「再生型社会」の実現を目指す環境アクションアプリ「weMORI」

weMORIのロゴイメージ
アプリでサステナブルなアクションを

環境保全に貢献するサステナブルなアプリを紹介する連載。第4回は、2020年12月にβ版がリリースされた、森林の保全・再生プロジェクトに参加できる「weMORI」を紹介。スマホから簡単に森を守るための寄付ができ、世界中のコミュニティとつながる環境アクションアプリだ。

ayako

ライター/エシカルコンシェルジュ

物心ついた頃から自然や動物が大好き。アパレル業界で働くうちに持続可能性に疑問を抱きはじめる。その後OLへ転身し、2017年からwebライターとして活動中。音楽やアロマテラピーを通して感性…

2021.03.02

サステナブルポイント

✓ボルネオ・ケニアの森林への植林が可能
✓メキシコ・ブラジルの森林の保全に貢献

「weMORI」とは?

weMORIアプリイメージ

「The Age of Regeneration(再生の時代)」の実現を目指す、日本で生まれた国際非営利団体。「簡単なアクション」と「インパクトの可視化」の二軸で森林を救い、再生型社会への変革を牽引する組織だ。具体的な活動の第一ステップとして今回開発されたのがweMORIアプリである。

weMORIアプリは、世界の森林コミュニティとパートナーシップを組んでおり、アプリを通してプロジェクトを選び、指先ひとつで寄付を行うことができる。コーヒーを1杯買うような気軽なアクションで具体的な森林保護活動に参加ができる仕組みだ。

クラウドファンディングで開発資金を調達

weMORIのクラウドファンディング結果をまとめたイメージ

2020年6月〜8月に行われた開発資金を募るクラウドファンディングでは、目標を大幅に上回る958%の達成率を記録。世界各地のアーティストから提供された再生型のリターンは、土に埋めると芽が出る「再生する和紙」を使用したポスターや、残布を再生したTシャツなど、一貫したテーマで多くの賛同を得た。

清水イアンさん「みんなで一緒に考えて、楽しくアクションを続けたい」

weMORI共同設立者の清水イアンさんに、weMORIの活動やアプリ開発についてお話を伺った。

「weMORI」開発者・清水イアンさん

「weMORI」開発者・清水イアンさん

――weMORIアプリを開発しようと思ったきっかけを教えてください。

清水さん:これまで環境問題の啓発や教育関連の活動をやってきましたが、それらの活動を通して、誰でも簡単に参加できて、貢献度が可視化された共感できるツールがあれば、もっと多くの人が環境アクションに参加できるんじゃないかと思うようになりました。

教育によって社会が変わるためには多くの時間がかかります。教育はもちろん継続して必要なのですが、環境問題の緊急性を考えると、より多くの人がすぐ行動に移せて具体的なインパクトを与える方法も必要だという結論になりました。その考えから生まれたのが、森林保全のアプリweMORIです。

森の保護や再生は具体的な数値も見えるし、生物多様性を守ることや地球温暖化を防ぐことに直接的なインパクトを与えるので、具体的なアクションに移しやすいと考えています。とにかく、weMORIを通じて多くの人にアクションをとってほしいですね。

――2021年4月22日のアースデイにアプリ本バージョンのリリースが予定されていますが、具体的なアップデート等は決まっていますか?

清水さん:今後は「インパクトの可視化」に力を入れていく予定です。自分が保護・再生に貢献した森が「具体的にどれほどのCO2を貯蓄・吸収しているのか?」「何本の植林に貢献したのか?」などのデータをリアルタイムで、美しく表示する予定です。

「Google」のデザインなども担当している Antonioというメキシコ出身のデザイナーを招き、美しい見せ方についてデザインの部分で協働を進めています。

weMORIのプロジェクトページ

今後もデザイン面は注力的に手を加えていきます。ビジュアルは重要なので意識していますね。アプリ制作時にも、デザイナーを雇ってともにブランドデザインを組み立てていきました。

多くの人の支持を得たい場合、ビジュアルを重要視することは必須要素だと考えます。僕の考える競合相手は、ほかの環境団体ではなくデザインで世の中を魅了しているNIKEやスターバックスなどの大手企業。どんなに素晴らしい内容でもデザインが魅力的でないと使ってもらえないので、今後もどんどんアップデートしていく予定です。

感動と楽しさを感じられるアプリにするために日々奮闘中です。楽しみにしていてください!

――クラウドファンディングを通して、実際にどのような反響がありましたか? とくに印象に残っていることなどもあれば教えてください。

谷川俊太郎氏が提供した詩

谷川俊太郎氏が提供した詩

清水さん:クラウドファンディングの結果にはとにかくビックリしました。コロナ禍で資金状況もあまりよくなかったのでクラウドファンディングを行うことは決めていましたが、成功するかどうか全く予測できず不安なまま準備をすすめ、当日を迎えました。

蓋を開けてみると、開始初日で目標額の100%を達成。SNSのタイムラインは、チームのみんなや友人たちがシェアしてくれたweMORIプロジェクトの投稿で埋めつくされて、その間に支援の輪もどんどん広がりました。何が起きているのか理解できないほど衝撃的な出来事でした。

正直今でも実感がありませんが、たくさんの方の応援や出逢いがあったおかげで今のweMORIがあるのは間違いありません。一生忘れませんね。

印象的だったのは、詩人の谷川俊太郎さんが詩のリターンを提供してくれたこと。出逢いのきっかけは、2020年3月に僕がナビゲーターとして携わっている教育サービスに谷川さんがゲストとして参加され、さまざまな話をして仲良くなったことです。

その頃からweMORIのクラウドファンディングを思案していたので、リターンとして詩を提供してくれないかとダメ元で相談したところ、OKをもらいました。

僕は「森」というと気候変動や生物多様性、森林保全に取り組んできた活動の場所だが、谷川さんもよく「森」の詩を書いてきたそうです。谷川さんの視点から表現された森の詩をお願いしました。

消費と再生のバランスが保たれた「再生型社会」の実現を目指す

森と川

――これから先の未来、weMORIアプリを使うことで、どのような社会が実現されると考えますか?

清水さん:自然の消費が自然の再生を上回る限り、サステナブルな社会は実現されません。いまはあらゆることに対して圧倒的に消費が上回っています。

「オーバーシュートデー*」がわかりやすい例ですが、この先もっとこの矛盾が広がるだろうと懸念しています。これを解決しないとさまざまな種の絶滅が待っています。

*地球が1年間で生産できる資源を、人間が使い尽くしてしまう日。年々到来が早まっている。

weMORIは、この消費と再生の矛盾をなくすためにできることをみんなで一緒に想像するツール。人は生きている限り自然を消費しますが、アプリを使えば消費だけでなく再生にも目を向けることができます。weMORIを通して消費と再生のバランスを保つことができると考えます。

また、個人の消費と再生のバランスを保つことをきっかけに、社会全体の消費と再生のバランスについて、多くの人に考えるきっかけを与えることで、再生型社会の実現を引き寄せたいと考えています。

消費と再生のバランスがとれた状態が当たり前になるべく、文明や社会的システム、そして個人として矛盾が解かれている状態を目指しています。

――矛盾を解いた人間の暮らしとはどのようなものでしょうか?

清水さん:まだわかりません。「再生型社会」の全体像は、端的に人間一人が想像できるスケールをこえていると考えています。

だから、もっといろんな人達にそれがどういうものか考えてほしいからなんです。weMORIの活動を通して、再生型社会の解像度を多くの人とともにクリアにしていきたい。

今後は、再生型社会についてみんなと具体的に話し合う場もつくりたいと考えています。例えば建築家や政治家など、さまざまな分野の人達と協力して再生型社会をつくりたい。このゴールを見失わないように、実現するためのツールはアプリに限らず何でもいいと思っています。

再生型社会を実現するためには、私たちの森林との関係性を変える必要があります。現在の「森林の消費>再生」という状況をひっくり返さない限り、再生社会は実現できない。

だから前段階として、再生社会を実現するには、森林問題は確実に解決しなければいけません。森林問題を解決することは、生物多様性問題、気候危機、この両方に対して絶大なインパクトを持つ。

再生社会の実現も重要ですが、目の前の森林問題を解決することが現在の最重要課題です。

――これからサステナブルなアクションを起こそうとしている人へメッセージを!

清水さん:すでに起こそうと考えているのであれば、次はアクションに移すしかないと思います!想いが少しでもあるなら、とにかく行動してみましょう。その過程でわかることもたくさんあるので、やってみないとわからない。やるなら100%思いっきりやることで答えがはっきりとわかるはずです。とにかく一歩を踏み出すことが大事だと思います。

僕が環境問題に関心を持ったきっかけは、大学の授業で学んだ環境視点からの人類史。いまの社会システムそのものが自然破壊につながっていると知ったときは、これまでの価値観が揺らぎ、社会の見方がひっくり返るほどショックを受けました。

大好きな自然を守る活動が行われないのはなぜか?と今の社会システムの矛盾や、非サステナブルな現実を受け止めて向き合うのに時間がかかりましたが、色んな出会いを通して人とのつながりを取り戻し始めたことで気づきが生まれ、気持ちも楽になりましたね。この頃から環境NGOにも参加しはじめました。

「ひとりじゃない」と感じることは非常に大切。今は状況も変化して多くの団体や個人の方が活動しているので、しんどく感じている方はコミュニティを探して参加してみるといいと思います。馴染めそうなところに参加してみるのも、大きな一歩。想いを共有し、仲間を見つけることも大切だと思います。

僕はweMORIを通してアクションを継続していける仕掛けをこの先つくりたいし、コミュニティの一員として行動を起こすことで満足感が得られ、多くの人が参加するアクティビズムにつなげたいと考えています。

ちなみにweMORIでは、アースデイのリリースに向けてボランティアを募集しています。何かしたいと考えているなら、weMORIの活動に参加してくれることもいいきっかけになると思います。興味がある人はぜひ選択肢に加えてみてほしいです。

――再生型社会の実現へ第一歩を踏み出すweMORI。私たちの指先ひとつで気軽に参加できる森林保全アクションを通して、矛盾がないバランスのとれた社会の実現が、いまから楽しみである。

「weMORI」の使い方

weMORIの登録画面

・登録方法
メールアドレスや氏名等の情報を入力し、アカウントを作成。

weMORIのプロジェクト画面

・プロジェクトの参加方法
トップ画面に表示されるメニューからプロジェクトをタップすると詳細が表示され、そこから寄付が可能。寄付金額は自分で設定でき、カード情報を入力する。

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※掲載している情報は、2021年3月2日時点のものです。

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