Photo by Latitude Craft Chocolate
農薬や化学肥料に頼らず有機栽培されたカカオをつかったオーガニックチョコレート。本記事では、フェアトレードなどに注目しオーガニックチョコレートの選び方から、有機JAS、USDAオーガニックなどの認証を取得したおすすめオーガニックチョコレートをカカオ原産地の情報とあわせて紹介する。
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オーガニック栽培(有機栽培)とは、農薬や化学肥料に頼らない栽培方法のこと。農薬や化学肥料を長い期間使用していると、土中にいる微生物にも影響を及ぼし、生態系のバランスが崩れる。やがて土壌がやせて、作物が育ちにくい環境になってしまう。また農薬や化学肥料は、農業に従事している人にも影響を与えている。
そのため、できる限り農薬や化学肥料の使用量を抑えて、環境への負荷を小さくするオーガニック栽培が求められている。またオーガニック栽培では、遺伝子組み換え技術を使用しておらず、素材本来のおいしさを感じられる特徴があるだろう。
チョコレートができるまでには、長い道のりを経ることになる。
チョコレートの原料に欠かせないのが、カカオの存在。カカオはとても繊細で、栽培が難しいといわれている。温度、湿度、降水量、日射量などによって、生育に適した環境が限られる。苗から育てたカカオが成長し実を結ぶまでは、3~4年ほど。この実を収穫する。
カカオの実を収穫したら、まずカカオ豆を取り出す。カカオ豆を覆っているパルプごと、木箱やバナナの葉などで包み、5〜7日ほど放置して発酵させる。そのあと天日や機械でカカオ豆を乾燥させ、麻袋に入れて倉庫に保存。この状態で加工する場所へと運ばれていく。
カカオ豆はまず焙煎が行われ、香りと風味が引き出される。このときにかける時間や設定する温度の違いが、チョコレートの味わいに大きく影響する。焙煎の後は、カカオ豆を粗く砕き、殻などを取り除いてカカオニブを取り出す。さらにカカオニブを細かくすりつぶしペースト状にする。このペースト状のものはカカオマスと呼ばれ、チョコレートの主原料になる。
カカオマスに砂糖、カカオバター、乳製品などを混ぜ合わせる。この後に長時間練る作業を経て、口溶けのいいチョコレートになる。温度を調整し、型に流し込んで冷やし固め、型抜きをすると、チョコレートの完成だ。
一般的なチョコレートには、カカオを生産する工程で、油脂や乳化剤、保存料などの添加物を加えられる。それに対して、オーガニックチョコレートをつくるメーカーは原料にこだわり、品質のいいものを厳選していることが多い。カカオマスを主な原料に使用し、それ以外の原料が少ないことが特徴だ。シンプルな原材料で、添加物が少ないものが多いと言える。
オーガニックチョコレートは、農薬や化学肥料に頼らず、自然に近い農法で栽培されたカカオを使っているため、栄養価や安全性が高い。しかも添加物が少ないものが数多いことから、子どもや健康志向の方が安心して食べられる。
Photo by Tetiana Bykovets on Unsplash
オーガニックチョコレートを探すとき、どのように選んだらいいだろう。オーガニックチョコレートの選び方では、2つのポイントに着目してみるといい。
オーガニック製品かどうか見分けるときにわかりやすい目印となるのが、各種の認証だ。オーガニックチョコレートの場合は、主に次の4つの認証に注目してみよう。
「B Corp(Bコープ)」とは、「B Corporation(Bコーポレーション)」の略。社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度で、企業のあり方を認証する。具体的には、環境や社会に配慮した事業をおこない、透明性や説明責任などといった、B Labが定めた厳しい基準をクリアした企業に対して与えられる。
有機JAS制度とは、有機食品であることを証明するための日本の認証制度。2001年に制定されたJAS法(日本農林規格等に関する法律)にもとづいて、有機JASに適合した生産が行われていることを第三者機関が検査・認証する。
アメリカのオーガニック認証制度。アメリカ農務省(United States Department of Agriculture、USDA)が運営を行っている。
EUの政策執行機関である欧州委員会(Europian Commission)が制定するオーガニックの規則に則って生産・加工されたものであることを証明する制度。EU加盟国で、「オーガニック」と表示して商品を販売する際に必要となる。
フェアトレードとは、開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目的とした「公平な貿易」の仕組み。開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す。 オーガニックであるだけでなく、現地の労働者に配慮されたフェアトレードなものをぜひ選ぼう。
ウガンダ西部で栽培されたカカオと、ブコンゾ地区のアラビカコーヒーを使用し、カカオ農園からチョコレート製造までを一貫しておこなっている「Farm to Bar」を実現したチョコレート。カカオ70%で、同じ地区で育ったコーヒーの苦味が見事に調和している。コーヒーの木をモチーフにデザインした、おしゃれなパッケージを目印にして。
フレーバー | コーヒー |
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カカオの原産国 | ウガンダ |
認証 | Bコープ |
カカオ含有量 | 70% |
オーガニックはもちろん、フェアトレードな製品にこだわる「ピープルツリー」。厳選した原材料だけを使い、乳化剤などの添加物を使わず、伝統的な練り技術によって、カカオの香りとまろやかさが引き出されている。また、代替油脂ではなくココアバターを使用しているので、とろけるようなおいしさ。糖分はサトウキビの絞り汁を煮詰めた黒糖や粗糖を、チョコの風味に合わせて使い分けている(ココナッツシュガーを使用しているものもあり)。季節限定品。
フレーバー | ミルク、ヘーゼルナッツ、オレンジなど |
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カカオの原産国 | ボリビア、ペール |
認証 | 有機JAS、EUオーガニック |
カカオ含有量 | 58%~75%(ベジシリーズの場合) |
カカオをローストせず、生のまま使用してつくられている本格的なローチョコレート。原材料はすべてオーガニックで、一つ一つ手作業でつくられている。独特の歯ごたえと、噛んだときのホロホロ感は、他のチョコレートでは味わえない新感覚だ。乳製品や大豆、小麦を全く使用していないので、アレルギーがある人やヴィーガンの方も安心して食べられる。
フレーバー | ミント、フィグ&ワイルドオレンジなど |
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認証 | 有機JAS、EUオーガニック、ヴィーガン協会など |
カカオ含有量 | 36%~55% |
カカオマス、ココナッツシュガー、ココアバターなど、原材料のほとんどがオーガニック。生のカカオ豆は焙煎ではなく冷砕されており、加工の間も45度以下で処理されているローチョコレートだ。また、精製糖を使わず、ココヤシ花の乾燥蜜で甘さを出している。
フレーバー | アサイー、ココナッツ、アーモンドなど |
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カカオの原産国 | ポーランド |
認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 70%など商品により異なる |
健康、持続可能、公正を理念とするオーストラリア発「Loving Earth(ラビングアース)」社のオーガニックローチョコレート。ペルーのアマゾンで育った最高級のカカオを使用している。製造工程はすべて低温で行われるため、カカオの栄養価が損なわれにくい。乳製品フリー、グルテンフリー。砂糖の代わりにココナッツネクターで甘さを出している。
フレーバー | クリーミーココナッツ |
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カカオの原産国 | ペルー |
認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 47% |
ペルー産のカカオを使用し、その特徴を活かすためにカカオの木の栽培から加工まで一貫して製造されている「Tree to Bar」のオーガニックチョコレート。白砂糖は使わず、ブルーアガベからつくられるアガベシュガーを使用。アレルゲン原料不使用の専用工場でつくられているので、アレルギーの心配がある方にもおすすめ。
フレーバー | ゴールデンベリー、カカオニブ、ピンクソルト |
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カカオの原産国 | ペルー |
認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 70% |
トランス脂肪酸や乳製品、上白糖を使わず、すべてオーガニックの原料だけでつくられているダークチョコレートだ。カカオ70%含有のチョコレートに、アサイーなどのスーパーフルーツを配合。なめらかな口あたりとおいしさを実現し、サプリメント感覚で食べられる、栄養成分たっぷりで身体にやさしいチョコレートだ。
フレーバー | アサイー/バオバブ、クランベリー、アーモンド&チアシード |
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認証 | 有機JAS、EUオーガニック認証、USDA |
カカオ含有量 | 70% |
乳化剤や他の植物油脂は使わず、ココアバターのみを使用して原料をじっくり練り合わせ、なめらかな舌触りとカカオ本来の香りを引き出したチョコレート。カカオや砂糖は、フェアトレードによって調達されたものを使用しており、そのほかの原料も農薬や化学肥料に依存せず、自然の生命力を重視して育てられたものを厳選している。
フレーバー | ヘーゼルナッツ |
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認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 38% |
香りや味わいに高い評価がなされているパナマ産のカカオを使用した、ダークチョコレート。低GI食品として知られるココナッツシュガーで、すっきりとした甘さに仕上がっている。原材料のカカオマスやカカオバター、ココナッツシュガーはすべてオーガニックのもので、乳化剤は使われていない。
フレーバー | エキストラダーク |
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カカオの原産国 | パナマ |
認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 92% |
保存料や着色料などの添加物を一切加えず、オーガニックのフルーツやナッツをベースに、極力白砂糖を使わず製品をつくるドイツ・ルブスの有機フルーツバー。チョコレートブラウニーは、濃厚でビターな味わいと、ナッツの食感、さらにチョコレートの風味があわさった栄養満点の1本だ。グルテンフリー、ノンシュガー。同社では、フェアトレードにも積極的に取り組んでいる。
認証 | 有機JAS、ヴィーガン認定 |
カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行う「Bean to Bar」のチョコレート。中南米産カカオが持つ花のような香りを楽しめる、バランスがとれた味わいのオーガニックダークチョコレートだ。「bjornsted(ビヨンステッド)」はドイツの老舗チョコレートメーカーで、カカオの味わいや香りを引き出す伝統の技を生かしている。
フレーバー | ダーク |
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カカオの原産国 | エクアドル他 |
認証 | 有機JAS |
カカオ含有量 | 70% |
オーガニックの原料のみでつくられた「Bean to Bar」のチョコレート。カカオ豆を焙煎しない製法を用いているため、カカオに含まれる酵素が壊されず、体内バランスを整えてくれる効果が期待できるという。カカオ豆を6週間、バーボンの古樽に入れて香りのみをつけている。グルテンフリー、ナッツフリーのロー&ヴィーガンチョコレート。
フレーバー | バーボン キャスク エイジド |
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カカオの原産国 | ベリーズ(フレーバーにより異なる) |
認証 | USDAオーガニック認証 |
カカオ含有量 | 82% |
ペルー産のフェアトレードカカオをはじめ、原材料はすべて有機の認定を受けた原料のみを使用。カカオニブ、カカオバター、ココアパウダーなど原材料は自社製造だ。カカオ100%でありながら、酸味が少なく苦味がまろやかなのが特徴で、カカオそのものの味を楽しめる。白砂糖は使わず、低GI値食品の有機アガベシュガーのみを使っている。
フレーバー | ダークカカオ |
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カカオの原産国 | ペルー |
認証 | USDAオーガニック認証、有機JAS、EUオーガニック |
カカオ含有量 | 100% |
「RinWell(リンウェル)」は、徹底的に安全性と高品質を追求したメイドインジャパンのブランド。ヘンプに含まれるCBD(カンナビジオール)という成分を配合したプロダクトを展開している。ベースのチョコレートは有機カカオマス、有機きび砂糖、有機カカオバターを使用し、CBDはUSDA認定のオーガニックの畑から収穫され、抽出されたものが使われている。
フレーバー | ストロベリー、ミルク、ダーク、抹茶など |
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認証 | USDAオーガニック認証 |
カカオ含有量 | 32~70% |
母乳に匹敵するほどのラウリン酸を含むココナッツパルプ(繊維)と、クリオロ種カカオからつくられているイタリアメーカーのローチョコレート。加熱しない生のカカオ豆から、栄養をそのまま摂ることができるので、健康を意識しているひとにおすすめ。原材料はオーガニックのものを使用し、白砂糖不使用。
フレーバー | オレンジピール |
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認証 | EUオーガニック |
カカオ含有量 | 80% |
「Cachet(カシェ)」は、ベルギーで30年以上続くチョコレートメーカー。チョコレートで人と地球を幸せにするという想いは、世界65カ国で長く愛されている。風味豊かなカカオと、ケインシュガー(サトウキビ糖)を使用することにより、カカオの風味が活かされている。オーガニックチョコレートは5種類のフレーバーがある。
フレーバー | シーソルト、キャラメル&シーソルト、ミルク、チェリー&アーモンド、エキストラダーク |
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認証 | EUオーガニック |
カカオ含有量 | 40~85% |
北欧・エストニアのチョコレート職人が、1枚1枚丁寧につくり上げているチョコレート。42℃以下に徹底管理された究極のローチョコレートで、伝統的な石臼で原料を混ぜ合わせるハンドクラフトで製造されている。また、動物性原料を一度も使用したことがないヴィーガン対応工場でのみ製造するという徹底ぶりだ。
フレーバー | スパイス、ストロベリー、ブルーベリー他 |
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カカオの原産国 | ペルー |
認証 | EUオーガニック |
カカオ含有量 | 42~77% |
イタリアで有名なオーガニックブランドの「alce nero(アルチェネロ)」が、チョコレートを専門とするスイスのパートナー生産者に依頼してつくったオーガニックチョコレートだ。南アメリカの有機農家が丁寧に育てたフェアトレード認証の有機原料を使用している。ダークチョコレートは、カカオ分75%で程良いほろ苦さと酸味を楽しめる。
フレーバー | ダーク |
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認証 | EUオーガニック、有機JAS、フェアトレード |
カカオ含有量 | 75% |
開発途上国の生産農家から公正な価格でカカオを購入することで、生産者や労働者の仕事が正当に評価され、より良い状況で生活ができるように支援している、フェアトレードのチョコレート。他の植物油脂を使わず、体温と同じ温度で溶けるココアバターだけを使用しているため、まろやかでやさしい口溶けが特徴。
フレーバー | アーモンドキャラメルシーソルト、ミルク、ジンジャー&レモン他 |
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認証 | EUオーガニック、フェアトレード |
有機ホワイトチョコレートをベースに、ヘーゼルナッツペーストとヌガークリスプを練り込んだチョコレート。原料は100%有機を使用している。また、梱包まで可能な限り環境に配慮し、チョコレートを包む透明の袋には、持続可能な方法で収穫された木部繊維からつくられた天然フィルムを使用している。乳製品不使用で、ヴィーガンやベジタリアンに対応。
フレーバー | ホワイトヌガークリスプ |
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認証 | EUオーガニック、有機JAS |
カカオ含有量 | 38% |
見た目は普通のチョコレートだが、ココアやチョコレートに味が似ているキャロブ(いなご豆)というマメ科の植物を使用した「カルッバード」と呼ばれるお菓子。果実自体に甘みがあるため、砂糖不使用。カカオを使わずキャロブを用いているので、チョコレートとはひと味違う味わいを楽しめる。キャロブは農薬を使用せずにオーガニックで栽培したものを使用している。
フレーバー | オレンジ、ヘーゼルナッツ、ジンジャー |
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認証 | EUオーガニック |
国内産のオーガニックチョコレートは数少ないが、海外産に目を向けてみると、多くのメーカーから、さまざまなフレーバーが展開されていることがわかる。味はもちろんのこと、ブランドストーリーや原材料に対してもこだわりが詰まっているので、吟味してお気に入りを見つけてみてはいかがだろう。
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