-20
117位グアテマラ0.659-4
118位アンゴラ0.656+7
119位ガンビア0.651+2
120位クウェート0.651+10
121位フィジー0.650-14
122位コートジボワール0.650+11
123位ミャンマー0.650-17
124位モルディブ0.649-7
125位日本0.647-9
126位ヨルダン0.646-4
127位インド0.643+8
128位チュニジア0.642-8
129位トルコ0.638-5
130位ナイジェリア0.637-7
131位サウジアラビア0.637-4
132位レバノン0.628-13
133位カタール0.627+4
134位エジプト0.626-5
135位ニジェール0.622-7
136位モロッコ0.621-
137位ギニア0.617-19
138位ベナン0.616-
139位オマーン0.614-
140位コンゴ民主共和国0.612+4
141位マリ0.605-
142位パキスタン0.575+3
143位イラン0.575-
144位アルジェリア0.573-4
145位チャド0.570-3
146位アフガニスタン0.405-

2020年・2021年・2022年のランキング

過去のランキング結果は下記より確認できる。

2022年

【2022年】ジェンダーギャップ指数ランキング 世界と日本の現状・今後の課題は

関連記事

2021年

【2021年】ジェンダーギャップ指数ランキング 日本と世界の現状、コロナの影響は

関連記事

2020年

2020年版「ジェンダーギャップ指数」で日本はG7最下位に 主要国のランキングと男女格差の問題点 

関連記事

日本は世界125位 過去最低にランクダウン

日本の順位を見てみると、世界125位で前年のランクより9下がった。これは過去最低で、年々下落している傾向にある。

G7(主要7か国)の順位を見ると以下のとおり、日本が最下位だ。

・ドイツ(6位)
・英国(15位)
・カナダ(30位)
・フランス(40位)
・米国(43位)
・イタリア(79位)
・日本(125位)


またアジアの近隣諸国を見ても、日本はそれを下回っていることがわかる。

・シンガポール(49位)
・ベトナム(72位)
・韓国(105位)
・中国(107位)


日本がこれほど低くランキングされた原因は何にあるのか。ジェンダーギャップ指数算出のもととなる4分野のスコアと順位を見てみよう。

分野スコア(順位)前年のスコア(順位)
経済0.561(123位)0.564(121位)
政治0.057(138位)0.061(139位)
教育0.997(47位)1.000(1位)
保健0.973(59位)0.973(63位)

政治分野が世界でも低水準

4分野のスコアと順位を見ると、とくに政治の分野が低いことがわかる。146か国中の138位と、世界的にも低水準だ。これは、女性の首相が誕生していないことや、衆議院における女性議員の比率が9.7%と1割にも満たない(※2)ことが原因だ。日本では、政治分野における男女のギャップが大きいとみなされている。

女性管理職の少なさも課題

日本は経済分野における順位も123位と低い。企業における女性管理職が少なく、男女の賃金格差なども課題だ。

2022年に行われた調査で、日本における管理職に占める女性の割合は、平均9.4%だった(※3)。これは過去最高の水準であるが、世界レベルでみれば依然として低く、日本政府は「2020年代に可能な限り早期に30%程を目指す」としているが、その目標にはまだ遠いのが実情だ。

教育・保健分野はまずまず

一方で、教育と保健分野はまずまずの水準だ。教育については、前年は1.000で世界1位だったが、2023年のジェンダーギャップ指数では高等教育就学率の男女比が加わったことで、若干スコアと順位を落とすこととなった。保健については、前年とスコアは変わらなかった。

2023年ランキングから見える5つのポイント

(1)1位のアイスランドは14年連続

ジェンダーギャップ指数で1位だったのはアイスランド。14年連続で首位を維持している。これまで女性たちが声を上げてきたことで、男女の賃金格差が解消され、国会議員や企業の管理職には多くの女性が活躍している。

(2)上位を占めたのはヨーロッパ諸国

1位のアイスランドをはじめ、2位はノルウェー、3位はスウェーデンと、上位にはヨーロッパの国々が並んだ。いずれも4分野について平均的に高いスコアから、ジェンダーギャップが少ないと評価されている。世界経済フォーラムでは、ヨーロッパでは今後67年間でジェンダーギャップが解消されると予測している。

(3)下位の国は、アフガニスタン・チャド・アルジェリア・イラン

ジェンダーギャップ指数が著しく低い結果になったのは、アフガニスタンチャドアルジェリアイランなどの国々だ。前年に続き最下位となったアフガニスタンでは、タリバン政権のもと、女性は行動範囲を制限される生活を余儀なくされている。多くの支援団体などが、女性のエンパワメントを呼びかける活動などを進めているが、解消への道のりは遠い。

(4)世界的にコロナ前の水準に回復

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、男女格差に大きな影響を与えた。多くの人々が仕事を失い、ワクチン接種や治療の面でも地域や国で格差が生じた。そのようななかで、これまで改善が見られていた男女格差が新たに浮彫になったケースもあっただろう。しかし2023年のジェンダーギャップ指数では、世界の男女格差はコロナ前の水準まで回復したと評価されている。

(5)世界の男女格差が解消されるのは132年後

世界全体で見ると、ジェンダーギャップは年々縮小傾向にある。とはいえ、まだ男女格差が存在する国が大半だ。世界経済フォーラムでは、世界のジェンダーギャップの解消には、あと132年かかるとしている。

※掲載している情報は、2023年7月11日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends