預金を石油・軍事産業に投資しない グリーン企業を支援するドイツの銀行「Tomorrow」

ドイツのサステナブルな銀行「Tommorow」のデビットカード

Photo by Tommorow

ドイツで2018年に設立されたオンライン銀行「トゥモロー(Tomorrow)」。銀行に預けられたお金を石油産業や軍事産業に一切投資せず、環境保護や人権保護につながる事業にのみ投じている。Bコープ認証も取得したサステナブルな銀行を紹介しよう。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2022.10.24
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サステナブルな銀行「Tomorrow」 具体的な取り組みは?

私たちがふだん当たり前のように利用している銀行。しかしその預金が、銀行によってどのように運用されているのか、あまり考えたことがないという人も多いのではないだろうか。

2016年に採択されたパリ協定以降、世界の大手銀行は2兆7000億ドル(約400兆円)以上を化石燃料に投資しており、ほかにも軍事産業、工場式の大規模農業など地球環境や人類の破壊につながりかねない産業への投資が数多く行われている。

そんな世界のお金の流れを根本から見直そうとするのが、2018年にドイツ・ハンブルクで設立されたオンライン銀行の「トゥモロー(Tomorrow)」だ。

トゥモローでは預金の運用先として、グリーンボンドへの投資を行っている。グリーンボンドとは、環境保護に関する取り組みのための資金調達を目的として、発行される債券のことだ。

グリーンボンドとは? 4つの種類とサステナビリティ観点のメリット

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トゥモローがこれまでに投じた金額は、112.5万ユーロ(約163億円)。ドイツ連邦のグリーンボンドや、ドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン州立開発銀行のグリーンボンドなど。風力発電所の建設や再生可能エネルギーの拡大、クリーンな交通手段の整備などに使用されてきた。

さらに、トゥモローのクレジットカードは、使用するたびに森林再生プロジェクトに寄付される機能がある。そのほか、利用金額に応じて使用したもののCO2排出量がわかる機能もあり、ふだんの生活で地球環境問題について意識できる仕組みが取り入れられている。

創業者はソーシャルビジネスのエキスパート3人

ドイツのサステナブルな銀行「Tommorow」の共同創業者

Photo by Tommorow, ©︎Michi Schunck

「トゥモロー」の共同創業者。左から、ミヒャエル・シュヴァイカート、イナス・ヌレルディン、ヤコブ・ベアント。

トゥモローのアイデアは、創業者の一人であるイナス・ヌレルディン(Inas Nureldin)のある疑問から始まった。「私たちのお金は、銀行に預けられている間、どのような働きをしているのだろう? そして、そのお金をどう使えば、ポジティブな変化を生み出せるのか?」

ヌレルディンはそれ以前から、食品業界のサプライチェーンに透明性をもたらすため「Muddy Boots」という会社を起業するなど、ソーシャルビジネスに取り組んできた。

そんな彼に加わったのが、ミヒャエル・シュヴァイカート(Michael Schweikart)と、ヤコブ・ベアント(Jakob Berndt)だ。シュアヴィカートは、エアランゲンとベルリンで経営コンサルタントとして経験を積み、難民の就労を支援するプラットフォーム「jobs4refugees」の立ち上げと設立にも関わっている。

またベアントは、2017年まで開発支援とソフトドリンクを組み合わせたソーシャルビジネス「Lemonaid&ChariTea」の共同創業者兼マネージャーを務めてきた。

ビジネスを通してそれぞれ社会問題に取り組んできた三人が手を組み、トゥモローのチームが生まれたのだ。

グリーンな企業を支援 Tomorrowが目指す「新しい銀行」

Tomorrowの世界初の木製デビットカード

Photo by Tomorrow

オーストラリアで持続可能な方法で育てられた桜材を使った、世界初という木製のデビットカード。使い捨てプラスチックの使用量を、通常のカードより80%節約できるという。

スタートアップの銀行と聞くと、信頼性に不安を感じる人がいるかもしれない。トゥモローは、実は正式な銀行業の免許を持っておらず、ベルリンに拠点を持つSolarisbankと提携している。そのためトゥモローの口座に預けられた預金は、最大10万ユーロまで預金保証の対象となっている。

Solarisbankは、主に欧州のフィンテック企業に銀行サービス機能を提供しており、ドイツ連邦金融監督庁が発行する銀行免許を保有している。銀行としての機能をSolarisbankが提供し、トゥモローがオンラインバンキングのアプリを運営するという仕組みだ。

またトゥモローは2020年に、環境や社会に配慮した企業に与えられるBコープ認証を取得しており、環境や社会、人に配慮した取り組みは折り紙つきだ。

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トゥモローは現在、ドイツだけでなく、オランダ、オーストリア、イタリア、フィンランドでも口座開設ができるなど、確実に認知を広げている。彼らが掲げるサステナブルな銀行は、世界のお金の流れを変え、地球や人類の未来のために投資を拡大すること。今後も注目すべき新しいサステナブルなビジネスの形だろう。

※参考
Tomorrow

※掲載している情報は、2022年10月24日時点のものです。

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