2021年、未来の船旅が始まる 自律走行機能を搭載した電動フェリーが誕生

2019年にゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を実現する電動フェリーを開発した企業「Zeabuz」。このほど、自社の保有するフェリーに自律走行機能をつけることを発表した。2021年から実際に使われるようになるという。

小嶋正太郎

農家 / 編集者

元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。

2020.12.09

自律走行機能のある電動フェリー

いま二酸化炭素排出量の削減を目的として、たくさんの人が公共交通機関や自転車を利用することが増えているが、それと同時に電動バイクや電動キックスクーターなどテクノロジーを活用した交通手段も増えている。

ここで紹介する電動フェリーもそのひとつだろう。

ゼロエミッションを実現しながらも、2021年からは自律走行機能が追加されるというのだから。

水上を走行する「Zeabuz」の電動フェリー

「Zeabuz」は、海上での自律走行について研究をするノルウェー科学技術大学のチームが中心となって設立された企業だ。2019年、すでに彼らはゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を実現した電動フェリーを開発している。

EV化されているだけでも世界では先進的なのに、「Zeabuz」は自社が保有するフェリーに自律走行機能を付与することを発表したのだ。すでに製造開発は終えていて、2021年から実際に使われるという。

Zeabuzが目指す自律型のエレベーター

船着場で乗り降りしている様子

フェリーに乗れるのは最大12人まで。それぞれの自転車を載せることもできるそうだ。

「Zeabuz」が優れているポイントはいくつもあるのだが、特筆すべきは人助けになっている点だ。開通ルートは電車の駅近くから川をはさんだ向こう岸にある市街地まで続いている。これまでにふたつの目的地の移動時間は徒歩15分程度だったが、それを1分に短縮しているのだ。かつては川により直線的な移動が難しく、少し離れた場所にある橋を渡る必要があった。

彼らのフェリーのおかげで移動が楽になる人はたくさんいるだろう。自律走行機能により効率的に人を運べると予想されている。

ちなみに、「Zeabuz」が目指しているのは自律型のエレベーターだという。ボタンを押せばすぐにフェリーがやってきて、目的地へと運んでくれるというものだ。

開通ルートを走行する電動フェリー

「Zeabuz」のフェリーは、使われていないときはドックへと自動で戻り、充電をするという。つまり、エネルギーがなくならない限りは24時間365日使用できることになる。

彼らはトンネルを掘ることや橋をかけることは資金がかかるし、環境に悪いと宣言している。自然や街の景観を崩さず、かつ、サステナビリティを実現している電動フェリーは、運河や川が多くある都市で採用されることになるだろう。

参照サイト/Zeabuz
https://zeabuz.com/

※掲載している情報は、2020年12月9日時点のものです。

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