グリーンボンドとは、近年国内でも注目が高まってきている環境にやさしい債券を意味する。ここでは、グリーンボンドの種類や国際的に定められた原則、発券・投資する際のメリット、国内外の事例を解説する。
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グリーンボンドとは、企業や地方自治体などが、地球環境を改善するグリーンプロジェクトに充てられる資金を調達するために発行する債券を意味する。
主な投資家としては、ESG投資を行うことを表明している年金基金や保険会社や環境問題やESG投資に関心の高い個人の投資家、ESG投資を運用している運用期間が考えられる。
グリーンボンドは自己申告制であり、法律などで条件が定められているわけではない。したがって、グリーンプロジェクト以外に資金を回すなどの不正(グリーンウォッシュ)ががないよう調達資金が追跡管理され、透明性が担保されるという特徴がある。
さらに2014年には国際資本市場協会(ICMA)が、透明性を確保し取引の促進するため、グリーンボンド発行に関する自主的ガイドラインである「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)」を策定した。
「グリーンボンド原則」では、調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティングの4つに関して規定されている。
また日本国内では2017年に環境省が、国内におけるグリーンボンドの普及を図ることを目的とした「グリーンボンドガイドライン」を作成した。これらにより国内外で一気にグリーンボンドが普及した。
しかし他の債券と比較し、利回りが低いことから成長が伸び悩んでいるという側面もある。
グリーンボンド原則によると、グリーンボンドは償還原資等の違いにより以下の4種類に分けられる。
スタンダードなグリーンボンド。特定の財源によらず、発行体全体のキャッシュフローを原資として返済する債券のこと。
廃棄物処理事業など公的なグリーンプロジェクトのキャッシュフローや、そのプロジェクト関連の公共施設の利用料、特別税等を原資として返済する債券のこと。
再生可能エネルギー発電事業など、単一または複数のグリーンプロジェクトのキャッシュフローを原資として返済する債券のこと。
ソーラーパネルや自動車電気などのグリーンプロジェクトに係る通常複数の資産を担保とし、これらの資産から生まれるキャッシュフローを原資として償還を行う債券のこと。
国内で最初にグリーンボンドを発行したのは2014年で、日本政策投資銀行による2.5億ユーロのグリーンビルディング向け融資である。
その後、三井住友銀行や栗本ホールディングス、JAG国際エナジーなどが再生可能エネルギー事業や太陽光発電事業へグリーンボンドを発行している。2017年には自治体や企業による発行が急増した。
2007年に欧州投資銀行が世界で初めて6億ユーロのグリーンボンドを発行した。それ以降、国際開発金融機関による発行が大部分を占めていたが、2013年頃からは民間企業による発行も増加し、2019年には世界のグリーンボンド発行額は2,000億米ドルを超えた。
近年SDGsの影響もあり、国際的に国や企業の地球環境改善に対する姿勢が評価されることが増えた。グリーンボンドを発行することで、環境問題の解決に対して積極的な姿勢をアピールすることができ、社会的な支持を得ることができる。
またグリーンボンドを発行することで、ESG投資に関心の高い新たな投資家との関係を築くことができ、資金調達基盤の強化につながる。
投資観点のメリットでいうと、発行主と同様にグリーンプロジェクトに投資するということで環境問題改善に対する積極的な姿勢がアピールでき、社会的な支持の獲得につながりやすくなる。
プロジェクトボンドとして発行されるグリーンボンドについては、株式や債券等の伝統的資産との価格連動性が低いとされるオルタナティブ投資の側面がある。そのため、グリーンボンドに投資することは投資リスクを分散させることになる。
グリーンプロジェクトへの民間資金の導入が拡大すれば、地球環境の保全・改善に貢献できるだろう。
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