オーガニックコットンの「OSC認証」。どのような認証制度で、テキスタイルやタオルなど、どんなものが対象になるか。OSC認証にある2種類のマークについて、基準や違いを解説する。また主なオーガニック関連の認証についても紹介する。
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「OCS認証」とは、オーガニックコットン、オーガニックウール、オーガニック麻などのオーガニック繊維国際認証基準のこと。「Organic Content Standard」の頭文字を取って「OCS」と呼ばれる。繊維業界のリーダーを育成する「Textile Exchange(テキスタイル・エクスチェンジ)」という国際的な非営利団体が運営している。
OCSに登録できるのは、オーガニック認証農場で生産された原料だ。また、農場から最終製品に至るまで、有機コンテンツの同一性が維持されていることが保証されなければならない。
それらは、専門の第三者認証機関「certification bodies(CB)」がサプライチェーンの各段階を審査する。そして、すべての要件を満たした製品にのみ、OCSロゴの表示が認められる。
これらの信頼性の高さから、2020年には世界で8,638社の企業等が認証を受けている。
OCS認証は、テキスタイル(繊維製品)に対する認証だ。そのため、洋服などのもとになる生地はもちろん、布団やタオルなどが認証の対象になっている。
OCS認証マークは、「OCS 100」と「OCS Blended」の2種類が存在する。その違いを見ていこう。
「OCS 100」とは、認証済みオーガニック原材料を95%以上含む製品に対して与えられる認証マーク。ただし、認証を受けた原料とそうでない原料は別の素材でなければならない。例えば、認証済みのオーガニックコットンが95%、再生ポリエステル5%でつくられたTシャツは、OCS 100の認証を受けられる。
一方、「OCS Blended」は、認証を受けた原料を5%以上95%未満使用しており、残りの原料が同一素材の場合にも適用される。他素材との混紡や交織・交編も可能。例えば、オーガニックコットンが70%、通常綿が25%、ポリウレタンが5%のストレッチ素材は、「OCS Blended」の認証を受けることとなる。
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OCS認証のメリットとはなにか。消費者側から見たメリットと、生産者・メーカー側にとってのメリットの双方を見比べてみよう。
日本には、食品以外は公的なオーガニック認証制度が確立されていない。だからこそ、OCS認証は手にする繊維製品がオーガニックかどうか見極めるための目印になる。
そもそも、OCS認証は有機農業の生産量を増やす目的で設立された。大手ブランドや小売業者、サプライヤーなどとメンバーシップを結び、世界の繊維産業でオーガニックを推進することで、気候変動にプラスのアクションを起こしていくことが目的でもある。
テキスタイル・エクスチェンジは、2030年までに繊維製品の生産に伴うCO2排出量を45%削減することを目標とした「Climate+(クライメートプラス)戦略」を打ち出している。
つまり私たちがOCS認証マークがついた製品を選ぶことで、気候変動に対するアクションを後押しすることにもつながっているのだ。
生産、製造、販売する側にとっては、OCS認証を受けることで、厳しい認証制度をパスしたオーガニック製品であると謳うことができ、他の製品との差別化が可能になる。 また、環境に配慮した企業であるとアピールにもつながるため、企業イメージのアップに役立つ。
それとは別に、メーカーや小売業が独自に正当なオーガニック原材料かどうかを測定、追跡するのはかなり困難だ。第三者機関が、調査や追跡などを行うことで、コストや人件費などが抑えられる。調査や洞察などで得られたデータは、収集され公開されるため、生産者側はそれを活用することもできる。
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国内外には、さまざまなオーガニック認証制度がある。主なものをいくつか知っておくと、日々の買い物での選択に役立つだろう。
オーガニックコスメの品質に関する国際認証制度。Cosmetic Organic and Natural Standardを略して「COSMOS(コスモス)」と言う。有機農業で生産された製品の使用を促進し、生物多様性を尊重することなどが、基本的に求められる。
Global Organic Textile Standard、略してGOTS(ゴッツ)と呼ばれるオーガニックテキスタイル世界基準。原料の70%以上がオーガニックであることなどが認証の条件になる。
有機食品の認証制度で、有機農産物、有機加工食品、有機畜産物、有機飼料が対象。これらについて「オーガニック」または「有機」と名乗るには、農林水産省が管轄する「有機JAS」の認証制度に申請し、認証を受けなければならない。
USDAオーガニックは、アメリカ農務省(USDA)が運営するオーガニック食品の認証プログラムだ。農産物、畜産物、テキスタイル、化粧品などが対象となる。
EUにおけるオーガニック統一認証プログラム。欧州委員会が定めた基準にしたがって生産されたことを示すもので、この認証を受けなければEU加盟国内でオーガニックを名乗ることはできない。
持続可能で心地よい暮らしやSDGsが注目を集めるなか、社会のオーガニックへの関心はますます高まっている。
本来、生産者にも消費者にもやさしいオーガニック製品が増え、選択肢が広がることは喜ばしいこと。しかしながら、そうした製品のなかには、表示が疑わしいものも混在してるのが現状だ。そのためには、OCS認証のように信頼性の高い認証マークについて知り、日常の買い物に役立てていきたいものだ。
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