現代人は常にストレスに晒され、心も体も疲れているため、日常を忘れてリフレッシュする時間を持つことが必要だ。欧米で注目度が高まっている「リトリート」で、ストレスも疲れもリセットしてみてはどうだろう。言葉の意味や実践的なアイデア、さらにリトリートにおすすめのホテルなどをお届けする。
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ストレス社会に生きる現代人の新たなリフレッシュ法として、「リトリート」というアプローチがにわかに注目を浴びている。
リトリート(Retreat)とは、数日間住み慣れた土地を離れて、仕事や人間関係で疲れた心や体を癒す過ごし方のこと。観光が目的の旅行とは違い、日常を忘れてリフレッシュすることを目的とする。ストレスフリーな暮らし方の実践法としては、デンマーク発祥のライフスタイル「ヒュッゲ」とも近しい。
リトリートの語源はリトリートメント(retreatment)。本来は避難所や隠れ家の意味を持っていたが、近年欧米では「日常生活から離れてリフレッシュする時間をもち、心身ともにリセットする」といった意味で使われていて、日本では『転地療法(療養)』とも言い換えられる。
また、仏教にもリトリートの考え方が存在するという。「ヴィパッサナー」というインドのもっとも古い瞑想法のひとつがそれにあたる。ヴィパッサナー(Vipassana)とは、「物事をあるがままに見る」という意味。外界とのコミュニケーションを一切経ち、いま、この瞬間に意識を集中することで、ありのままの自分に気づくというものだ。
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リトリートは、忙しい毎日を忘れて心と体を休め、リフレッシュするために主に自然豊かな場所で行う。日常の喧騒から離れ、自然の豊かさを感じながら自分を見つめ直すーー。ゆったりと流れる時間のなかで、さまざまなことに思いを巡らせられるのがリトリートのメリットだ。
家や近所の街並みなど、いつもと同じ環境のなかにいるとなかなか心からリラックスできない。ところが、数日間でも違う環境に行くと、日常を忘れて心身ともにリフレッシュでき、疲れをリセットすることができる。
また、忙しく過ごしていると自分自身と向き合う時間も忘れてしまうが、リトリートを行うことによって、自分が何を考え、何に悩み、これからどうしたいのかを落ち着いて考えることができる。慌ただしい毎日を過ごし、ストレスを抱えている現代人にとって、リトリートはメリットが多いのだ。
これまでメンタルヘルス分野で推奨されていたのは、肉体の疲労を解消するレスト(Rest)、楽しいひとときを過ごし気分転換をするレクレーション(Recreation)、緊張をほぐすリラクゼーション(Relaxation)の頭文字をとった「3つのR」の考え方だった。
しかし、ここ数年はさらにリトリートメントが加わり、「4つのR」として認知されはじめている。心身の健康を保つためには、日常から物理的に離れることが重要だという考えが浸透してきているのだ。
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では、具体的にどんなことをするのがリトリートと言えるのだろうか。自宅や会社などから物理的に離れる以外には、必ずこれを行うべきという決まりはない。自分自身が心の底からリラックスできることを見つけることが大切だ。
日本ならではのリトリートといえば、温泉だ。ゆっくり温泉に浸かって体を温めることで、緊張がほぐれて心身ともにリラックスできる。体が温まって血行が良くなることで新陳代謝が高まり、疲労回復効果も期待できるのも温泉のいいところだ。
露天風呂や秘境の温泉などで美しい景色を眺めながら温泉に入れば、体の疲れがとれ、心が満たされるだろう。
美容やボディメイクのためにヨガを行う人も多いが、本来ヨガは呼吸法とポーズ、瞑想をによって心を浄化し、辛さや苦悩から逃れることを目的としている。
ヨガの呼吸法は、自律神経を整えて心や体の不調を取り除き、瞑想は集中力を高める効果があり、毎日を慌ただしく過ごす現代人にはぴったりのリラックス法だ。
豊かな自然の中でヨガをすればさらに心が安定し、ゆっくり自分自身と向き合うこともできるので、リトリートでヨガを行う人は多い。
メディテーション(瞑想)は、ストレスホルモンの減少やリラックス効果が科学的に証明されている。心身をリラックスさせる副交感神経が働き、自律神経のバランスが整うのだ。
ふだん私たちは情報を取り込みすぎ、いろいろなことを考えすぎてしまっている。静かな場所で目を瞑り、呼吸だけに集中するメディテーションを行うと、雑念を忘れ心の底からリラックスすることができる。
森林浴も、ストレスホルモンが減少し、副交感神経が活発になることが科学的に証明されている。欧米では、森林セラピーや自然療法として医療現場でも行われているのだ。
草花の香りを感じ、森の緑に癒され、鳥のさえずりを聞くといったように、五感を刺激することが重要。散策するだけでも十分だが、写真を撮ったり、絵を描いたりと好きな過ごし方を見つけるといいだろう。
Photo by 楽土庵
「アズマダチ」と呼ばれる、築120年の富山の伝統的な古民家を再生した、1日3組限定のスモール・ラグジュアリーな宿だ。新しい旅のスタイル「リジェネラティブ(再生)・トラベル」を体験できる。
客室はわずか10室。温泉もあるこじんまりとした宿で、こころゆくままに心身をリラックスできる。ヴィーガン料理が用意されたプランもある。
岐阜県白川郷から移築された築220年の合掌造りの古民家をリノベーション。ヨガルーム、ワーキングスペースなど多様なスペースがあり、思い思いの過ごし方ができそう。
朝食には100%ヴィーガンメニューを提供し、客室のアメニティもすべてヴィーガンの製品のみをそろえたホテル。ハワイ初の完全ヴィーガンホテルで、リフレッシュしてはどうだろう。
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欧米では、10日前後の長期休暇でリトリートを行うことも多いようだが、まずは週末だけでも十分だ。
心身の疲れを癒すことはもちろん、知らず知らずのうちに溜め込んでしまったストレスから心を解放し、自分自身とじっくり向き合う時間が作れるだけで心にゆとりが生まれ、新しい日常を前向きに過ごしていけるようになる。
「ちょっと休んでどこか遠くへ行ってしまいたい」といったように気持ちに余裕がないときは、思い切って日常から離れ、いつも頑張っている自分をいたわってあげてはいかがだろうか。
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