レジリエンスの意味とは? SDGsにも登場、持続可能な社会づくりの鍵に

砂漠であぐらをかく女性

ビジネス社会で注目されるキーワード「レジリエンス」。耳にする機会は多いものの、具体的な意味をつかめない人に向けて、基本的な知識を解説する。意味や使い方とともに、これからの時代に欠かせないSDGsとの関連性についてもチェックしておこう。

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2021.04.16
SOCIETY
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レジリエンスの意味とは

白いデスクでパソコンを操作する人

Photo by Tyler Franta on Unsplash

レジリエンス(resilience)とは「自発的治癒力」を意味する言葉である。さまざまな環境や変化に順応し、そのなかで生き延びる力のことで、これから先の社会で重要視される能力の一つである。レジリエンスの語源は、ラテン語の「resilire」および「resilio」だと言われている。どちらも「跳ね返る」という意味の言葉だ。

レジリエンスの対義語は「脆弱性(vulnerability)」である。レジリエンス単体では、うまくイメージするのが難しい場合でも「もろさの対義語」と捉えると、その意味を捉えやすいだろう。外力を加えられ、いったん押しつぶされたとしても、すぐにその力を押し返し、自己回復していく力こそがレジリエンスである。

言葉の使い方とこれまでの歴史

レジリエンスという言葉が科学分野で最初に使われたのは、1625年の「Sylva Sylvarum」という本のなかでのことだった。著者は哲学者のフランシス・ベーコン。その後16世紀から17世紀にかけて、レジリエンスという言葉は「跳ね返って戻る」という意味で使われていた。

19世紀に入ると、言葉の意味に少し変化が生まれる。「弾力性」という意味のほか、「困難にぶつかった際に精神的に立ち直る力」という意味で使われるケースも。地震の復興から立ち直っていく様子に対して、レジリエンスの類義語であるレジリエンシーが使われたこともあった。1850年代には、レジリエンスは力学の分野で用いられるようになる。

近年、レジリエンスという言葉を耳にする機会が多いのは、人間の精神や心理面を表す場面である。心理学では1950年代から、1990年代からは社会学や生態学でも多く使用されている。

2013年に開催された世界経済フォーラムでは、各国の国力をレジリエンスで評価。また東日本大震災においても、日本のレジリエンスが注目された。震災被害に負けず前向きに生きる人々の力こそが、「自発的治癒力」であった。

レジリエンスに近い言葉として、「レジリエント」があるが、これは「弾力性のある」という意味である。たとえばレジリエント企業とは、「困難を柔軟に受け止めた上で、それを糧にしてさらに成長する企業」を示す。

社内の人材の適応力を示すためにレジリエンスという言葉を使用するケースも増えているが、この場合に混同しやすいのが以下の3つのワードである。

・メンタルヘルス
・ストレス耐性
・ハーディネス(頑健性)

メンタルヘルスは人間の心を支えるためのサポートを指し、ストレス耐性は単純に「ストレスに耐える力」を指す。ハーディネスは「ストレスによって傷つかない力」だ。レジリエンスの特徴は「回復力」にある。ストレス耐性やハーディネスと密接に関わっているものの、実際には区別して使われている。

SDGsでも注目されるレジリエンス

葉っぱに乗った水滴

Photo by Aaron Burden on Unsplash

2030年までに世界で取り組むべき17の目標と、それを達成するための具体的な169のターゲットで構成されるSDGs。このなかにも、「レジリエンス」「レジリエント」という言葉はたびたび登場する。これらのキーワードが持続可能な社会の実現に向けて、欠かせないものだとわかる。

レジリエンスが登場するのは、以下の4つの目標である。

1. 貧困をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう

貧困対策においては「2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する」とある。

困難な状況にある人々が、さまざまな要因でさらなる困難に直面した際、それを乗り越えるために必要となるのがレジリエンスだ。周囲の支えはもちろん必要だが、自分たち自身で回復していく力を身につけていくことで、持続可能な社会の実現につながるだろう。このほかにも、気候変動や災害に対するレジリエンスの強化が重要とされている。

レジリエントは以下の3つの目標内で使われている。

2.飢餓をゼロ
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを

レジリエントな農業の実践が世界の飢餓問題の解決につながり、レジリエントなインフラ開発は開発途上国の支援強化につながっていく。このように、レジリエンス・レジリエントは、社会問題を解決するためのキーワードにもなっている(※1)。

言葉の定義とその対象

レジリエンスという言葉には明確な定義はなく、分野によって捉え方が異なっている。いまの社会で注目されているのは、災害時の国家としてのレジリエンスや、ビジネスパーソンとしての個人的レジリエンスである。

国家としてのレジリエンスが高ければ、災害や環境問題など、困難に直面したときでもしなやかに回復。一時的に国力が下降しても、速やかかつ持続的に、以前の状態へと戻していけるだろう。

また、個人レベルでもレジリエンスを高めることで、さまざまな効果が見込める。ストレスに負けず集中力やパフォーマンスを維持し、さらなる成長へとつなげていけるはずだ。

レジリエンスが必要性となる4つの具体例

タブレットを見ながら談笑する四人の男女

Photo by Brooke Cagle on Unsplash

ストレスフルな社会を生き抜く術

ストレスフルな社会への適応ストレスフルな現代において、これまでにうつ病を患った人の割合は約15人に1人と言われている。心身を健やかに保つためには、レジリエンスの強化が重要である。ビジネスの現場では、責任の重い40代以降がとくに要注意だ。レジリエンスは訓練しだいで向上可能。企業による人材育成の一環として行われるケースもある。(※2)

国家の防災能力の強化

自然災害や環境問題への対策強化自然災害や環境問題に国民一人ひとりが素早く対処するために、防災力の向上が必須である。レジリエンス強化のため、災害情報のリアルタイム供給や具体的な情報発信が行われている。自然災害や環境問題への関心が高まるにつれて、その重要性が認識されつつある。(※3)

変化に耐えうる企業経営

企業経営の健全化に向けた取り組み社会環境や経営状況がめまぐるしく変化するいま、企業レジリエンスにも注目が集まっている。とくにコロナ禍のいま、これまでと同じ姿勢で最適な経営を続けていくのは難しいだろう。変化する環境を受け止め、常に調和・対応し続けていく必要がある。これを実践するために必要なのが企業レジリエンスで、「独自性の追求」や「環境への調和」によって、レジリエンス強化を目指す企業が増加中だ。

自己肯定感の向上

日本人ビジネスパーソンの自己肯定感の向上グローバル化が進むいま、世界で通用する人材を育成することが、日本企業にとって急務である。海外でも自信を持って戦える人材を育成するために重要なのは、自己肯定感の向上だ。レジリエンスの強化は自己肯定感向上にも深く関わっている。優れた精神回復力でポジティブな考え方ができれば、さまざまな場面で自信を持って対応できるようになるだろう。

今後のレジリエンスの発展性

これから先の日本社会で、レジリエンスはさらに求められる能力となるだろう。「コロナ禍」という困難のなか、状況を打開するためのポイントになるのがレジリエンスである。

また、レジリエンス・レジリエントは、SDGsにも多く登場するキーワードだ。アフターコロナの時代、持続可能な社会の実現のためにも、欠かせない力の一つと言っていいだろう。

一人ひとりのレジリエンスが高まれば、ストレスに負けず、心身ともに健康に生活していける人も増えていくはずだ。また企業レジリエンスが強化されれば、困難な状況に直面したときでも、簡単に負けない経営を実現できるだろう。国際社会で勝てる企業へと成長していくためにも、今後のさらなる発展が求められる。

※1 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf
※2 2. うつ病を知る|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5b2.html
※3 自然災害に対する社会のレジリエンス強化|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター
https://www.jst.go.jp/sdgs/practices/p054.html

※掲載している情報は、2021年4月16日時点のものです。

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