10月13日の「国際防災の日」とは 災害被害軽減のためレジリエンスの強化を

山火事で赤々と燃え上がる森林

Photo by Michael Held on Unsplash

10月13日は国際防災の日だ。国連が制定した、災害への危機意識と備えを世界的に啓発する一日である。災害はひとたび発生すれば人々の生命や暮らし、文化に大きな被害を与える。国際防災の日を機に、災害リスクと向き合い、軽減のためにできることについて考えてみよう。

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2022.08.25
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「国際防災の日」とは

国際防災の日とは1989年に国連が制定した国際デーのひとつである。英語では「International Day for Disaster Reduction」と表記され、直訳すると「災害リスク軽減のための国際デー」となる。危機意識と防災に関するグローバル文化の推進を重視し、災害に対する備えの充実、災害の被害軽減に通じる予防の啓発が目的だ。

国際防災の日を制定することとなったきっかけは、1989年から約20年さかのぼる。1970年、巨大サイクロンがバングラデシュを襲った。(※1)50万人もの被害者を出したこの自然災害は世界の防災意識を急激に高めた。翌年1971年に国連災害救援調整官事務所が設立され、グローバルな緊急援助のメカニズムが構築されはじめたのだ。

その後、過去20年間で起きた自然災害で300万人もの人命が奪われたこと、230億ドルの経済的被害が発生したこと、アフリカの干ばつによる人道危機の事実をふまえ、国連は1990年代を「国際防災の10年」と定義した。

そして1989年、「国際防災の10年」の活動方針を具体的に掲げ、それに基づき、国際防災の日の制定にいたったのである。

過去の国際防災の日

国際防災の日にちなみ、世界ではさまざまな取り組みがなされている。そのいくつかをご紹介しよう。災害大国と言える日本への注目も高い傾向だ。

UNU-IAS 重要インフラの安全と福祉、回復力の検証

2019年10月29日、UNU-IAS(国連大学サステイナビリティ高等研究所)は防災分野のASEANコラボレーションを開催。災害時における重要インフラの回復力、人々の安全と福祉への影響、ASEAN諸国のインフラ回復力の現状などについて検証された。

検証と同時に、災害が健康や日常生活にもたらすダメージ、その軽減を目指す取り組みの進捗についても認識が共有される機会となった。

日本国際問題研究所主催 防災ウェビナー

2021年10月19日、日本国際問題研究所は「防災の現在地とこれから:SDGs・気候変動の視点と日本のリーダーシップ」を開催した。共催は国連広報センター、UNDRR(国連防災機関)、駐日事務所、外務省である。(※2)

災害大国と言える日本が積み重ねてきた防災知見・経験・技術の再確認、昨今の気候関連災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含む複合災害への対策に強い関心が集まり、活発な意見交換がおこなわれた。

課題はレジリエンスの強化

国際防災の日を機に啓発がおこなわれる防災への取り組みには、課題としてレジリエンスの強化がある。SDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられているこのレジリエンスは、持続可能な社会の実現とグローバルな防災意識が深い関係にあることを示している。

SDGsではゴール1「貧困をなくそう」とゴール11「住み続けられるまちづくりを」でレジリエンスに強く言及している。ゴール1では困難な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動や異常気象における災害、経済・環境的なショックへの備えを高めるという内容だ。ゴール11ではダイレクトに災害に対するレジリエンス強化を掲げている。

そのためにはグローバルな防災意識の高まりと具体的な行動が必須であることは間違いない。各国ではすでに積極的に取り組み、誰ひとり取り残さないための社会への歩みがはじまっている。ことに過去の災害を契機とした取り組みである以下の3つに注目したい。

日本
東日本大震災を契機とした「仙台防災枠組」
アメリカ
ハリケーン・カトリーナを契機とした「TASK FORCE HOPE」
チェコ
モラバ川流域における洪水を契機とした防災情報提供

いずれも災害を予測し、被害を最小限に抑えるための考えかたとシステムである。この3つに限らず、世界では同様の考えと施策が広がっている。

とくに日本の仙台防災枠組ではビルド・バック・ベター(よりいい復興)が強く意識された。避けがたい災害のあとによりいい復興ができるよう、日頃から強靱な備えをすること、防災面の脆弱性を改善することによって、誰ひとり取り残さない社会の構築につなげる考えかたである。

「ビルド・バック・ベター(より良い復興)」とは 言葉の意味と世界の事例

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「レジリエンス」とは「強靱化」の意味を持つ。まさに防災とレジリエンス、そしてSDGsを重視した取り組みであると言えよう。

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暮らしのなかで実践したいフェーズフリー

地球で暮らす以上、人間は生涯のなかで大きな災害を経験する可能性がある。万一のために慌てないよう、日頃からの備えの強化は非常に重要だ。個人ができるレジリエンスのひとつでもある。

そこでフェーズフリーに注目したい。フェーズフリーとは防災に対する備えを意識した価値観である。ことさらに非常時だけに徹底した備えだけではなく、日常でも使えるアイテムを選択する。

「フェーズフリー」とは? “いつも”と“もしも”の垣根をなくす防災に対する新たな視点

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たとえば食料や水、トイレットペーパーのローリングストックは有効だ。工事現場のヘルメットは防災ヘルメットとしても使える。飲み口が広く保温性が高いステンレスボトルは非常時でも活用しやすい。太陽光を利用する充電器は日常で環境への配慮に、非常時には電源や情報収集手段の確保に役立ってくれるだろう。

日常づかいも防災にも “フェーズフリー”なエシカルグッズ

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日常生活を送るなか、つねに非常時を想定することは難しい。しかしふだんからフェーズフリーなアイテムを備え、利用することにより、いざという時にもQOLを保ちやすくなる。国際防災の日を機に、ぜひフェーズフリーについても考えてみたい。

※掲載している情報は、2022年8月25日時点のものです。

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