Photo by One Bowl
ボランティアで運営されているデンマークのコミュニティ・キッチン「One Bowl」。毎週日曜日に寄付制で食事を提供しており、経済的・社会的状況にかかわらずさまざまな人が集まり、一緒に食事をすることができる。日本で広がる「子ども食堂」の大人版といった様子だ。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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Photo by One Bowl
「世界一幸福な国」と呼ばれるデンマークから、食糧難を思い浮かべる人はあまりいないかもしれない。しかし世界的なインフレや、それに伴う生活費の増大などもあり、実は生活に不安を覚える人も増えてきている。
そんなデンマークで広がりつつあるのが、「フェッレスピースニン(fællesspisning)」と呼ばれる取り組みだ。コミュニティ・スペースや文化施設、飲食店などが手頃な価格で食事を提供し、さまざまな背景を持つ人々が同じテーブルについて食事をともにする。
コペンハーゲンで活動する「One Bowl」もまた、こうした取り組みの一つだ。彼らは現在、毎週日曜日の17〜21時にオープンしており、プラントベースの食事を寄付制で提供している。運営はすべてボランティアで行っており、寄付で集まったお金はOne Bowlの運営や、食料不安を抱える人たちのために使われる。
Photo by One Bowl
One Bowlで食事をつくるボランティアの人たち
One Bowlが掲げるミッションは、経済的な地位や能力に関係なく、あらゆる背景や立場の人たちにおいしい食事を提供すること。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17ある目標の2つ目「飢餓をゼロに」を指標に、すべての人に平等な食事の機会と安全な場所を提供することを使命としている。
またコミュニティ・キッチンの取り組みにおいて重要な要素となるのが、友人や家族とだけでなく、見ず知らずの人と一緒にテーブルを囲み、そこで新しい会話や交流が生まれることだ。One Bowlを訪れる人々も、地元の人々がいれば、観光客やお金のない学生、移民、家族連れなど、さまざまな背景を持つ人が集まる。
Photo by One Bowl
4月に開催された夕食会では、「Turkish Night」と題してトルコ風の料理が振る舞われた
昨今、多様な働き方や家族のあり方が浸透してきた一方で、大都市で一人暮らしをしていたり、コロナ禍でなかなか人と気軽に会うことが叶わなかったりと、人知れず孤独を抱えている人も多いかもしれない。
そんななか、週に一回One Bowlのような場所に出向き、誰かと食事をしたり、ちょっとした日々のできごとを話したり。そんな場所が自分たちの身近にあったらどんなに幸せだろうか。こうした人の温かさに触れることができる取り組みが、今後ますます広がっていくことが期待される。
※参考
One Bowl
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