COP27閉幕 結果はどうなった?合意のポイント3つと知っておくべきこと

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2022年11月にエジプトで開催されたCOP27。各国の代表が集まり、地球温暖化を防ぐ枠組みについて、どんな議論が行われ、どんな結果が出たのか。「シャルムエルシェイク実施計画」や「損失と損害」など、合意のポイントをわかりやすく解説しよう。また日本が行った内容も紹介する。

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2022.12.01
EARTH
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COP27とは

COP27は「Conference of the Parties」の略で、「国連気候変動枠組条約の締約国会議」のこと。約200か国の代表が集まって年に一度、地球温暖化を防ぐ枠組みについて議論する場で、2022年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクで第27回目の会議が開かれた。

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COP26の振り返り

前回のCOP26では「グラスゴー気候合意」が採択された。この主な内容は、石炭火力発電を段階的に削減し、非効率的な化石燃料補助金を段階的に廃止するというもの。ただ石炭火力発電を「段階的に削減する」と弱い表現であったことから、多くの批判が生まれた。

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COP27結果概要 「シャルムエルシェイク実施計画」とは

COP27の結果は、開催地にちなんで「シャルム・エル・シェイク実施計画」が採択されたことだ。この計画の主な内容は以下の通り。

「損失と損害」途上国への支援基金の創設

COP27は、気候変動による「損失と損害」への対応を中心とした議論が行われた。温室効果ガスを排出し気候変動の原因をつくっているのは主に先進国であるのに、洪水、干ばつ、森林火災などの気候変動が原因となった災害によって、開発途上国が大きな被害を受けている。そこで国際社会として、途上国を支援する基金を設立することで合意した。

気温上昇を1.5℃に抑えるさらなる努力

パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前の1.5℃以内に抑える」目標に向けて、温暖化ガス排出量をさらに削減する新しい目標が示された。2030年で、2019年比の43%削減を目指す。

再生可能エネルギーの拡大

化石燃料から再生可能エネルギーへの拡大をさらに進めるため、2030年までに年約4兆ドルの投資を行うことが盛り込まれた。

COP27の結果 抑えておきたい3つのポイント

(1)「損失と損害」の基金設立は大きな転換点

これまでも「損失と損害」について議論がされてきたが、COP27では初めて中心の議題となった。反発も生まれるなか基金の創設に至ったことは、大きな進展といえる。ただし、誰が基金を負担するかといった内容は、次回(COP28)以降の議論に持ち越された。

(2)化石燃料の「段階的な廃止」は無し

COP26でも議論となった、化石燃料からの脱却。「段階的な廃止」を支持する国が多数あるものの、一部の国からは反対する声があがり、「段階的な削減」と弱めた表現にとどまっていた。

COP27では、これを踏み込んだ表現に進められるか注目され、「段階的な廃止」を80か国以上が支持していたという。しかし、結果的に「段階的な廃止」の合意とはならなかった。このことを失望する声も大きい。

(3)危ぶまれる1.5℃目標

パリ協定で目指す気温上昇1.5℃に向けて、過去1年間で20か国以上が目標を引き上げた。しかし、それを達成しても1.5℃の到達は難しいという。COP27では改めて新たな目標が示されたが、パリ協定達成の危機的状況にあるといえる。

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日本がCOP27で行ったことは?

日本からは西村明宏環境大臣がCOP27に出席。インド、ウクライナ、中国、EUなど21か国・地域・国際機関の代表と会合を行った。

また「損失と損害」の問題に関しては、事前防災から災害支援、技術的支援などを組み合わせた「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害支援パッケージ」を発表。さらに、パプアニューギニアと二国間クレジット制度(JCM)の構築について協力する覚書に署名を行った。

しかし、アメリカのバイデン大統領、イギリスのスナク首相、フランスのマクロン大統領など、各国の首脳が出席していたのに、日本の岸田首相は欠席。そのようなことも一因となり、日本は「化石賞」という不名誉な賞を受賞している。

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「損失と損害」において、基金の設立が合意されたことは高く評価されているが、一方で気候変動危機を乗り越えるための野心的な目標が示されなかったことに対する失望の声もあがっている。

国連は、各国が地球温暖化対策を強化しなければ、今世紀末には2.8℃まで上昇すると報告している。これまで以上の対策を求められることはもちろん、温暖化を少しでも食い止める一人ひとりの心がけが必要になることは間違いないだろう。

※掲載している情報は、2022年12月1日時点のものです。

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